三年寝太郎空想日記 第一話
吾輩は三年寝太郎である。生来の怠け者が祟り起きて活動することを放棄して三年になる。父親の退職金と母方の実家が跡継ぎがいないため、いずれ吾輩が財産を相続することを考えた結果働かなくても生きていけることに気づいた。大変な僥倖である。生きているのは辛いことだが、かといって死ぬのはもっと辛い。必然的に吾輩は布団で惰眠を貪る日々を送ることになった。
吾輩の住む小庵から日本庭園を挟んで三百メートル程離れたら処に猫石本家の屋敷がある。其処に住む親父から月々七万円の補助を貰って暮らしてい