#連続小説
メリークリスマス フォーユー 【短編小説】扉①
となりの扉①
メリークリスマス
季節外れのこんな時期に何を言ってるんだ。
もう何もかもめんどくさくなって、
部屋の片隅でほこりにかぶったままの
小さなクリスマスツリーを見て思う。
それは11月のことだった。
「ねぇ?可愛くない?」
そういって私はクリスマスツリーを手に取った。
よくある卓上のタイプで
電源を入れるとブルーのライトに光る。
「お!いいじゃん、買おうよ!」
部屋
はじまりのハニーラテ 【短編小説】扉⑨
隣のとびら⑨
「じゃあ、僕とかどうですか?」
ケーキ片手に、何言ってんだ。
心の中で思う。そんなこと言えるタイプだった?
いや、言ったの自分だし。
なんでもない風な顔を作ってる内心焦ってる、自分で自分に焦ってる。
涼しい顔で、彼女の目の前にケーキを置いてみる。
今の今まで仕事中だった。
いや、今も仕事中。
喫茶店でウェイターをしている。
入ってきた時から、目を引く美人だなと思った。
顔が