なんでも読みます(7)子守唄を読む
空には絵に描いたような入道雲。なのになかなか雨は降らない。横断歩道の白線が反射して目にしみる。今日も灼熱の一日だ。夕立でも降って、街の熱気を連れ去ってくれたらいいのに。
今日のお客様は50代半ばくらいだろか。きちんとした佇まいの女性だが、どこか寂しさがうかがえる。
「今日はこれを読んでいただきたいんです。」
差し出されたA4の真っ白な用紙には、歌詞と思しき言葉が印字されていた。
「ねんねんころりよ おころりよ ぼうやはよい子だ ねんねしな
ぼうやのお守りはどこへいった