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なんでも読みます

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「リクエストに応えてなんでも読む」という仕事ができればと願い、シミュレーションを兼ねてストーリーにしてみました。どなたかスポンサーになっていただけませんか?
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記事一覧

なんでも読みます(8)なにも読まない

 暑い夏だった。終わらないのではないかと思うほど、長い長い夏だった。でも地球は周り、季節…

みのむし庵主
1か月前
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なんでも読みます(1)時刻表を読む

 カランコロンカラン。  ドアの上部に取り付けられた、ベルが揺れた。今日は、何を朗読する…

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なんでも読みます(2)レシピを読む 

 クルマから降りると、真新しい2階建ての白い建物が目に入った。高齢者の方が数十名住んでい…

4

なんでも読みます(4)恋文を読む

 年を重ねると自分で読むのが億劫になるようで、読んで聞かせてほしいという思いが強くなるの…

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なんでも読みます(5)プレゼン資料を読む

 暑い。夏だから暑いのは仕方ないとか、分かり切ったことは言いたくないくらい、暑い。私が子…

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なんでも読みます(6)スポーツ新聞を読む

「じゃあ、レイコーね。」  そのオーダーの一言で、出身地とおおよその年齢が分かってしまっ…

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なんでも読みます(7)子守唄を読む

 空には絵に描いたような入道雲。なのになかなか雨は降らない。横断歩道の白線が反射して目にしみる。今日も灼熱の一日だ。夕立でも降って、街の熱気を連れ去ってくれたらいいのに。   今日のお客様は50代半ばくらいだろか。きちんとした佇まいの女性だが、どこか寂しさがうかがえる。 「今日はこれを読んでいただきたいんです。」 差し出されたA4の真っ白な用紙には、歌詞と思しき言葉が印字されていた。 「ねんねんころりよ おころりよ ぼうやはよい子だ ねんねしな ぼうやのお守りはどこへいった