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最近の記事

ルイーズ・ブルジョワ展 - 笑える人/笑えない人

森美術館で開催中の『ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ』に行ってきた。 私にとってブルジョワは10代の頃から敬愛し、最も影響を受けたアーティストだ。日本での開催は1997年の横浜美術館以来27年ぶり。今回の展示はアジア初公開となる97年以降から2010年に亡くなるまでに制作した作品も含めた網羅的なもので、変わらず素晴らしい作品群に圧倒された。また、鑑賞中に偶然遭遇した出来事にも大きなショックを受けた。 ルイーズ・ブルジョワというア

    • 『存在の耐えられない軽さ』忘備録

      ひとつ前の記事は、ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』を久しぶりに読んでいて思い出した話だ。何せこの作品ではロシアより圧倒的にチェコの悲劇に揺さぶられるから。 読んでくださった方は分かったと思うが、あの小説家が特段最低だった訳ではない(他の会話でも幻滅はあったが)。今で言う港区系みたいなところに私という異物が混入しただけの出来事で、私は彼らをくだらないと軽蔑するし、彼らにとっては私と連れが嘲笑の対象だったというだけのこと。だから周囲にもほぼ話したことがない。 あの時

      • とある小説家の本を捨てた話

        20代半ばの頃、偶然とある小説家と同じテーブルで飲む機会があり、その夜の出来事から彼の作品を捨てたことがある。 某アーティストの展示のオープニングパーティに行った。その方とは数ヶ月前の企画展で知り合い、その企画展のキュレーターのサポートをしていた10歳上の女性と懇意になったので彼女と共に行き、2次会にも誘われて参加した。 そのアーティストは賑やかで派手な人たちに囲まれているそこそこ売れっ子だったので、いわゆる煌びやかな人たちや、アート作品を買える資産を持つような男性がいた。

        • 地獄でも受容できた作品群

          1ヶ月ほどずっと地獄のようだ。 調子を崩していたところに、昔から抱え続けてきている問題が再燃したのがキッカケだけど、ここに至って、ああもう出口ないんだろうなと。 私はコアなSFファンからは軽視される傾向のあるハインライン『夏への扉』が好きだ。いずれかのドアは必ず夏へと繋がっていると信じるピートが大好きで、私もそう信じたいからだ。 明るく前向きな表現を愛するのは”真っ当な”人だけではない。絶望している者もまた、信じたいから愛するのだ。 小沢健二は予め絶望しているから好きだ。

          少年期の夫に出会う - 文化は飢え次第

          何年も空き家状態の夫の実家に借り手が現れたので片付けを進めている。 夫の実家は限界"突破"集落。山の中にぽつんと数軒の集落があり、現在子供はおらず老人が少し住んでいるだけの本物の山奥だ。もちろん夫の出身小中高全部廃校。そんな地へ、県外から30代夫婦が田舎暮らしに憧れIターンすると。購入も考えているが一旦は賃貸でという話になったので、どうかガチの山奥を舐めてないことを祈る。 お店などは当然ない。現在も何キロも先の隣町でやっとコンビニにありつける。本屋などはもっと遠い。 ネッ

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          フジロック クラフトワークの問題点 - 福島の象徴化はチフスのメアリーの再生産

          クラフトワークがフジロックの『Radioactivity』で「フクシマ」「放射能」と歌ったことが話題になった。 そもそも『Radioactivity』は英語でRadioactivity=放射能であり、収録アルバムのジャケも原子力マークだ。発売は1975年。 坂本龍一が発起人の『NO NUKES 2012』でも『Radioactivity (Fukushima Version)』をアクトしている。 「日本でも 放射能 きょうも いつまでも  フクシマ 放射能 空気 水 すべ

          フジロック クラフトワークの問題点 - 福島の象徴化はチフスのメアリーの再生産

          窓の向こうの世界

          2週間ほど異世界にいた。 マインクラフトにどっぷりハマって睡眠時間も削り健康を害すレベルだった。 子供の頃、レゴで家を作るのが大好きで、今もたまに自由度高い箱庭系アプリにハマることを思い出し、そういえばマインクラフトってクリエイティブモードなるものがあるらしいよねと試してみたら最高にレゴで夢中になった。 テトリス以来テトリス以上の視界汚染されてて、街を歩くと建物も道路も木も全部ブロックに見えるし、「これはあのブロックで再現できるな…」とかばかり考えてしまう。 私の夢中っぷ

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          恋する膀胱

          あたしの膀胱、恋しちゃった。 きゅーんってするの。 はじめて膀胱炎になった時、本当にこう思ったし夫にこう言った。 人生2度目の膀胱炎になってしまった。 きゅんきゅんする(膀胱が)!きゅーんって切ない(膀胱が)!お熱なの(物理的に)! どう考えても膀胱が恋してるとしか思えない症状だからみんな言ってるはずだと検索してみたら、まさかの1ヒットでびっくりした。嘘でしょ?絶対にみんなそう感じるはずなのに、、 しかも唯一の「🔎膀胱 恋」検索ヒットは中古の18禁BL同人誌だった。 サー

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          前回記事こぼれ話 - 小沢健二と小山田圭吾

          前回の記事『90年代の空気、鬼畜ブーム余波としての無邪気さ』のこぼれ話です。 フリッパーズギター・小沢健二・Corneliusファンである私が彼らに触れないのは不自然かと思いつつも、焦点がボケるし冗長かと書かなかったので。 岡崎京子が『リバーズ・エッジ』で「平坦な戦場で僕らが生き延びること」を引用していることを書いたが、この界隈・この時代でのもうひとつの「戦場」表現は、言うまでもなく小沢健二『戦場のボーイズ・ライフ』だ。リリースは95年。 この時あの時代、戦場であり暗闇

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          90年代の空気、鬼畜ブーム余波としての無邪気さ

          ずっと二の足を踏んでいた西村賢太を読んだ。『小銭を数える』を一晩で一気に読んだ。すごく良かった。結句(via西村賢太)、私が危惧していた、著者を覗き見して上から目線で消費するみたいなことは起こらなかった。作品に力があれば、そんな下衆な感情は呼び起こされはしないのだった。 自身でも自覚しているけれど、私は他者をコンテンツとして消費することに非常にナーバスだ。 映画『PERFECT DAYS』についての記事でも平山を消費したくないと書いたし、『消費する権利 ー 懺悔』という記事

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          6/1の日記 - 小沢健二とビョークの邪悪

          土曜。久しぶりに髪をショートにした。昔からなんやかやショートが似合うと知ってるのに長い時期も長い。 カットもパーマ具合もいい感じで、乾かして貰ってる時にその塩梅について話してたら、美容師さんが「ここをこうしちゃうとフェミニンになっちゃうからこうした」と言うから、さすが私のことよく分かってると笑った。妙齢越えの女のショートからフェミニンさを排除するって、普通しない。私が過去にサイドを刈り上げまくったツーブロショートだった時期も知っているから成せる技。 この美容室は、福岡に引っ

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          深夜の決意

          決めた!今決めた! ペンディングしている文章があるんです。フリッパーズギターのZineを読んで「ここにいた!近い!」ってことがあったので私が思っていた小沢健二についてのテキストを歌詞引用しつつ1記事は書き上げているのだけど(予定はもう1つと同時公開。2回に分けようかなと思い未着手)、どうしょもなく無粋と思ってしまって。 だってさ、そんなことわざわざ言葉にしなくても聴けば感じるだろ!って自分ツッコミのパターンに陥ってしまって。 でも今ふと久しぶりに『ヘッド博士の世界塔』を聴い

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          閲覧注意の蒐集

          このお題記事にある「蒐集は研究のはじまり」という言葉を読んで、私なりの思いを書いてみたいと思い立った。ただし、摂食障害に関わる内容なので、ハッシュタグから来た方は読まれるかよくご検討ください。 私は様々な画像を蒐集する癖がネット黎明期からあり、Pinterestとは非常に相性が良いので12年ほど前からやっている。多数のボードがある中で、一切他の方からのピンをせず独自アップのみしているのがひとつだけある。なぜなら、そんな画像は誰もアップしていないからピンのしようがないからだ。

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          CIRCLE'24 DAY2 の1日

          福岡の音楽フェスCIRCLE'24の2日目に行ってきた。私は昔から日光に弱く、遠足や林間学校、キャンプやBBQをした夜は発熱するナチュラルボーンインドアな上に体力もないから連日は無理で。 今年はCHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN(チョコパコチョコキンキン)を絶対に観たかったから2日目にした。彼らは1番手11:30〜だったので早起きして開場即滑り込みした。 チョコパ、すんごい良かった。ベースYutaは細野晴臣さんのお孫さんなのだけど、近くで見ると思わず

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          笑ってくれるから、泣く

          夫のちんげを燃やして2人で爆笑した。 唐突にすみません。でも昨夜の事実なんです。子供いないからというのが大きいのだろうけど、私たちは毎日あれこれ話しては笑い合い、ふざけ合っている。 昨夜、ライターを手にしてなんとなく「燃やしてやる〜」って夫のズボンずらして火を近づけたら本当に火がついてしまって、しかも想像よりボワっと燃えたのでめちゃくちゃ笑ってしまった。一部分だけだったし、一瞬で消えて燃え広がることはなく毛も消滅しなかったから笑えたのだけど、それにしてもちんげ燃やされたのにな

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          なかなか線路に乗らない音楽遍歴

          陰鬱さからは脱したけれど、相変わらず文字を読んでいる時が一番充足感あるので4冊買った。結局、西村賢太はまた見送ってしまった。 ・『ベレー帽とカメラと引用』03号、04号 ・小川洋子『密やかな結晶』 ・川上未映子『ヘブン』 『ベレー帽とカメラと引用』は、note経由で知ったフリッパーズ・ギターについてのZineだ。03号は牧村憲一さんの慶応での講義「牧村塾・フリッパーズギター研究会」の増補(講師は中村四郎さん)と知って前のめりで買って読了。特に「音韻」「僕」「年齢」「数字」

          なかなか線路に乗らない音楽遍歴