[プチ読書] 歴史修正主義 / 武井彩佳 著 ~"序章 歴史学と歴史修正主義"を読んで ~
こんにちはMinimal Orderです。普段は音楽を制作して配信をしたり、音楽に関わる記事を書いたりしています。
しかしながらこの記事は、音楽にこだわらず、積ん読している本に少しでも触れ、発見したことを綴っていく企画/マガジンの一環です。
「一冊」ではなくて、「読めている一つの章」だけクローズアップしても良いではないか!という発想ではじめました。
ざっくりどのような本と捉えたか
本書は、政治的な意図を持って歴史を否定し、書き換えようとする動き=「歴史修正主義」の実態を明らかにすることで、同時に「歴史(とは何か)」そのものについて理解が深まるという企て。
特に、読み始める前よりも「歴史修正主義」が個人や世の中に与えるインパクトは、非常に大きなものと映っている。
「歴史観」は人の「価値観」に影響を与え、「価値観」は「発言や行動」として発露し、一人ひとりの「発言や行動」が「人生」や「世の中」をかたち作っている。
だからこそ、歴史を変えようとする行為は「人生」や「世の中」を変える大きな力を持っているのではないか。
章の構成
序章 歴史学と歴史修正主義
第1章 近代以降の系譜
第2章 第二次世界大戦への評価
第3章 ホロコースト否定論の勃興
第4章 ドイツ「歴史家論争」
第5章 アーヴィング裁判
第6章 ヨーロッパで進む法規制
第7章 国家が歴史を決めるのか
読書進捗は?
序章を読み終えて、1章の途中です。
その他、末尾の「おわりに」なども先行してななめ読みしました。
特に以下のパラグラフが好きで、中身を読み進める前に触れることができてよかったです。良い思考の指針になりそうです。
序章で印象に残った点や発見は?
①歴史学の重要人物・重要書籍がこの先も知れそう
具体的には:
・近代歴史学の祖、レオポルト・フォン・ランケ
・「歴史とは何か」で有名なイギリスの歴史家、E・H・カー
この調子で、他の章からも気になる参考書籍が見つかりそうです。
(巻末には参考文献がまとめられています)
②今まで"事実"と"真実"をちゃんと使い分けてなかったかも
事実と真実。これまでは意識せずに、時に混同していましたが、これを機に使い分けようと思います。
事実は実際にあった"事柄"。
真実は偽りのない"解釈"
と、捉えました。
③偽りのない"事実"でも、かき集め方、切り取り方で解釈は変わってしまう
「事実は魚屋の店先に整然と並んでいる魚ではなく、広大な海を泳ぐ魚のようなもの。どこをどうピックアップするかは漁師(歴史家)次第」という主旨のE・H・カーの言葉にもあるように、歴史の記述においては必ず事実の取捨選択が行われます。
たとえ、全て偽りのない事実を"選択"したとしても、取りこぼされている事実や表現上強調されてしまう事実があります。
その為、「偽りのない解釈」を目指したくても、「事実の切り取り方によってどうしても解釈が揺らいでしまう」というジレンマが生まれます。
"「偽りのない事実の寄せ集め」ですら解釈が揺らぐ"という歴史記述の宿命は、目からウロコでした。
おわりに
今回は、武井彩佳 著、歴史修正主義 ~ヒトラー賛美、ホロコースト否定論から法規制まで~の序章ピックアップしました。
今後はまた同じマガジン上で、別の章や別の書籍について記事を書きたいと思います。
出典
対象書籍
その他出典・参考
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