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清寂の朝に生まれる命の戦略、そして在宅医療の柱となる人材とは?
はじめに
訪問診療専門のクリニックを立ち上げてから、早10年以上が経ちました。この間、変わることなく続けている習慣があります。それが診療を続けるうえでの成功の鍵かは分かりませんが、少なくとも一人で多くの患者さんに対応するための 私なりの最善策 であることは確かです。
その習慣とは、「毎朝3時に起床し、その日に診療する全ての患者さんのカルテに目を通す」ことです。患者数が多い日は出勤ギリギリまでかかることもありますが、この時間を費やすことで、前回の診療から今日に至るまでの経過を正確に把握することができます。そして、この取り組みを支える重要な要素が、訪問看護師さんたちからの 貴重な報告 です。
生きた訪問看護報告書を作るために
訪問看護には、「訪問看護報告書」を主治医に提出する義務があります。通常は1ヶ月分をまとめて先月の状態や必要物品を記録しますが、しばしば過去の事実を羅列しただけの書類にとどまり、患者さんのタイムリーな情報に基づいた診療には、役立ちにくい場合があります。
そこで、私は訪問看護師さんたちに以下の点をお願いしています。
· 患者さんの状態変化があれば、直ぐに相談してもらうこと。
· 訪問診療に向けて、患者さんの状況や必要な物品を適宜報告すること。
· 報告書作成には時間をかけず、日々の報告内容をそのまま添付し簡略化すること。
こうすることで、報告書は タイムリーで価値のある情報源 となり、診療において大きな力を発揮します。訪問看護師さんたちの協力があるからこそ、この情報収集と活用のプロセスが成立します。その報告が正確であればあるほど、私は患者さん一人ひとりに“寄り添った“、より質の高い診療方針を立てることができるのです。
「寄り添う医療」の本質
訪問看護師さんたちからの報告を基に、当日診療する全患者さんの治療方針を練ります。この習慣を欠かさず続けることで、一人で250人以上の在宅患者さんを診ることが可能になっています。この取り組みは、単に多くの患者さんを診ることではありません。大切な事は、患者さん一人ひとりの 生き方を理解し、それを尊重する医療 を提供することです。
訪問診療は、ただ体調が悪い時に往診するだけでは「寄り添う医療」とは言えません。患者さんそれぞれの価値観や生活環境、日々の過ごし方をよく理解し、それに応じた医療を提供することが、「寄り添う医療」の本質だと考えています。
訪問看護師さんたちとの連携が生む価値
このような医療を実現するには、訪問看護師さんたちの存在が欠かせません。彼らは現場で患者さんと向き合い、日々の小さな変化をいち早く察知して報告してくれます。その情報を基に、患者さんの体調や環境に合わせた治療方針を立てることが可能になります。そして、訪問診療における治療方針は単に病状を改善するだけでなく、 患者さんの生き方そのものを支えるものであるべきだと考えています。
”訪問看護師”こそ在宅医療の柱、そして感謝
早朝の静けさの中で、訪問看護師さんたちがもたらしてくれる報告を整理し、患者さん一人ひとりの治療方針を考える時間は、私にとって 欠かせない大切な時間 です。この取り組みは、訪問看護師さんたちの努力と献身なしには成り立ちません。
患者さんの生活そのものを守り、支える活動を行いながら、主治医との連携関係を築いてくれる訪問看護師さんたち。彼らこそが在宅医療の中核でありその存在に深く感謝しています。これからも、この連携を大切にしながら、患者さんに本位の医療を追求していきます。
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