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マインドフルな状態とは何?

「マインドフルな状態とはどういうものですか?」と質問を受けました。

マインドフルな状態とは
リラックスした状態?⇒違います。
心地良い状態?⇒違います。
穏やかな状態?⇒違います。
一つのことに集中している状態?⇒違います。
ゾーンに入っている状態?⇒違います。
変性意識状態?⇒違います。
雑念も思考もない状態?⇒違います。
幸せに包まれている状態?⇒違います。

ヨガや瞑想の指導者を含めて、多くの人がこれらの状態をマインドフルネスと誤解しています。

誤解する理由は、正しい取り組みを継続し、マインドフルな状態を経験していないからです。知識や情報を重視して頭でっかちになり、頭での理解が先行しています。指導者する立場の人間がこれでは問題です。心を誤った方向へ導くのですから。

マインドフルな状態とは「今ここ」で起きている事象の全てに気づき、観ていること。それに対して評価せずにありのままで居ること。囚われていないこと。

この状態を作る方法がマインドフルネスの瞑想や実践です。完全にマインドフルな状態になるのは悟った人しか無理です。何十年の修行を積んでも、その境地に行ける人は極少数と言われています。

しかし私たちのような俗世間的な日常を送っている凡人でも、マインドフルネスの瞑想を続ければ、マインドフルな状態に近づくことが十分に可能です。

完全にマインドフルな状態を作ることが出来なくても、そこに少し近づくだけで、多くの人が抱えている心と身体の悩みや問題のほとんどが解決します。


マインドフルな状態に近づく方法は、理屈上は簡単です。その方法は「今この瞬間」の自分を客観的に観ること。

例えば「自分が何を考えていたのか?」「意識がどこに向いていたのか?」と「今この瞬間」の心の動きに気づくだけでも、マインドフルな状態に足を踏み入れています。

これはマインドフルネスの瞑想に取り組んだことがない人でも経験があるでしょう。ふと我に返ったというやつです。

身体の感覚に気づくこともマインドフルな状態を作る第一歩です。肩に力が入っているとか、この姿勢は負担がかかっているとか・・・

心の気づきより身体の気づきの方が簡単かもしれません。大事なのは「今この瞬間」の気づきです。

マインドフルネスの瞑想を続けると、気づきの頻度が増え、気づきの解像度も上がっていきます。それに伴って私たちの人生は確実に良くなっていきます。

身体の気づきで言えば、力が入っていることに気づくだけで、無駄な力を抜くことが出来ます。「自分は今どんな姿勢なのか?」に気づけば、姿勢を整えることも可能なのです。

現状を変えるために気づきが必要。

気づきが増えると囚われも小さくなります。強い囚われは悩みや問題を深くこじらせるだけでなく、身体も蝕みます。

強い囚われはストレスホルモンの分泌を必要以上に増加させて、細胞を物理的に破壊したり、免疫システムの異常を招きます。

必要以上のストレスホルモンは、特に脳の細胞に強く影響があると言われており、IQの低下や認知症を招くことがわかっています。炎症も増大させるので病気のリスクが上がり、老化の進行も加速するでしょう。

とは言ってもただやみくもに気づきを増やすのはリスクがあります。増えた気づきを受け入れるメンタルが整っていないと、気づきが増えることで囚われが強くなるのです。

気づきを増やすと同時に囚われない力も高める必要があります。


囚われが強くなるほど視野は狭くなり、キャッチできる情報も限定されます。

例えば、本当は選択肢が5つあるのに3つしか見えない状態。最適な選択肢は4と5かもしれません。1~3は最悪の選択肢かもしれません。

しかし視野が狭く3つしか選択肢が見えない人は、4と5を選ぶことが不可能です。4と5の存在を認識すら出来ません。最悪の選択肢である1~3の中から選ぶしかないのです。

囚われが強い状態で何かを判断するのは得策ではありません。誤った判断を下す確率が高くなります。

マインドフルネスの瞑想や実践に取り組むと頭が良くなると言われていますが、それは囚われが小さくなることで視野が広がり、キャッチできる情報が増えるからです。私たちの思考力や判断力は、キャッチできる情報量に依存しているのです。


マインドフルな状態、囚われていない状態を頭で理解することは不可能です。言語化できない領域なので、本当の意味で理解するためには自分でその状態を体験するしかありません。

体験するには正しい瞑想の実践が必要不可欠です。マインドフルネスは感覚的なものですから、知識ではなく実践から入らないといけません。

どれくらい実践を続ければマインドフルな状態を体験出来るのか?

これは個人差があるのでなんとも言えません。確実に言えるのは、巷に溢れるリラックスや心地良さを求める瞑想をいくら続けても、マインドフルな状態を体験するのは不可能だということ。

リラックスや心地良さはある種の囚われです。マインドフルな状態とは真逆の状態です。

リラックスや心地良さが悪いのではなく、それはマインドフルネスとは違うということ。マインドフルネスの瞑想や実践に取り組もうと考えている人は、これをしっかり理解してください。

指導者も含めて、マインドフルネスを誤解している人があまりにも多すぎます。だから何度も何度もお伝えするのです。

そもそもどうしてリラックスや心地良さを瞑想に求めるのでしょうか?

リラックスや心地良さが目的であれば、お金もかからず簡単で有効な方法が他にいくらでもあります。わざわざお金と時間を使って瞑想に取り組む必要はありません。

なぜリラックスしたいのか?

なぜ心地良くなりたいのか?

リラックスや心地良さを求めることに良いも悪いもありませんが、そこに逃げ込んでも、悩みや問題は何も解決しません。逆に悩みや問題が深くなるので、逃げずに出来るだけ早い段階で問題と向き合うことが必要です。

プロフィール
西山 純一 
大阪マインドフルネス研究所
https://www.mindfulness-lab.com/

メンタルトレーナーとして多くのプロアスリートや経営者、アーティスト、医療従事者、教師や心理士、学生やビジネスマンなど幅広い人にマインドフルネスをベースとしたマインドの使い方やメンタルコントロール、食事改善や運動、ダイエットを指導。

指導歴は18年 1000人を優に超える人達に指導してきた。

20代前半でアメリカのパーソナルトレーナー資格を取得して、大手フィットネスクラブや関西のスポーツ強豪大学や高校でスポーツトレーナーとして活動。

同時期に大学で心理学の単位を取り、心理カウンセラーとしての訓練も受ける。専門僧堂や禅寺でも禅や瞑想を学び実践する。

プロアスリートや年商数十億円を超える経営者をクライアントに持ち、うつ病を始めとする精神疾患やガン患者、難病患者のカウンセリングやメンタルケアも行う。

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