うさぎの鳴く声③【小説】
「今週末空いてないかな?」
母からのメッセージにため息をつきつつ、返事を返す。
「なんかあったの?」
せっかくのお休みは、せっかくのお休みとして使いたい、ささやかな抵抗。
「トマトの動物病院、お願いできないかと思って」
ついこの間起き抜けに、八百屋の配達員かのように、動物病院に早朝配達したと思ったけど、もう2週間。まだ動物病院に通ってるのか。
子供に罪はないというけど、ウサギのトマトにも罪がないということなのだろう。
仕事の帰り道、もう日の暮れ始めた空の元、道行く人を眺めなが