紅葉鳥 探した場所 田んぼにて かかしの中に いるかいないか
紅葉鳥、その名を初めて聞いた時、必ず探してみようと思った。伝説の鳥として知ったのは今から5年前のことである。伝承では稲刈りが終わったころの田んぼにあらわれるそうで、その色合いはあたかも大きな楓が空から風に乗って飛んでくるようないでたちをするという。
また大きな鳥という説もあり、田を荒らすような外敵を食べるほど強いため、紅葉鳥を強く信じている地域ではその形をした凧を揚げてかかしのように稲の外敵を排除しているのだ。
ただし、あくまで想像の世界、誰も紅葉鳥なる存在を実際に見た者はいない。いったいいつからそのような伝承が誰の口から広まったのかはわからないが、生物学の世界ではあくまで一部地域の伝承ということで片づけてしまっている。また夕日に照らされて赤く見えた鷹か鷲だろうということで結論付ける研究者もいた。
だが、紅葉鳥が必ずいると信じた男は、毎年稲刈りの時期になると各地の田んぼにいきバードウォッチングを始めている。もし伝説の紅葉鳥が発見されればその効果はとてつもなく大きいものに違いない。そう信じた男は「必ず紅葉鳥がいるんだと」信じて田んぼの周りを歩く。男の中で紅葉鳥探しは主に11月中のミッションで、12月に入れば探すのを止める。そして翌年の10月下旬になればまた1月余りかけて探し回るのだ。
そしてこの日も紅葉鳥がいないかと、ある田んぼに来た。するといろんな色合いのものが稲刈りが終わったばかりの田んぼのあぜ道に立っている。「あの中に?」男はその場に行ってみた。だがそこにあるのは紅葉鳥ではなかったのだ。様々な色、形をしたその正体は「かかし」である。アートのような「かかし」を見た男は項垂れた。だが、あまりにも個性的な「かかし」が並んでいる為だろうか?男はふと思いついた五七五七七の短歌をつぶやくのだ。
紅葉鳥 探した場所 田んぼにて かかしの中に いるかいないか
(もみじどり さがしたばしょ たんぼにて かかしのなかに いるかいないか)
今日は、こちら小牧幸助さんのシロクマ文芸部という企画に参加しました。
こちらの本日の記事、富田林で明日から2日間かかしフェスティバルが行われる紹介をしたものを参考にしました。
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