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一月に 山奥で見た 寺眺め 由来想像 知的遊びか
新年早々の恒例の神事が行われている。山の奥にある小さな集落にあった。普段は人気の少ない神社の境内が、この日だけは多くの人が来てとてもにぎわっている。初詣以上に賑わう神事には、地元の人の他にも多くの見学者がいた。だが、その中のひとりの男は、それとは違うものを見つけたのだ。
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「黄色い幟はなんだろう?」偶然に空を見上げた時、ちらりと見えた黄色い幟が見える。境内は山に張り付くようにあるので、境内の横は上り坂になっていた。その方向に見える幟を目指してみる。
「こんなところに寺が!」男は驚いた。神社の境内に小さな寺がある。寺といってもお堂のようなものがひとつあるだけだが、手前にある複数の幟に「寺」と書いてあるのだから寺に違いない。
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男は寺に参拝したが、寺の由来などはわからない。「あとで調べてみるか」そう思ったが、ふと頭に浮かんだこと。こんな山奥だ。もししっかりと閉じられている、寺のお堂を開けてみたらどうなるのかと想像してみた。
小説の世界なら、そこには結界が張ってあって、異世界の入り口がある。不用意に足を踏み込んで異世界に迷い込み、それからああだこうだとなりそうだ。
いや、場合によってはお堂の中に死体が見つかるかも知れない。さあ、だれが犯人だとばかりに、刑事や探偵が押し掛けたミステリーの世界だって考えられる。
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「ふ、現実はね」誰もいないことをよいことに、思わず白い歯を見せて苦笑い。我ながら知的遊びをしたと満足げになった男は、ついでに軽く短歌を静かに口ずさむ。
一月に 山奥で見た 寺眺め 由来想像 知的遊びか
(いちがつに やまおくでみた てらながめ ゆらいそうぞう ちてきあそびか)
短歌をつぶやいた後、男は境内を見下ろしながら、みんながいるほうに降りて行った。
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今日の記事「河内長野の山奥の神社の高台にある小さな寺」を参考にしました。