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ごはんエッセイ、おいしい毎日

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日々食べたおいしいものをエッセイとしてまとめてます。 たかいものからやすいものまで美味けりゃなんでも食べる。
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#名古屋

この穴子、掛け布団にしてくれませんか? きたろう柳橋店で最高のすし納め。

この穴子、掛け布団にしてくれませんか? きたろう柳橋店で最高のすし納め。

 もう年末か、なんか今年は年末って感じがしないなあ。それは毎年こぼしている言葉だった。忙しさのせいか、歳のせいか、何にせよ一年の終わりを認めたくない防衛本能がそう言わせているのだろう。ガラガラに空いている名古屋高速を走らせ、ひとりごちる。

 今日はすしを食べる日、と決めていた。冬季休暇など関係のない職業のせいで、正月だろうがなんだろうが仕事に追われているのだが、せめて少しだけでも年末気分を味わい

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ソウルフル(店主が)ラーメン、燕参上探訪記

ソウルフル(店主が)ラーメン、燕参上探訪記

「いくわよ♡」
 確かに髭面の大将はそう言った。僕は目の前のカウンターで確かに聞いた。その口ぶりからハートが付いていることも確かだった。

 以前から名古屋の伏見に不思議なラーメン屋があることは、僕の耳にもよく入っていた。カレーがうまい、看板がガムテープ、やたらノリのいい大将、などとラーメンと関係のない評判が多くを占めていて、おおよそそういう店は肝心なラーメンがまずいってのが相場だった。

 しか

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夜の納屋橋と味噌フォンデュ

夜の納屋橋と味噌フォンデュ

 前回のあらすじ。下戸なのに飲みすぎて、天井が回る。まさかの続きものである。僕は荒っぽく吹き荒ぶエアコンの冷風を全身に浴びて熱を覚ましていた。浴衣の隙間へと流れ込む冷たい風が気持ちいい。

 午後七時、外はようやく夕闇が訪れ始めたところか。窓のない部屋ではそれがわからない。都会のど真ん中で温泉を掘ってみたら掘り当てたという、本当かどうか疑ってしまうエピソードを持つこのホテル。名古屋クラウンホテル。

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納屋橋酔いどれふらふら日記。昼飲みデビュー編

納屋橋酔いどれふらふら日記。昼飲みデビュー編

天井がぐるぐると回る。ごうごう、無機質な空調からの冷風が酔いに酔って熱った体を逆撫でていく。僕は完全に酔っていた。

日々の目まぐるしい仕事を達成したご褒美に県内のビジホにわけもなく泊まる、という癖がある僕はこの日、名古屋クラウンホテルにチェックインしていた。

兼ねてから昼飲みに憧れがあった。休日に名古屋を歩いていると傍目に見えるサラリーマンをリタイアした老兵たち。そして何の仕事をしているのか分

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古きを知り、新しきを知ったごちゃごちゃうまラーメン

古きを知り、新しきを知ったごちゃごちゃうまラーメン

では、こちら特急料金のお返しです。このたびはご迷惑をおかけしまして、大変申し訳ありませんでした。

二人の職員から深々と礼を受ける。名古屋駅のみどりの窓口。本来支払いをする場所で僕は逆にお金をもらっていた。先日の東京旅行での帰りに起きた新幹線の停電に伴う返金だ。

こちらとしては冷房の効いた東京駅の車内でただ二時間寝てただけなのだが、それだけで四千円ほどもらえるのはありがたくて仕方がない。思わぬ臨

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ごはん全滅、しょうが焼き定食

ごはん全滅、しょうが焼き定食

「しょうが焼き定食」

 男の子というのは未来永劫しょうが焼き定食から逃れられない運命にある。渋いたべものを少量頂く、大人になったら自然にできるものかと思っていたが、僕は今日も定食屋で元気よく「じゃあ、しょうが焼き定食で」と宣言してしまう。

 じゃあ、とか仕方なしに選んでいるふうを装っているが、そんなことはない。初めからこれが食べたかったのだ。

 名古屋市大須。ここに創業百年超えの老舗大衆食堂

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