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詩『あかく咲いた太陽』

『明日になればすぐ
 また雷鳴のような
 つぼみを産むから
 赤く咲いた太陽で
 わたし、を汚して』

何度もあなたにそう呟いた

冷静でいられないスイッチを押して、内部を掻き乱して。野良犬みたいな火照る夏を拾ったのに、飼い慣らせずにいた。煮えたぎる左胸の弾丸を摘出してみせるから、燃えるような熱量を分け与えて、スコールみたいなあつい雨を降らせて。紅潮した獣の慟哭。もっとシンプルに、もっと赤道直下で、生きてゆけばいい、生きられたらいい。ほら、獅子の四肢をここに刺繍して頂戴。楽園の果ての太陽が血を流して、泣いていた。ひかりがこんなにも悲しくて、まぶしい朝焼け。耳が鼓動をつかまえようと背伸びをしていた。とくん、と、くん。くんくん、鼻が労働を開始する。血を煮詰めたみたいな苺ジャムが鮮やかに食欲を手招きしていた。台所から不器用な音。欠けた皿に転がった真っ黒なフレンチトースト。甘過ぎて焦げた朝食は、あの頃のわたし、たちの蜜月を象徴していた。

私は毎朝、顔を洗って、フルーツグラノーラにローファットミルクを注いで、わざとしばらく放置する。少しふやけたシリアルとドライフルーツをささっと流しこむ。そして念入りに化粧をして、きちんとスーツを着て、ヒールを履く。小ぎれいになった私を汚すような太陽はもう昇らない。ここは楽園を埋め立てた都市部。クーラーが温暖化を加速させている。

『ワタシ、ヲ、汚シ手、』


photo1:見出し画像(みんなのフォトギャラリーより、ららこーらさん)
photo2:Unsplash
design:未来の味蕾
word:未来の味蕾


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