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粉雪が 降りし里山 季節感 会員制と 思う豊かさ

「へえ、ここに」友達に誘われて山の上の住宅地に来ている。ここはバブルのころには億単位で売買されたという場所らしく、戸建ての家一軒一軒がとにかく大きい。友達がその下に知る人ぞ知る里山があるという。
「そこは会員制ではないけど、いたら会員制で選ばれたメンバーのような気分になれるんだ」と、何度も行ったことがある友達は嬉しそう。

 友達についていき坂道を降りていく。坂道の下は森のようになっている。それ自体はこの地域では別に物珍しくもなかった。ただ森に入る直前に入口があり、その中に入る。
「へえ、これが住宅地の下に!」さすがに驚いた。友達が自慢げになる理由がわかる。

この日は外でピクニックを楽しむ日であった。友達はすでに多くの知り合いがいるので紹介してくれる。青いビニールシートに座ると子どもたちが多くいた。
「知る人ぞ知る空間だから友達が会員制という言葉を使ったのか」食事代を支払って、みんなで食事を始める。里山で食べ食事は部屋で食べるのとはやはり違う。

ところがここで想定外のことが起こった。さっきまで雲がほとんどなく太陽が出ていたから冬なのに暖かいと思っていたのに、気が付けば雲に覆われたばかりか突然粉雪が舞ってきたんだ。
「ひえ、寒いよ」と思わず体を震わせたが、「山の天気は変わりやすいからねえ」友達は一向行きにせず。

友達の話では里山では俳句をするメンバーもいるそうで、友達も参加したことがあるらしい。「でも、難しい、俳句ってさ」と友達は余り自信がないようだ。

そのときに思った。「短歌なら自信あるぜ」と。そして無意識に友達の前で小さく声に出して短歌をつぶやいた。

 粉雪が 降りし里山 季節感 会員制と 思う豊かさ 
(こなゆきが ふりしさとやま きせつかん かいいんせいと おもうゆたかさ)

今回は、毎週ショートショートnoteの企画に参加して短編小説を書きました。(お題:会員制の粉雪

ちなみに今日はこちらの記事「河内長野美加の台の下にある里山わびすけ」をモチーフにしています。

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