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ショートショート17 創造と破壊

ショートショート17 創造と破壊

 だめだなあ。もっとたくさん背負えるように空っぽになりたい。手の内になにもなくていいし、なにも手に入れていなくていい。

 お気に入りのカバンもピアスも、ネックレスもわたしを縛るものは全てこの世から消えてしまえば身軽になれるのにな。
 大切なものをずっと抱えるために、内部を空っぽにするわけなんだけど、空っぽにするってことは、いま大事なものを一回全部捨てることだから圧倒的に矛盾してるんだよなあ。
 

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ショートショート16 たぶん好きだから罪悪感を感じてる。

ショートショート16 たぶん好きだから罪悪感を感じてる。

 いつもは早足だけど今日だけは時速を下げてみる。
 もうちょっと散歩しませんか?って口で言うか迷う。
 言えないのも分かってるけど、言うギリギリまで迷ってみる。

 他の用事でまた来週会えるのを言い訳にする。本当は帰りたくないけど、一緒に居ても何を話したらいいか分からないから、なにも言えなくなる。

 ちょっと間が空いたり、うまいことが言えないと、とりあえず今の時間だけはその場を埋めるだけの言葉を

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ショートショート15 連続性を千切る

ショートショート15 連続性を千切る

 書きたいことはたくさんあって、でも書いて外部に排出しないと内部から腐ってしまうことは今はない状態にある。もしかしたらこれは一種の安寧とラベルを貼ることはできるかもしれないが、何かに対して明瞭さを持っているわけではないので、バラバラのジグゾーパズルみたいに、一部分だけ繋がっていて、全体像は見えない。だからこそ今日は少しだけ長めに並べたい。前提条件、こう思うけれど、こうかもしれない。そんな思考をして

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ショートショート14 突如としてわたしの物語に登場した羊くんの話(2021/04/02)

ショートショート14 突如としてわたしの物語に登場した羊くんの話(2021/04/02)

 歩いた歩数をカウントするかの様にたくさんの言葉が紡がれ、その度にそれぞれが見えている世界を共有しあえた気がして嬉しかった。今日はそんな話をしよう。

 わたしの物語には、突如としてそれらぜんぶを攫っていく人物の登場はあまりない。だから今思うと羊くんとの出会いは人生の転換期のはじまりだったのかもしれない。

 とはいえ、彼がどのような過去を過ごし、わたしとどこで出会ったのかに関してここに記すつもり

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ショートショート13 人生の朝5時。(2021/03/28)

 早朝5時。さっきまでパソコン作業をしていたからなんだか変に目が醒めてしまって、なんとなくベランダに出る。ついでになんとなく見上げた空の、濁ったグラデーションの青が形容するにはあまりにも複雑で、とても美しかった。

 徐々に、そして確実に朝へと向かっているその空を見て、当然のように夜の終わりと朝の始まりを実感する。1番反対方向にいると思われるものはいつだって隣り合わせて、終わりと始まりもその例外で

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ショートショート12 それらを全部背負える人は強いなあ(2021/03/21)

ショートショート12 それらを全部背負える人は強いなあ(2021/03/21)

 誰にも相談せず一人で縮こまって、勝手に悩んでいるのが1番いけないんだろう、きっと。「周りにいる人に相談しなさい。」って言われるんだろう。けどやっぱり相手に相談する時ってどうやって相談したらいいか分からない。勝手にしんどいのって周りを信頼してないの、って思われるかもしれないけど、信頼していて好きだからこそ、自分の毒素を人に移すわけにはいかないのです。

 今日はものすごく理不尽なことがあって、それ

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ショートショート(11)パイプ椅子(2020/08/28)

ショートショート(11)パイプ椅子(2020/08/28)

とにかくムシャクシャする。
そしてその感情は自分にとても適している。

だがしかし、ムシャクシャする。

近くにあるパイプ椅子でも蹴り飛ばしたら気分が落ち着くのかと思って、パイプ椅子の足に自分の足を添えてみたけどただ冷たく無機質で、人に座られる役目を全うしているパイプ椅子を蹴る気になんてなれなかった。たぶんもっと蹴られるべき対象は世の中に存在してるし、第一、蹴って自分の骨でも折れたらたまったもんじ

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ショートショート⑩ジョニーさん。(2020/08/27)

ショートショート⑩ジョニーさん。(2020/08/27)

私の友だちにジョニーさんというおじさんがいる。彼はたぶん60歳くらい、違ったらごめん。とっても歳上なのに、わりとタメ口きいててごめん。しかも勝手に友だちだと思っててごめん。

ジョニーさんは私のことをいつも「私」と呼ぶ。だからその「私」が私を指しているのかジョニーさんを指しているのか分からない。でもよくよく聞いてみるとジョニーさんの一人称は「俺」だから私のことを指しているのか。

「私のお父さんは

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ショートショート⑨ドタキャン(2020/08/26)

ショートショート⑨ドタキャン(2020/08/26)

「本当ごめん。その日急にアルバイト入らなきゃいけなくなって、リスケしてもいい?日程また連絡するね」
そんな風に言われると
「うん、いいよいつでも」
とか思ってもないことを口走ってしまう。
本当はものすごく楽しみにしてたけど、それを言って相手の罪悪感を高めるのであれば私が感情を塞げばいいのかなと思う。
でもドタキャンされた側に残るこの苦い思い、責任持ってどうにかしてくれよと内心思うのです。

最近な

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ショートショート⑧俺にとって都合の良い女(2020/08/25)

ショートショート⑧俺にとって都合の良い女(2020/08/25)

上司に仕事のミスを押し付けられて腹が立ってまた君を呼び出してしまった。ごめんだけど俺にとって君は完全に都合の良い女で、丁度いいからこうして今日も雑に扱う。顔もスタイルも普通だけど、若い女な訳だし別にモテないこともないだろうけど、少し、いやだいぶ俺のことが好きだからこうしてほいほい呼ばれたらついてきて朝まで一緒に過ごすんだろうな。いつも割り勘なのについてくんなよ、とこっちが思ったりする。
お前の話な

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ショートショート⑦告白(2020/08/24)

ショートショート⑦告白(2020/08/24)

「好きです、付き合ってください」

顔の可愛い後輩から告白された。天文サークルの後輩。足細いのに意外と胸あるし、さらさらな髪の毛で、性格も繊細で可愛らしい。その外見の良さで人に嫉妬されて、そのたびに、外見にやられた男が助けてきたんだろうなって感じの子。
まあかく言う俺も、その子が同期の女子から軽い嫌がらせをされてるって話を聞いて、顔が可愛いし少し助けてやった。そしたら俺のこと好きになったか。
まあ

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ショートショート⑥A面とB面(2020/08/23)

ショートショート⑥A面とB面(2020/08/23)

「私のなかの人間2人住んでるからさ」
とか言って本気なのかそうじゃないのか図かねる顔をこちらに向けてくる。
今日は小さい頃からの腐れ縁のゆきと人気のカフェに来た。

「それにしてもここのカフェさ、写真で見たらすごく広いけど、中に入ってみると意外と狭いね。鏡でこんなに広く見せてるのか〜。まあいいや、それでさ、みきも知ってる通り、私って純粋でキュルキュルした人間じゃん?」

さも当然かのように言ってし

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ショートショート⑤とか言ってで誤魔化す夜(2020/08/20)

ショートショート⑤とか言ってで誤魔化す夜(2020/08/20)

君と連絡を取っていたのが丁度1週間前だから、ああもう7回も1人の夜を過ごしてしまったんだ。
日に日に君と共有した時間が友だちとのLINEに埋もれる。なんでそんな思わせぶりなことするくせに7日も放っておくんだろう。そんなツレないところもそそられるんだけれど。

若い男女が複数人集まって、恋愛の話をしないことなんてあるんだろうか?って思うくらい、そうやって寂しい夜を埋めるよね。まだ青くて悟ってないから

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ショートショート④一人っ子だし、両親には余裕がなかった。だから夢想する。(2020/08/18)

ショートショート④一人っ子だし、両親には余裕がなかった。だから夢想する。(2020/08/18)

「好きなように話していいんだよ」なんて言われたって、好きなように話す方法を知らないから出来ないんだよ。もっと自由に、とか思ったことを言っていいとか、そんなこと今更言われたって出来るわけないじゃん。小さい頃はあれだけ決まりとレールで雁字搦めにした癖に都合がいいなあ。だから絶対子供にはそんな思いはさせない。

あ、違うわ。そもそも子供なんて作らなければいいんだ。親の血は許せないし、だから自分の血が許せ

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