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#14:「割」を求めるなら管理職なんて目指べきじゃない
こんにちは!本noteでは日々の小さな出来事を深掘ってみて抽象化・構造化したり、私の好きなエンタメ(映画・ゲーム等)の考察を投稿してます。
前回「優秀なマネージャーの条件」について書きましたが、今回もテーマは管理職について。が、今回は異なる視点で「そもそも管理職になる意味」について書きます。個人的にずっと前から思ってた考えなのですが、多少尖った内容なので書くか迷ってました(笑)ご容赦下さい!
ピラミッド的思考への違和感
必ずしも管理職=ステップアップでは無い
管理職になる、もしくは管理職を目指す事は大半の企業・社員にとってキャリアを描く上で「とりあえず」挙がるステップの一つでしょう。結論を言うと私はこの扱いについて違和感を感じます。理由は3つ。
管理職はあらゆる役割の一つでしかない
管理職は人の生活を預かる覚悟が必要
管理職は割に合わない
要は管理職は「万人が目指すべき役割ではない」故に「会社も当人もとりあえずで設定するのは誤っている」が伝えたい事です。個人的な感覚になりますが1~3が考慮されず目指されるケースが多い。
新卒時代に頂いた言葉
役割の一つという事は当然「向き・不向き」があります。これは例えば営業職・プロジェクトマネジメント職、どの役割にも言える事です。向き・不向きの具体は前回記事で挙げた四つですが、
この中で強調すべきは「逃げない覚悟」です。サラリーマン世界では上司の愚痴はもはやお家芸ですが「頭は良いけどマネジメントは向いてない」「都合が悪いと有耶無耶にする」等の上司への愚痴は茶飯事ワードではないでしょうか。要は管理職の適正は賢さではなく覚悟の有無という事。
余談ですが私は新卒時代「最年少で管理職になる!」とルフィばりに周囲に宣言し、諸先輩方に「なって何がしたいの?」と問われても特に答えは無いような人間でした。こんな偉そうな記事を書く私こそが、他でもない「とりあえず管理職目指す奴」だったのです。
そんな私に当時に部長がかけて頂いた言葉を、今でも覚えてます。
目指す意思は悪い事じゃない。が、
家族がいる人の給料を決める覚悟は持っているのか?
当時の私には電撃が走る感覚、何も返答できませんでした。こんな愛あるお言葉も頂きつつ、私の管理職像は「とりあえず目指すもの」から「適正(覚悟)がある人材」が担うべき役割=他の職種と並列な選択肢一つ(ワンオブゼム的思考)に変わっていきました。
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管理職への期待⇔現実
管理職には適正がある。その主たるは「覚悟」であり、賢くてもそれが無い人が管理職になると部下は勿論のこと本人も不幸になる。つまり不用意に管理職を増やすべきでないという事。では何故、管理職はキャリア設計における生ビール的立ち位置になっているのでしょうか?
みんなラクチン
客観的に見ても「管理職になる事」には分り易い意味があります。
前に進んだ感覚の獲得
誰が見てもわかる絶対的な称号
上記は確かに昇給・異動と比べて、モチベーション管理上優れた効果を発揮します。だからとりあえず目指すのが安牌。当人にとっても、上司にとっても。語気強めですが意思無く管理職を目指す(目指させる)事は、真にやるべき事を考え抜かず、易きに流れてる思考停止の側面もあります。
ただ、それって良くない事なのでしょうか?
管理職は割に合わない
良くない事では無いがリスクがある。が正しい回答と思います。前述の通り覚悟の無い人が管理職になると部下が不幸になるリスクだけでなく、管理職になった当人が不幸になるリスクがあります。
それこそが冒頭挙げた「管理職は割に合わない」です。
管理職は役割上、指摘・評価・内示など人の負の感情と向き合う事から避けられません。注目される立場にもなるので、飲み会のツマミにされる機会も増えるでしょう。つまり労働量とは別に心的負荷が増える。が、仮に心的負担が2倍になっても、評価・給料は2倍に無りません。つまり管理職は給料以上の負荷を被る必要性がある、言葉通りの意味でいうと「割に合わない」のです。故に、覚悟が必要なのです。
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学生時代の部活の部長に自ら立候補する人はほぼ居ないでしょう。何故なら「部長=割に合わない大変な役割」が共通認識だったからです。なのに社会に出ると「管理職=誰もが目指すべきポジション」に変わる。元々割に合わないと理解してたのに、社会・会社の都合で何かを変えてくれる期待を纏うアイコンになっているのです。
ネガティブな話が続きましたね。じゃ管理職って何の為にやるん?
管理職になる意味
ネガりすぎたのでこっからポジります。管理職をやる意味、それは
"経験"
これ以上でもこれ以下でも無いと私は思います。給料・評価・責任だけ見ると「割」に合いません。「割」の外にあり、「割」だけ求めれば絶対に手に入らない代物。人の人生と向き合い・厳しい判断をし・負の感情に折り合いをつけ・それでも正しく仕事を成立させる。大変なストレスですが普通に生きててはお金を払っても絶対に得れない経験は、人間としての器や厚みを何倍も大きくしてくれる。これが管理職を目指す本当の異議です。
万人がなんとなくで管理職は目指すな
経験を求める人が覚悟を持って目指せ
管理職が給料以上に大変なんて当たり前
会社も易きに流れずそれを見極めろ
これが本記事における私の結論です(自戒の念も多分に含む)。
ワンオブゼム的思考に向けて
冒頭で「管理職=あらゆるジョブと並列な役割の一つ」と述べました。
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一方で日本ではまだピラミッド的思考が多い。やはり「次に進んだ感覚が得れる」「誰が見ても絶対的な称号が得れる」点がその理由です。管理職=上に上がる栄誉感が、その力学を生み出すのでしょう。
私はピラミッド型思考を完全否定したい訳では無いです。双方メリデメがありますので。ただ現代はピラミッド型に偏り過ぎている、管理職になる事に捉われすぎるキャリア志向は否定したいです。フラットに考える上で思う事を最後に述べたいと思います。
➊言葉のミスリード
ピラミッドという形が示すように「上に昇る構造」を体現する言葉があります。「昇格・降格」です。この言葉は「格が昇る」過度な期待と「格を降ろす」不必要な失意を与えます。この言葉の力が昇格したいという欲望を不必要に生み、降格させられないという無駄な気遣いを生みます。
ピラミッド=階級社会を昇る「昇降」という言葉は管理職=偉いというミスリードを作り、必要以上の上下関係を意識させる側面を持っていますが、やはりその発想は間違っていると思います。例えば営業が人事に異動するように管理職者の変更は「上下」ではなく「左右」の役割変更と捉えるのが正しいと思います。そうでないと、人事に色気がついてしまうのです。
➋オープンワールド型
The Game Awards 2017をも受賞した『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』はゼルダの当たり前を見直すというコンセプトで開発され記録的なヒットになりました。ブレワイが代表するオープンワールドゲームが、昨今のゲーム業界では人気を博しスタンダードになっています。
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従来ゲーム⇔オープンワールドの違いは、攻略のプロセスが一本道⇔自由という点。『ゼルダの伝説 時のオカリナ』は全クリまでの道のりが一直線ですがブレワイはあらゆる選択肢がユーザーに開放され、サブクエスト等も多数用意されてます。
こうした生活者の受け入れられているトレンドは倣える点があります。今回の話に当て嵌めるとビジネスキャリアも一直線なステージ攻略型(現場~課長~部長…)ではなくあらゆる可能性が柔軟に分岐するオープンワールド型(管理職⇔現場を行ったり来たり)に当たり前をを見直すべき、と言えたりするかなと思ったりします。
キャリアを一直線に考えてしまうと一度管理職になったらメンバーに戻し辛い(降格という言葉の悪影響)。ではなく管理職として一定の役割を果たしたら次のステップとして別環境のメンバーに戻すというサブクエスト的な考え方が前提になるのが好ましいと感じます。
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会社・組織目線も、例えば0→1が必要か1→10が必要かは環境によって流動します。その環境変化によって管理すべき人が変わるのは至極当然なはずがピラミッド的思考では「降格できない」「ポストが無い」が制約となるケースがありますが、これは誰にとっても良い話では無いハズでしょう。
最後に
管理職への否定的な要素が多いと感じられる内容でしたが、改めて私は管理職を目指す事自体は尊い事であり基本は肯定・支援します。今回伝えたいのは多くの会社でなんとなく・とりあえず管理職を目指させる(ラクするツールになってる)事への異議、そしてピラミッド的思考に偏る事の弊害です。それを理解した上で意思を持って目指すには、お釣りが返ってくる役割だと私自身感じています。
管理職はあらゆる役割の一つ
管理職は人の生活を預かる覚悟が必要
管理職は「割」には合わない
しかしそれを上回り経験を得れる
改めてこの言葉を残し、本記事は終わりにしたいと思います。
最後までご高覧下さり有難う御座いました!