高橋と 同じ名の橋 至るとこ 数えてみれば どのくらいある
「高橋の前で待ち合わせと言ったのに何これ?」女は不満だった。この町で高橋と言えば鉄道駅のそばにある橋の名前であることは相場は決まっている。だが、男は意味深なメッセージを送り返してきた。「高橋ってどの川の高橋?」と。
女は反論しようとした。決まっていることなのに。それも待ち合わせに適した駅近くで、かつ交差点にも書いているほどの橋なのだ。ところが、瞬時に冷静さを取り戻した女は、「もしや」と考えた。もしかしたら別に高橋があって、それを見つけた男がそれを元で言っているのではと。
女が調べると確かに別の川に高橋があった。それは女が思っている高橋よりは、はるかに小さいが、高橋であることは間違いない。女は男がこのことでからんできていることを理解する。
「あ、そういえば」このままでは癪だと思った女は別のことを思い出す。「これなら、あいつも慌てるかも」と、女は思わず口元が緩む。そして男にこうメッセージを送った。「高橋ってモニュメントのことよ」と。それは橋ではない。最近移築された「高橋」と名のついたモニュメントなのだ。
高橋と 同じ名の橋 至るとこ 数えてみれば どのくらいある
(たかはしと おなじなのはし いたるとこ おしえてみれば どのくらいある)
本日の記事「富田林にある複数の高橋」を参考にしました。
#短歌
#今日の短歌
#小説
#散歩日記
#高橋
#石川
#佐備川
#富田林
#南河内
#奥河内
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?