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“なぜ瓶?”柚子胡椒を見て不思議に思う人へ。

「どうして瓶?チューブじゃだめ?」

「余らせるし、使い切れないし、結局捨てちゃう……。」
冷蔵庫中にある調味料、
一番困るのは瓶の柚子胡椒だっていう話をされました。
この季節は鍋料理も多く、そういえばと話題に。
そこで話は更に進み、
「でさぁ、これ、どうして瓶なの?じゃま~」と。

私の職業柄、柚子胡椒を邪魔って言われちゃうと悲しいです。
この状況どうしたらよいのか?と相談されました。
早速、「実はね」と話し出した結果、
「へ~、面白い」と。

瓶詰めと言えば、我が家の冷蔵庫にも。
話題にのぼったので、さっそく冷蔵庫を開けてみると、
多いのはジャム、つくだ煮に柚子胡椒。 どれも立派な瓶に収まっています。


皆さんの冷蔵庫には、どんな調味料が並んでいますか?醤油やみりん、そして、きっと調味料というカテゴリーで多くの家庭に見かけるのが「柚子胡椒」では?鍋料理や刺身の薬味として、その爽やかな風味とピリッとした辛みが食欲をそそる、人気の調味料です。
私のおすすめは、以下の商品。色々ありますが、このあたりは有名かと。

柚子胡椒について、私の知っていることに合わせ、今回調べて新たに知ることもありました。 意外な発見がたくさんあって、思わず「へぇ〜!」と声が出てしまうような内容ばかり。

柚子胡椒がなぜ瓶なのか気になった方、 冷蔵庫にいつの物か分からないけどあるって方、 お役に立ちたい!

柚子胡椒って何?まずは基本のキを押さえましょう!

柚子胡椒は、調味料です。味噌や醤油といった他の調味料に比べると歴史は浅く、今から50年ほど前に作られ始めたとされています。でも、ここ数年で日本全国のスーパーマーケットでも販売されるようになり、広く知られるようになりました。

材料と作り方はシンプルで、柚子の皮と青唐辛子、塩を混ぜ合わせて作る、和食には欠かせない香辛料なんです。柚子胡椒といえば大分と言われていて、大分でかなり有名なフンドーキンさんからはいくつも派生商品が発売されています。

とはいえ、九州地方以外でも、柚子の名産地である徳島県や高知県でも名産品として扱われているんです。

主な特徴は
柚子特有の爽やかな香り
青唐辛子のピリッとした辛み
まろやかな塩味が効いた風味

使い方は実にいろいろ。鍋料理や湯豆腐はもちろん、お刺身、焼き鳥、おでんなどの味付けに大活躍です。うどん屋やそば屋に行くと、七味唐辛子と一緒に置いてあるのを見かけることも増えてきました。柚子の風味が出汁に広がって、これがまた絶品なんです。

最近では和食だけでなく、パスタ、ピザ、カルパッチョ、ローストビーフなどの洋食にも使われています。特にオリーブオイルとの相性が抜群!オリーブオイルと柚子胡椒を2:1くらいの割合で混ぜて、バゲットに塗ってこんがり焼くだけでワインのお供にピッタリな一品の出来上がり。チキンサラダのドレッシング替わりに使うと、肉の臭みが消えておいしく食べられますよ!

柚子胡椒の奥深さを探る!瓶詰めの秘密と「柚子胡椒」の名前の由来

柚子胡椒といえば大分と言われていて、大分でかなり有名なフンドーキンさんからはいくつも派生商品が発売されています。

この柚子胡椒、なぜいつも瓶詰めなのか?スーパーの調味料コーナーで、チューブ入りの柚子胡椒を見たことのある人は少ないと思います。
今回は、スパイスのプロの視点から、柚子胡椒が瓶詰めである理由と、多くの人が疑問に思う「胡椒が入っていないのに、なぜ『柚子胡椒』と呼ぶのか?」について紐解いていきましょう。

1.柚子胡椒ってどこのもの?

福岡県添田町は炭鉱の町として栄えていました。

添田町にある英彦山は、日本三大修験道の1つ。北部九州最高峰ということもあり、1500年ほど前から信仰の対象となり山伏たちが修行を続けています。柚子こしょうは、その山伏たちが海外から伝来したユズや唐辛子などを調合し、薬や保存食としていたのが起源と言われています

あっと驚く真実も!各家庭で自家製を作る町民の柚子こしょう愛 ~ふるさとWish添田町~

大分県の日田エリアです。
日田エリアである理由は柚子の産地である事が大きな理由であると私たちは考えています。モノの発祥は産地から生まれるものだからです。
柚子の産地ではなく、唐辛子産地でもないところから、柚子胡椒が生まれる可能性は低いはずです。
食べ物は先人の持っていた材料と知恵で生まれてきたからです。よって、柚子の産地ではないところから柚子胡椒が生まれる可能性は低いはず。
よって濃厚の説は柚子の産地日田市、次に四国説が最も有力です。

柚子胡椒専門店 伍代長谷部 柚子胡椒が大分発祥と言われる歴史

ここは諸説あるようで、私もどっちなんだろうって思ってますが、
どこのものか?と聞かれたら、あえて、九州と伝えています。

2. スパイスの鮮度って?

そもそも、スパイスの鮮度って何?と思いませんか?実は、スパイスたちには「生きている」と言っても過言ではないんです。収穫後も呼吸を続けており、じわじわと変化していくんです。

特に、光や湿気、空気中の酸素に触れると...どんどん変化が加速!柚子胡椒の主成分である柚子と唐辛子も例外ではありません。これらの素材が持つ爽やかな香りやピリッとした辛さは、時間の経過とともに少しずつ失われていきます。

3. 柚子胡椒を瓶に入れる理由

ここで、ついに本題の「なぜ瓶?」という謎に迫ります! 実は瓶には、柚子胡椒の美味しさを守る3つの重要な任務が与えられているんです。

  • 酸化を防ぐ: 柚子胡椒の成分は、空気に触れると酸化し、風味が落ちてしまいます。瓶に密閉することで、空気に触れる面積を最小限に抑え、酸化を遅らせることができます。

  • 湿気を避ける: 湿気は、カビや雑菌の繁殖の原因となり、柚子胡椒の品質を低下させます。瓶に密閉することで、湿気を防ぎ、長期保存を可能にします。

  • 光を避ける: 光は、柚子胡椒の色素を分解し、色や風味を変化させる原因となります。瓶は、光を遮断できるため、柚子胡椒の色と風味を長期間保つことができます。

4. 「胡椒」が入っていないのに、なぜ「柚子胡椒」と呼ぶ?

多くの人が疑問に思う「胡椒が入っていないのに、なぜ『柚子胡椒』と呼ぶのか?」という点について、歴史的な背景を交えて解説していきます。

「柚子胡椒」という名前の由来は、九州地方の方言に深く関わっています。かつて九州地方では、唐辛子のことを「胡椒」と呼んでいたのです。そのため、「柚子と胡椒を合わせたもの」という意味で「柚子胡椒」と呼ばれるようになったと考えられています。 江戸時代には、長崎で外国との貿易が行われており、そこで本物の胡椒(黒胡椒や白胡椒)が入ってきました。しかし、地元の人々にとっては、唐辛子のことを「胡椒」と呼ぶ習慣が根強く残っていたため、「柚子胡椒」という名前はそのまま定着したのです。 なぜ九州地方では唐辛子のことを「胡椒」と呼んでいたのでしょう?
所説ありますが、私の知る所はこちら!

  • 辛みの共通点: 唐辛子も胡椒も、どちらも辛味を持つことから、「胡椒」という言葉が転用されたと考えられます。

  • 外国からの伝来: 本物の胡椒が日本に伝わる以前は、唐辛子が唯一の強い香辛料だったため、「胡椒」と呼ばれていたのかもしれません。

  • 方言の多様性: 日本には様々な方言が存在し、地域によって同じものを指す言葉が異なることはよくあります。 「柚子胡椒」という名前が定着した理由

  • 簡潔で覚えやすい: 「柚子と唐辛子」よりも「柚子胡椒」の方が、短く覚えやすいという点も、名前が定着した理由の一つと考えられます。

  • 地域特有の文化: 九州地方では、柚子胡椒が日常的に使われる調味料であり、その名前が地域に根付いていったと考えられます。 このように、「柚子胡椒」という名前には、歴史的な背景や地域特有の文化が深く関わっています。

「頭のいい子が育つ! 子どもに話したい雑学」にもエピソードが掲載されているそうです。

5. 様々な種類の柚子胡椒

柚子胡椒は、使用する柚子や唐辛子の種類によって、風味や辛さが大きく異なります。最後に、柚子胡椒の品種をご紹介!

  • 青柚子を使った柚子胡椒: 青柚子特有の爽やかな香りが特徴で、風味もマイルドです。お刺身や冷やしうどんなど、さっぱりした料理との相性が抜群!柚子の香りを活かしたい時におすすめです。

  • 赤柚子を使った柚子胡椒: 赤柚子を使った柚子胡椒は、青柚子に比べて香りが強く、より深いコクがあります。味に深みがあるので、鍋物や炒め物など、しっかりした味付けの料理に合わせるとGood!

  • 唐辛子の種類: 青唐辛子、赤唐辛子、鷹の爪など、様々な種類の唐辛子を使うことで、辛さの度合いや風味を調整することができます。

お好みの辛さと香りを見つけるまで、
いろいろ試してみるのも楽しいと思います!

今回は、柚子胡椒が瓶詰めである理由や、「胡椒」の名前の由来、そして様々な種類の柚子胡椒についてご紹介しました。

実は柚子胡椒の瓶には、先人たちの知恵が詰まっていたんですね。 時代が変わっても、その知恵は今でも私たちの食卓で生きています。

...とここで気づきました。 私の冷蔵庫の柚子胡椒、実は半年前に開けたまま。 (スパイス専門家として、ちょっと赤面)

でも、きっとあの瓶のおかげで、まだ美味しさは守られているはず。 今週末は久しぶりに柚子胡椒を主役にした料理に挑戦してみようと思います。
鍋じゃない使い方にしょう!折角だから。

皆さんの冷蔵庫の奥に眠っている柚子胡椒も、 瓶の中で今日も頑張って美味しさを保ってくれています。

たまに、ちょっと覗いてみてはいかがでしょうか?


2024年のスパイス専門記事は終了なります!
読者の皆様、温かいご支援を有難うございました。
お陰様で、ここで書き続けることが出来ました。

さあ、来年は何を書こうかな~。
引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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大平美弥|スパイスライフアドバイザー
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