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健康に囚われてはいけない。身体の声を聴くこと。

今回の記事は前回の続きとなります。


健康に関心のある人ほど、不健康な印象があります。

不健康だから健康に関心を持っているのかもしれませんが、健康に意識を向け過ぎると「健康でなければいけない」という強い囚われが生じます。

強い囚われはストレスホルモンの分泌を必要以上に増大させ、細胞を破壊し、慢性化するとネガティブな身体症状がいろいろ表れてきます。

原因不明の体調不良や自己免疫疾患、病気の原因の多くはこれではないか?と主張する専門家もいます。何かに強く囚われることで身体の状態は悪い方向へ変わっていくのです。

健康への強い囚われの正体は不安です。

「病気になったらどうしよう」「老後は大丈夫か?」「今の食事内容を続けても良いのだろうか?」

不安になるのは情報に振り回されるからです。巷には健康に関する情報が溢れています。「〇〇という食品は身体に良い」「〇〇を食べてはいけない」など・・・

ある書店に行くと、「肉は身体に良い」という本の横に「肉は食べるな」という本が置いてありました。どちらもその道の研究者が書いた本です。

二つの本を読んでみましたが、共に筋が通っており話に説得力があります。素人からすれば「どっちが正しいの?」と混乱するでしょう。

これは健康に限らず、あらゆる分野で起きていることです。瞑想に関してもうつ病の改善に「効果がある」と「効果はない」という主張は専門家の間でも分かれています。

多くの人は「どちらが正しいのか?」を判断する情報を十分に持っていないでしょう。不安になったり混乱するのは当然です。


「誰の情報を信じればいいのか?」「何を食べればいいのか?」「何を実践すればいいのか?」・・・まったくの素人でも見極める方法があります。誰にでも可能で、それほど多くの勉強も必要ありません。

その方法は自分の身体に聴くことです。

「何を食べればいいのか?」「どれくらい睡眠を取ればいいのか?」「どれくらい運動をすればいいのか?」「どのような運動をすればいいのか?」

これらは全てあなたの身体がすでに知っています。身体の声に意識を向けて丁寧に聴いてやれば、正しい答えを教えてくれます。

身体に任せて生活を送れば、大量の情報に振り回されることはありません。振り回されるのはいつも頭だけです。頭の声を小さくして身体の声を聴くようにすれば、専門的な知識がなくても「これが自分にとって正しい」を見極めることが出来ます。

しかし残念なことに現代人の多くは、身体の声を聴くことが出来ません。

なぜ?

身体ではなく、何事も頭で考えて頭で判断することがクセになっているからです。

頭で考えることも大切ですが、それと同じかそれ以上に身体で考えることも大切です。現代人は頭の声だけが大きくなり、頭と身体のバランスが崩れているのです。感覚ではなく思考重視。

そのため身体は常に声を発しているのですが、聴くことが出来ません。身体の声を無視するため、本当に身体が求めていることを選択することが出来ません。

本当の意味で健康的に生きたいのであれば、自分の身体と向き合い、対話し、身体の声を聴くことをしなければいけません。私たちはこの身体を持って人生を歩んでいくのですから。他人任せではダメです。


頭と身体のバランスが崩れている現代人が、身体の声を聴くために何をすればいいのか?

それは改めて身体の感覚に意識を向けることです。思考から感覚へのシフトチェンジです。

例えば歩いている時であれば、足の裏や使っている筋肉の感覚、重心の位置やどこに力が入るのか?・・・能動的に身体に意識を向けるのです。

他には、何かに触れる、持つ、つかむ、力を入れる、しゃがむ、立ち上がるなど、この時に身体がどうなっているのか?を生活の中で意識すると良いでしょう。新しい感覚にビックリしたり、気づいたり、面白い体験です。

体系的にトレーニングする方法もあります。

それがボディスキャンという瞑想法です。ボディスキャンはマインドフルネス瞑想の一つで、身体の感覚に一つ一つ意識を向け、丁寧に身体の情報をキャッチしていく瞑想です。

ボディスキャンはかなり有効な瞑想法で、多くの書籍などでも紹介されていますが、実践は多くの人が考えているより簡単ではありません。

身体に意識を向けるのではなく、イメージや思考で行う人がとても多いのです。身体での実践と頭での実践の違いを見極めないといけません。

下手に行うと逆効果なので、独学での実践はお勧めしていません。9割以上の人は書籍やネットを参考に取り組んでも出来ないでしょう。「ボディスキャンは簡単に出来る」と言う人は偽物です。

足の裏に意識を向けた時、足の裏をイメージしたり、足の裏のことを考えるのではなく、実際に足の裏に意識を向けるのです。

言葉にすると簡単そうに見えますが、体現するのは困難です。ついイメージしたり足の裏のことを考えてしまいます。頭で考えて頭で判断することがクセになっているからですね。

ボディスキャンは、このクセを修正して、頭と身体のバランスを整えてくれます。頭の声が小さくなるので、私たちを苦しめる「妄想」も小さくなります。

書籍などに「足の裏、足の裏・・・」と唱えるように行うと解説しているものがありますが、これは間違いです。唱えるのではなく対象となる身体の部位に意識を向けるのです。



巷に溢れる健康情報の多くは、お金儲けが目的です。売る側の利益が最優先で、あなたの健康のために情報を発信しているのではありません。

専門家と呼ばれる人達も平気で嘘をつきますし、専門家自体が仕掛ける側に騙されていることもあります。

全ての健康情報は正しいとも言えますし、間違っているとも言えます。なぜなら私たちの心身の状態は、一人一人違うからです。

隣の人が○○という食品を食べて体調が良くなったとしても、その食品があなたにも効果があるのかはわかりません。薬やサプリメントも同じです。

海藻は世界で日本人と韓国人の一部の人しか、消化吸収できないと言われています。日本人と韓国人の一部の人は海藻を食べることで栄養摂取が可能ですが、欧米人が海藻を食べても栄養摂取が出来ません。消化が出来ないから。逆に欧米人が海藻を毎日食べると体調不良になるのです。

「何が正しいのか?」を見極めるためには、自分の身体に聴くのが最良です。これ以外にありません。

あなたの身体は常に正しい。それは当然です。

身体の感覚は何億年もかけて進化し、生き死にを左右するために備わった機能。常に囚われている頭よりはるかに賢いのです。

問題は身体の声をきちんと聴けるかどうか。頭の声と身体の声を混同することも多々あります。

それは「身体の声なのか?」「頭の声なのか?」を見極めるには、日々の生活で繰り返し身体に意識を向けるしかありません。またはボディスキャンに取り組むか。

地味な作業ですが丁寧に自分の身体を味わってください。続けると本当に心と身体が変わりますから。

プロフィール
西山 純一 
大阪マインドフルネス研究所
https://www.mindfulness-lab.com/

メンタルトレーナーとして多くのプロアスリートや経営者、アーティスト、医療従事者、教師や心理士、学生やビジネスマンなど幅広い人にマインドフルネスをベースとしたマインドの使い方やメンタルコントロール、食事改善や運動、ダイエットを指導。

指導歴は18年 1000人を優に超える人達に指導してきた。

20代前半でアメリカのパーソナルトレーナー資格を取得して、大手フィットネスクラブや関西のスポーツ強豪大学や高校でスポーツトレーナーとして活動。

同時期に大学で心理学の単位を取り、心理カウンセラーとしての訓練も受ける。専門僧堂や禅寺でも禅や瞑想を学び実践する。

プロアスリートや年商数十億円を超える経営者をクライアントに持ち、うつ病を始めとする精神疾患やガン患者、難病患者のカウンセリングやメンタルケアも行う。



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