うみのちえ

機能不全家庭で生まれ育ち、うつ病、適応障害、パニック障害とともに生きてきました。ASD夫と、成人したASDの子ども二人。俳句、エッセイ、たまに小説。回復の道標として、綴っていきます。

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マガジン

  • 俳句幼稚園 ~弐~

    • 2,478本

    ⚜️各自note内で俳句を詠み、俳句幼稚園タグ付け&マガジン格納。⚜️【コメント欄は宝物】互いの句をコメント欄で鑑賞し高め合いましょう。(無理せず、自分のペースで) 投句時『意見(甘口・ふつう・辛口)希望』の書込みは任意。⚜️ 超初心者は、🔰マークを俳句につけて下さると有り難いです。🔰マーク基準 : これまでの投句数0〜30句程度(個人判断)🚫誹謗中傷等の発言や、一方的な意見押しつけ、相手の気持ちを推し量れない方には、マガジン退出、コメント自重をお願いすることがあります。 ⚜️退園時は、ご自身のアカウントで「マガジンから脱退する」ボタンを押下願います。⚜️《運営》白・なごみ・橘鶫・中岡はじめ・よねとも ・卯月紫乃 ⚜️責任者&問い合わせ先:卯月紫乃 ⚜️ヘダー画アポロ ラブ&ピース '23.11.

  • エッセイの箱

    未分類のエッセイを集めました。

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    短編小説を集めました。

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    俳句幼稚園で発表した俳句を集めました。

  • それでも、毒になる親

    機能不全家庭出身の私が、どれほど努力してもなお「毒親」と称されることから、逃れられなかったのはなぜか。振り返りの記録です。

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黄昏のあんぱんまん

自分で言うのもアレだけれど、私はとても小賢しい中学生だった。嫌味な、と言い換えても過言ではない。 わかりやすい不良などではなく、授業態度も悪くなかったけれど、どこか教師を軽蔑していて物事を斜めから見ているような生徒だった。 だから夏休みの宿題で、読書感想文を書くにあたって私は、課題図書では飽き足らず変化球として、絵本の『あんぱんまん』を選んだのだった。 『あんぱんまん』とひらがな表記の、ごく初期の絵本には、バイキンマンも、ドキンちゃんも、食パンマンも登場しない。 「あん

    • Romantic

      私は、三姉妹の三女として生まれた末っ子である。 そう話すと、必ず言われるのが 「あ~それはさぞかし、ご両親に甘やかされて育ったんでしょうね~」 という言葉。 第一子は我慢を強いられ、中間子は注目されることがなく、末子は可愛がられて甘やかされる——。実際に、そんなセオリー通りに育った人もいるかも知れない。 私の場合は、年子である姉二人とは十歳以上離れていたので、あまり姉妹という実感がない。むしろ親戚のお姉さんが二人いる、一人っ子の感覚に近い。 そう話すと、今度は 「あ~そ

      • 私の知らない私

        ケンタくんは、体が大きくて力も強い典型的ないじめっ子キャラだった。 ユウジくんは、笑っていてもどこか寂しそうで、シャイで寡黙な大人びた風情をまとっていて、クラス中の女子から好かれていた。 ヒロヤくんは、ちょこまかと落ち着きがなく、片時もじっとしていられない。 コウヘイくんは、華奢で折れそうな手足と青白い顔が印象的で、今思えば、あまり体調が優れなかったのかもしれない。 まるで「ちびまる子ちゃん」を彷彿とさせるような、そんな元クラスメイトたちと先日、四十数年ぶりに集まった。 皆

        • Fifty's map

          「えーっと……ちょっと……落ち着いて聞いてほしいんだけど……」 と電話で、離れて暮らす子どもが言う。 「……骨折、していた、らしい……」 予想外の言葉に、私は一瞬、息を飲む。 「ぶつけちゃって。痛いなとは思ったけど、ずっと放置してて。今さらだけど検査したら、骨折してますね、て」 怪我をしたのは、夏のことらしい。 特段の治療もしないまま、もうすでに回復に向かっていること、安静時には痛みがないこと、などを聞いて私は、ひとまず安堵する。 一方で、子どもがこれほど言いにくそうにす

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        黄昏のあんぱんまん

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        • もう一度、はじめようと思う。
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        記事

          PAIN

          最近、ご縁をいただいたnoterさんのお一人であるUさん。 先日、こんな記事をアップされた。 この記事に深く心打たれて私は、長く囚われていた私の「後悔」と「不安」に思い当たった。 もう、十年以上前のことである。 それは、ある日突然、はじまった。 子どもがキレて暴れ出し 「お前のせいで俺の人生は生き地獄なんだ!」 「クソ毒親が!」 と手当たり次第に、部屋中の物を殴りつけた。 彼の中では長年、我慢に我慢を重ねていたのだろう。 私の不用意な一言が最後の一滴となり、とうとう溢

          旅人のうた

          先日、体調を崩した夫に付き添って、救急受診した時のことだった。 数日間の入院が決まり、処置室の狭いベッドで点滴を受けながら、夫は 「……早く、家に帰りたい……」 と、しょんぼりとした声を出す。 と、その時 「……どうか、二、三日だけでも、置いてもらえませんか……」 薄いカーテンの隣から、おばあさんの、か細い声が聞こえた。 「……家に帰っても、誰もいないんです……」 「ここはね、三次救急医療機関なんです。重篤な患者さんを受け入れて、命を救う場所なんですよ。検査結果を見るとね

          【小説】メイドモテイク

           一周忌法要を終えると、誰からともなく「片付け」の話になった。決してゴミ屋敷という訳ではないが、やはり昔の人らしく、実家にはそれなりに物が多い。 「ねぇ、これ何だろう」  と妹が、ガムテープでぐるぐる巻きにされた紙袋を指す。百貨店のロゴが入った小さいサイズの紙袋。それほど重くはない。中身は紙の束のようだ。チラシの裏に走り書きされた、小さなメモがテープで貼られている。 「メイドモテイク」 「メイドカフェのメイド?」 「maid も take?」 「いや、メイどもテイク?」

          【小説】メイドモテイク

          【小説】Make Over

           降りしきる雨の中、無料送迎バスは、園内のバス停へ時刻通りにやって来た。今日はお彼岸の中日だけど、霊園内の人影はまばらだった。バス停で待っていたのは、私と同年代くらいの女性が二人と、老夫婦が一組。朝の天気予報通り、雨は降ったり止んだりしている。  市街地から少し離れた「やすらぎ霊園」は、分譲がはじまった1980年代には、一部区画で抽選になるほどの人気だった。かつてはお墓参りに向かう車が列をなしていたし、いつ来ても家族連れで賑わっていたけれど、今はもうその面影はない。無縁墓が

          【小説】Make Over

          馬と鹿

          不意打ちで、ふわっと触れた唇が思いのほか柔らかくて、私はドキドキが止まらない。アルコールも手伝って、かぁっーと頬が熱くなる。 その当時、エリカちゃんは二十歳を少し過ぎた年頃で、私より五歳くらい下だったと思う。 「あたしねー、ちえさんが好きー! 大好きー!」 と屈託のない笑顔で、所かまわず抱きついてくる。 ツインテールにリボン、ヒラヒラのワンピース、厚底の靴。まるでどこかのアイドルみたいなキュートな女の子に、そんなふうに言われて私も悪い気はしない。 とは言え私はそれまで

          サウダージ

          昨日、「創作大賞2024」の中間選考結果が発表された。 応募総数はなんと、52750作品だそうだ。 ただし内訳をよく見ると、エッセイ部門(26158作品!)とオールカテゴリ部門(16842作品)が大半を占めており、小説は5部門合わせても、3133作品だったらしい。 その小説5部門の中間選考通過作は合計98作品、エッセイ部門の48作品に比べると倍の数になる。それほどに、魅力的な優秀作が多かったということなのだろう。 とは言え、狭き門である。 私が個人的に応援していた、あの

          サウダージ

          ミエハルカラオケ残暑Ver.「歌詞がグッときた曲」

          わっ! びっくりした~! あちらこちらで響く歌声に「あらまぁ楽しそうだこと💕」なんて思っていたら、来ちゃいました🤣 仲良しのみゆちゃんから、ポーンと投げられたバトン。 ちゃんと次の方へ、つなげられるかな。 ミエハルさん、チェーンナーさん、はじめまして。 誰?と、お思いかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします💦 ということで、歌ってみましょう! 私なりに「歌詞がグッときた曲」5選です🎤 LIAR 中森明菜強い女性。強くあろうとしている女性。 でもLIARなんです

          ミエハルカラオケ残暑Ver.「歌詞がグッときた曲」

          私「子どもの病気はお前のせいだ!と責める声が、私の中にあるんです」 カウンセラー「その、責めるパーツさん、もう引っ込んでもらえない?」 私「理想があって……健康で……」 カ「子どもは、親の理想通りになんて育ちませんよ!💢」 願うだけならいい。 理想は時に、自他への凶器になる。

          私「子どもの病気はお前のせいだ!と責める声が、私の中にあるんです」 カウンセラー「その、責めるパーツさん、もう引っ込んでもらえない?」 私「理想があって……健康で……」 カ「子どもは、親の理想通りになんて育ちませんよ!💢」 願うだけならいい。 理想は時に、自他への凶器になる。

          さよーならまたいつか!

          遠い昔、二十代の頃の話である。 私はどうしても「作家」というものになりたかった。 そのためには、新人賞を受賞してデビューすることしか思いつかなくて、いくつもの文芸雑誌に応募していた。 当時の私は、どうすれば最終選考に残れるのか、受賞するにはどんなふうに書けばいいのか、そんなことばかり考えていた。 二次選考や三次選考を通過しただけでは意味がない。最終選考の5~6人に残らなければ講評を書いてもらえることもなく、なぜ選ばれなかったのかのヒントすら得られない。 だから私は、これま

          さよーならまたいつか!

          朝、むし歯治療で被せていた金属が、ポロリと取れた。 なぜかドライヤーのパーツが外れていて、どんなに探しても見つからない。 ママチャリに装着してある日傘の柄が、ポッキリ90度に曲げられていた。 キッチンハイター飛ばして、お気に入りのTシャツがサイケな水玉模様になった。 なんなん?

          朝、むし歯治療で被せていた金属が、ポロリと取れた。 なぜかドライヤーのパーツが外れていて、どんなに探しても見つからない。 ママチャリに装着してある日傘の柄が、ポッキリ90度に曲げられていた。 キッチンハイター飛ばして、お気に入りのTシャツがサイケな水玉模様になった。 なんなん?

          ファイト!

          四十歳を、少し過ぎた頃のことだった。 ある日いつもの道を歩いていて、私は唐突に「……あ、終わったんだ」と気付いた。 それは「終わってしまった……」というような悲しみとは真逆の、実に晴れ晴れとした歓喜の感情だった。 例えるならば、じめじめとした梅雨空が晴れていくような、しつこい片頭痛がとれたような、あるいは濁って淀んだ視界がクリアに磨かれて、目の前がパーッと開けたような、そんな感じ。 大したことではない。 向こうから歩いてきた男性が、私に対して何の注意も払わず、かけらも視界

          地球儀の丸し八月十五日 皆様、こんばんは。 79回目の終戦記念日を迎えました。 今一度、「no more war」と記したいと思います。 殺戮のない夢みたいな世界を、しっかりと目を開けたまま夢見つつ、祈りを込めて。

          地球儀の丸し八月十五日 皆様、こんばんは。 79回目の終戦記念日を迎えました。 今一度、「no more war」と記したいと思います。 殺戮のない夢みたいな世界を、しっかりと目を開けたまま夢見つつ、祈りを込めて。