小説|十七月の歌 6/6
時は満ちて
ヘリコプターが過ぎてゆく音圧を感じて、僕は自分が横たわっていることに気が付いた。目を開けると、葉が揺れる向こうに淡い青空がゆっくりと広がり、頭を動かすと、泥に髪を引っ張られた。時計を見ると日付は戻っていた。どうやらいつからか夢を見ていたらしい。だが、これも夢ではないか? そう思わないでもなかった。
起き上がって髪や服から泥を払い、歩き出すと右足のふくらはぎに痛みが走った。見るとズボンを貫通した噛み跡がある。――蛇? 俺は毒で昏睡していたのか? しかし意識は冴え