『くらげの空で浮かぶ』-1- アクアリウムで佇む海月 (1/6章)/小説
「クラゲはさ。いったい何を考えながら、水槽の中を浮かんでいるのかな」
相花 海月は暗い照明の中で、天井まで伸びる円柱状の水槽を見上げて言った。水槽にはミズクラゲが照明に照らされながら、薄紫色へと色味を変える。僕の隣で小さなベンチに腰かけながら、彼女は両足を伸ばしたまま足先を組む。紺色のブレザーから見える細く長い指はベンチに置かれて、彼女の華奢で小さな体を支えていた。
わずかに栗色を帯びた髪は短くふわりと浮かび、綺麗に首元で整えられている。
横顔から見える小さくも整