【解剖学講座】全老若男女がやるべき胸椎エクササイズ【シリーズ「パフォーマンスアップ」①】
胸椎は、脊椎において可動性を発揮すべき「モビリティ関節」です。しかし、年齢を重ねたり運動不足だったり、猫背だったりという人は、胸椎から後弯して可動域が大きく低下してしまいます。ご高齢で背中が丸まっている方を道端でも目にします。こうした方を「腰が曲がっている」と表現する人もいますが、解剖学的に正しく表現するなら「背中(胸椎)が曲がっている」ということになるわけです。
胸が丸くなるとどうなるかというと、肩周辺の筋群が緊張し肩こりがひどくなります。呼吸も胸式呼吸が中心になり、呼気がスムーズに行いづらくなり、交感神経が優位になりやすくなり、常に身体や精神が興奮状態になってしまいます。交感神経優位の状態が続けば、眠りが浅くなり、疲労が抜けにくくなり、イライラしやすくなります。猫背の方もそうですが、道端や電車に乗っている時に見かける、肩がすくんだままの状態で立っている・歩いている人を見ると、心配になってしまいますね。
また胸椎が後弯していることで、腕の挙上がやりにくくなります。その代償として起こるのが、「腰を反らす」という動作です。しゃがんで物を持ち上げようというときも、胸椎が後弯していると胸が開かず「腰を反らす」という代償動作が起こりやすくなります。その結果、発生するのが腰の痛みです。
つまり、胸椎の回旋・伸展動作がうまくできないことは、日常生活でもスポーツパフォーマンスに大きな悪影響を及ぼすのです。日常生活では、周辺部位への悪影響で肩こり・腰痛・睡眠不足・イラだちといった症状を引き起こしやすくなります。スポーツにおいても、野球・水泳・ゴルフ・サッカーとあらゆる競技で胸椎の可動性が必要不可欠です。武道においても、例えば柔道では肩の脱臼が発生しやすいため、上半身の柔軟性=胸椎の可動性は非常に重要と言えます。
そこで今回は、胸椎の可動性を向上させるためのさまざまなエクササイズを紹介したいと思います。
胸椎可動域改善エクササイズ「オープナー」
①クライアントを仰臥位にする
②横臥位にして腕を前に伸ばし、胸を開くように上の腕を回旋させる。腕の運動に連動させて、頭部も回旋させる。
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