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楠公の 伝承見て 感ず秋 史実と異ても 伝説生きる 

大阪河内長野に遊びに来た石坂を在住者の木戸は、ふるさと歴史学習館に案内した。理由は歴史が好きで、特に南北朝時代が好きだからなのだという。
「中々良かったよ、無料というのもいいね」石坂は終始ご満悦だ。

この後は道の駅にでも行こうと、ふたりは道の駅のほうに歩いてい行く。道の駅の手前には石川が流れている。セミの鳴き声が収まり、秋の虫が鳴き始めた夕暮れ前、とはいえまだ日差しが熱いためか、橋の下にある石川の河川敷では多くのファミリーが川遊びを楽しんでいる。

「あまり大きい声で言えないが、おそらく楠公さんの大河ドラマは10年後だと思うな」意味深なことを言う石坂。「え、なんで?」石坂ほど歴史に詳しくない木戸は意味が分かっていない。
「鎌倉幕府は1333年に滅亡している。10年後の2033年は滅亡から700年ととてもキリがいいからな」


「こんな山深い場所、まあ現実には隣の千早赤阪村のほうが正成らしいが、うん、河内長野にもいろんな伝承があるのか、よいところだ」橋の欄干で立ち止まった石佐賀がこうつぶやくと突然歌を歌いだす。

青葉茂れる桜井の 里のわたりの夕まぐれ

『楠公の歌』 落合直文 作詞、奥山朝恭 作曲、明治36年

「まあこのくらいにしておこう、大楠公の歌が似合った町だ」こうして、石坂は15番ある歌のうちうちの3番まで歌うと自慢げに胸を張った。「だったら俺もやるよ」と、木戸はそれに返すように短歌を詠んだ。

楠公の 伝承見て 感ず秋 史実と異ても 伝説生きる
(なんこうの でんしょうみて かんずあき しじつといても でんせついきる)


今回は趣向を変えて、曲からストーリーという企画に参加して短編小説を書きました。

そしてテーマは本日投稿した記事 河内長野ふるさと歴史学習館で楠木正成伝説展を開催中!をモチーフにしています。

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