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娘、最推しのSUZUKAに会う【新しい学校のリーダーズLIVEレポート】
それは、京都へ家族旅行に行った時のことだった。飲み物を購入するためにふらっとローソンへ入ると、4人組女性アーティーストの巨大ポスターが目に飛び込んでくる。
ポスターによると、今をときめくアーティスト「新しい学校のリーダーズ」が全国ツアーを開催するらしい。
↑ライブ案内のYouTubeはこちら
4歳の娘はそのポスターを見るなり、足を止める。何を隠そう、娘はポスターに映る「新しい学校のリーダーズ」の大ファン。
食い入るようにポスターを眺める娘を見るなり、夫は、ローソンに置かれていた冊子を娘に手渡す。冊子の表紙を飾るのは、リーダーズのメンバーたち。
娘はリーダーズの写真を見て、嬉しそうにニコニコと笑う。その後、メンバー1人1人に指をさして、私に「この人の名前は?」と顔で合図する。
私が「それは、SUZUKA(スズカ)だよ」と言えば、ニンマリと微笑む。逆に私の方から、「KANON(カノン)はどれ?」と言えば、指を差す。もちろん、全て正解。娘は、メンバーの顔も名前も、全員把握しているのだ。
メンバーは全員大好きだけど、その中でも特に娘が好きなのがメガネ姿がトレードマークのSUZUKA。TVでSUZUKAの姿を見ると、娘は嬉しそうにじっと眺めている。ダンスを踊る時も、SUZUKAを意識して見よう見真似で踊ることが多い。
まだ喋れないので、言葉では言い表せないけれども。娘の気持ちは、表情でそれとなく伝わる。娘の細かい気持ちを汲み取れるのは、親の特権かもしれない。
リーダーズの冊子を嬉しそうに眺める娘を見るなり、夫は「新しい学校のリーダーズのコンサート、行こう!」と途端に叫び始めた。その声に、私は思わず狼狽える。
娘はまだ4歳だし、気に入らないことがあれば突然癇癪を起すこともしばしば。そんな娘をコンサートに連れて行って、大丈夫だろうか。不安を抱える私の背中を押すように、夫はこう言い始めた。
「〇〇ちゃん(娘の名前)を、たくさん喜ばせてあげたい!色んなところに連れて行って、さまざまな経験をさせてあげたいんや!」
こうなったら、最後。もう夫は誰も止められない。夫はスマホから、すぐさまチケットの申し込みを行う。(※当選後に、ローソンに設置された機械「Loppi」で発券する)
夫によると、新しい学校のリーダーズは抽選式らしい。チケットの申し込みに手慣れた様子の夫を見るなり、私は目を丸くする。
思い起こせば、昔はコンサートのチケットを取るために、電話をかけ続けていたっけ。電話を必死にかけても、チケットが取れなくてガッカリしたことは星の数ほど。抽選式なら、その煩わしさがない。便利な時代になったなぁと、つくづく思う。
新しい学校のリーダーズは、紅白歌合戦にも出場している超人気のアーティスト。抽選も正直、当たらないだろうと思っていた。まさか当選するなんて。席はBブロックの中央付近で花道にも近く、近くでリーダーズを拝めそうだ。
「リーダーズのチケット、当選した!」
夫の声を聞くなり、娘の顔がほころぶ。娘は、最推しのSUZUKAに会えるのだ。
◇
娘には発達遅延があり、歩くまでにかなりの時間がかかっている。
そんな娘が、よちよちとした足で歩けるようになった頃、踊り始めたのが新しい学校のリーダーズの「オトナブルー」だった。
娘は喋るのも、歩くのも遅かったが、好きなフリを覚えるのは猛烈に早い。オトナブルーの振りに至っては、ほぼ完コピ状態。フリを覚えているので、曲の1フレーズが始まる前に先のフリを踊ってしまう。そんな時、娘の表情は得意げだ。
娘は「新しい学校のリーダーズ」のおかげで、みるみるダンスが上達した。そのスキルは、保育園の入園テストでも役に立つ。
入園前には、集団のダンステストがある。娘はまだ喋れないし、出来ることも他の子より少ない。だから集団でいる時も、少し遠慮がちに隅っこへいることが多い。けれどそんな娘も、踊りになると、率先してセンターへ行き、キレキレのダンスを披露する。
自信あふれる表情で踊る娘を見るなり、その場にいた先生やママ達は、全員目を丸くする。そりゃ、ついさっきまで「やっと最近、歩けるようになったんです……」って私がボヤいていたので。
踊りに関しては、私も不思議で仕方ない。おそらく娘を見ていると、好きなことに関しては没頭できるので飲み込みも早いのかも。
娘の「好き」を大きく育ててくれたのが、新しい学校のリーダーズだ。彼女たちには、本当に感謝しかない。
◇
11月16日。新しい学校のリーダーズのライブ当日、現地へ向かう。
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グッズ売り場へ行くと、すでに多くの人々で溢れていた。グッズ購入前に、インターネットで「欲しいグッズ」に目星をつけていたが、すでにお目当てのジャージは売り切れ。
現地ファンに声を伺ったところ、ジャージは大人気ですぐに完売するらしい。
スタッフの方に「少し待ったら、商品の補充はありますか?」と尋ねてみたものの「ここの会場では、もう再販はありません」とのこと。ジャージの他には、「青春日本代表」とプリントされた靴下も売り切れていた。
ジャージや靴下はコンサートで着用できるので、どうやら人気の様子だ。インターネットでグッズ販売もしているが、人気アイテムは出してすぐに売り切れてしまうらしい。欲しいグッズがあったら、早めに現地入りした方が良さそうだ。
私たちはジャージを諦め、ツアーTシャツやタオルなどを購入した。着替え場所はないので、Tシャツなどはすでに着用して現地入りしている人が多かった印象。会場にはツアーグッズではなく、オリジナルで衣装を発注して着用している方の姿もしばしば。
会場にいた1人の方にお話をヒアリングすると、「新しい学校のリーダーズが着用しているような、制服に文字を入れていくオーダー」をすると、それなりにお金がかかるらしい。
↑この「制服に文字を入れる」という衣装を作るのはテクニックが必要で、かなり大変らしい。
私が聞いた方は海外でオーダーして4万かかったらしいが、日本だと3倍高いそうだ。
衣装の制作にまつわるお話を聞くにつれ、本人たちがライブやステージで着用する衣装には色々なこだわりが詰まっているし、用意するまでにも色々なプロセスがかかっているのだろうと悟った。
◇
会場のトイレは混んでいたため、私は夫を盾にしてサッとツアー用のロングTシャツに着替える。
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グッズ販売の隣には、撮影用ブースや、新しい学校のリーダーズのグッズが入った「ガチャガチャ」コーナーも設置されていた。
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夫は大のガチャガチャ好きで、このコーナーに大はしゃぎ。
ガチャガチャは1回500円。合計6回試したので、ここで3,000円出費する。
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「3,000円も使うなら、ツアーTシャツ買った方が良くない?」
一瞬そう言いかけたが、カプセルを開ける度に一喜一憂している夫を見ると、まぁいいかと思った。
きっと夫は、カプセルを開けるワクワク感を買っているのだから。
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◇
コンサート会場に入って、まず驚いたのが「プレゼントの渡し場(ボックス式になっていて、その中にファンからのプレゼントを置けるシステムになっている)」が設置されていたこと。
まさか、ファンからの贈り物を渡せるシステムになっているとは。ファン想いで、親切だなぁと感じる。
それにしても、過去に娘のクリスマス祝いで、「新しい学校のリーダーズ」のイラストを描いたことのある私は、ちょっぴり後悔。
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プレゼントを渡せるって知っていたら、私も彼女達のイラストを描いて渡したかったかも。会場によって違いがあるかもしれないけど、贈り物がある方は用意しておくことをオススメする。
◇
ライブがいざ始まると、豪華で凝った演出に驚く。新しい学校のリーダーズならではの「起立、例」といった掛け声を聞くと、学生時代をふと思い出す。
ダンスやトークも上手で、大人や子どもも楽しめる演出になっていた。ライブ会場のファン層は、年齢層もさまざま。
トークでは、SUZUKAが「いくつになっても、青春はできる」と話していた。その言葉の通り、その場にいると不思議と青春をもう一度取り戻している感覚に陥る。これが、リーダーズマジックというべきものだろうか。
SUZUKAは声と目力に迫力があり、見入ってしまう魅力とオーラがある。KANONは、カナリアのように繊細な美しい声が魅力的。長い髪をサラサラとなびかせて踊る様子は、まるでステージに女神様が舞い降りてきたみたい。
RIN(リン)は踊りのキレもよく、楽しそうに踊っているのが表情で伝わってくるのが素敵だった。
会場でRINのファンをされているおじ様とお話しさせていただいたが、携帯の裏面にびっしりRINのシールが貼られていたのに気づく。
彼女を好きな理由について、もっと詳しく聞きたかったなぁ。会場内はアットホームな雰囲気で、ファン同士も仲が良く、お互いに情報交換ができる印象を感じた。
MIZYU(ミヂュ)は小さくて一生懸命で、とにかく可愛い。メンバーの中では大人しめな印象があるけど、ソロダンスの時やふとした際に、歌や踊り、メンバーへの静かな情熱や想いが伝わってきた。
新しい学校のリーダーズといえば、「個性と自由ではみ出していく」と自己紹介するのが有名だ。
そのフレーズを聞いていた頃は、正直それぞれの個性が強いグループなのかと思っていた。それは私の勘違いだったと、ライブパフォーマンスを見て感じる。
メンバーのパフォーマンスを見たところ、一人一人の個性が上手く融合して、1つの大きな魅力になっている気がした。
驚いたのは花道、通路を活用して、リーダーズのメンバーたちが近づいてきてくれたこと。席の近くが通路だったので、至近距離でSUZUKA、MIZYUの姿も拝むことができたのは嬉しい。ファンサービスも旺盛で、世界中のファンを魅了しているのも頷けた。
ライブではSUZUKAが「家族や友情を飛び越えた仲」「おばあちゃんになっても、メンバーと一緒にいたい」「出産の時も、メンバーに立ち会ってほしい」など、仲の良さが伺えるようなお話も披露していた。
パフォーマンスやトークのやり取りを見ていても、メンバーをお互いに心の底から信頼し合い、支え合っているのをひしひしと感じる。
そんな仲の良いメンバー達だからこそ、安心してパフォーマンスを見届けられるのかも。大人になるにつれ、そういった縁はなかなか作れない。だからこそ、信頼できる縁と巡り会えたなら大切にしていきたいと感じた。
◇
ステージが開演するなり、辺り一面に爆音が轟き、娘は小さな口を開けてびっくりしていた。
いつもTVやYouTubeで見ている「新しい学校のリーダーズ」が、目の前にいる。
娘は彼女達の姿を見たら、いつものようにニコニコするのではないか。そう思っていたが。目の当たりにしたのは、今まで見たことのない娘の表情だった。
本人も、まさかリーダーズのメンバーに会えるとは思っていなかったのだろう。喜ばせたいと思っていたのに、まさか本気で驚かれるとは。青天の霹靂だった。
「今、目の前にある映像は、夢?それとも、現実?」
娘はまだ話せないので、本心はわからないけれど。感嘆の一言では言い表せないような、不思議な表情をしていた気がする。
しばらくすると、娘も慣れてきたのか拳を掲げて、小さくノッている。娘の顔に目をやると、いつものニコニコとした様子で、私は安堵する。娘の嬉しそうな様子を見るなり、此処に連れてきて本当に良かったと感じる。
◇
ライブが終わる。ご飯を食べる時も、電車に乗る時も、娘が私の後ろに回ろうとする。狙いは、私のTシャツ裏に描かれた「学校のリーダーズ」のイラストだ。
1つ1つのイラストを、なぞるように触りながら悦に浸っている。
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本人たちの前では控えめに応援していたのに。ライブが終わってから、まさかTシャツのイラストに釘付けになるとは。娘がこうなるとは、全く想像していなかった。こんなことなら、もっとグッズを購入しておけばよかったかも。
その後も、私がTシャツを脱ぐなりすぐに掴んで、ずっとイラストをまじまじと眺める娘の姿がある。きっとこの様子は、しばらく続きそうである。
【完】