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オーディブルで小説を読むようになって変わったこと。

相変わらず仕事に子育てに家事に忙しい日々だけれど、最近は小説を読むことが私の一つの趣味になりつつある。
アマゾンオーディブルのおかげだ。

本当は文庫本を片手に自宅のソファやカフェでお茶の飲みながら紙を一枚ずつめくって読めたりすればいいのだけれど、
そのような優雅な時間は私にはないので、「何かをしながら耳で小説を聞く」という片手間で小説の世界に触れている。

通勤や家事の合間に耳読しているけれど、この3月4月だけでも数冊の小説を耳読したので、ばかにできない。

その中の3冊を紹介してみます。
1冊目は芥川賞受賞作のこちら、『ハンチバック』

「ハンチバック」という不思議な言葉は、背骨が弓のように大きく曲がっていること、またそうした人のこと
その主人公、井沢釈華(しゃか)は、親が残したグループホームで暮らす重度障害者の視点で描かれている。
この本の作者の市川さんもまた、同じ障害者を持つ。

こんな世界があるのか、生涯のある人はこんな風に考えているのか。
それを少しでも考える機会を持てるだけでも、この本を読む価値があると思う。

2冊目は『息が詰まるようなこの場所で』。

湾岸エリアのタワマンに暮らす家族たちを舞台にした家族たちの物語。
タワマンの住人の中での「階層」やそこに住む住人の仕事や子どもたちの受験など、本当に聞いているだけで息が詰まりそうな話の描写がリアル。
少なからず、自分もこのタワマンの住人たちのように受験戦争の波にのまれているだけに、他人事には思えなかった。

3冊目は『百年の子』。
アマゾンオーディブルでは女優石田ひかりの朗読が耳心地よく、続けて聞くことができた。

舞台は、令和と昭和の、とある出版社。
コロナ蔓延の社会で出版社に勤める女性と、その祖母が生きた昭和の戦時中のエピソードが主な舞台。
戦争の話は数え切れないくらいあるけれど、東京でその時代を生きている女性たちが、普通に働いたり、生活する中でどんな気持ちで生きていたのか、そんなことを想像させてくれるような物語をこれまで読んだことはなかったように思う。
自分なりの感想も少し書いてみた。

***
どの本も私に考える機会を与えてくれた。
最所あさみさんのnote記事に、「物語は私を拡張させる」という話が出てくるが、まさにそんな感じだ。

読む前よりも私は、自分が少しだけ考える視点が増えている。
それは思考だけの話ではなく、日々の行動や態度にも影響を与えている。

もう、小説を読まなかった以前には戻れない。戻したくない。
これからも、1冊に読了するのに数日かかる小説を読むことは続けていくだろう。
そのたびに、自分が少しずつ、私はい人や世の中、時代、歴史、それらに思いをはせて、「人間」を理解していくことができるようになることがうれしい。

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