谷崎潤一郎を聞いて読む。遅読で見えるモノ~文学朗読YouTuberシャボン朗読横丁さんとともに
先日、
なる本を見つけた。早速、読んでいると、当然ながら谷崎潤一郎の作品自体を読みたくなってくる。
美文と誉れ高い谷崎潤一郎の作品ではあるけれど、なかなか読む機会を持てない。新刊ではないし、いつも本棚にあって、いつでも手に入る。
さらに「大谷崎」ということで構えてしまう。
今回は聞くに徹してみよう。
音で聞きながら読んでみると、するすると入ってくる。朗々と流れる文体は、森羅万象、あらゆる物に化けて、脳内に再現される。
谷崎潤一郎は描写の天才だった。
この 辻原登『東大で文学を学ぶ』朝日選書,2014 では、小説の形成がまず語られ、『罪と罰』と進み、『古事記』と『源氏物語』、そして谷崎潤一郎へとたどり着く。
森博嗣さんは次のように語る。
知覚を朗読のスピードまでに落とし、像を描く。この目的に、谷崎潤一郎の文体ほどに、日本語では望むことができない。
谷崎潤一郎(1886 - 1965)は長命だった。その人生のほとんどを小説家として生きた。夏目漱石や太宰治が、その作家活動が10年ほどにあるのにたいし、谷崎潤一郎は50年を越えて作品を書きつづけた。東京、京都、大阪、神戸、そして、明治、大正、昭和、また平安朝まで、さまざまな場所と時代を描いた。それら作品に、現代の小説で使われる言葉の源泉を見ることができる。
秘密
特有の文字遣い、難読漢字が多く使われています。語注が豊富な媒体やKindleなど電子書籍で読まれるのをおすすめします。
魔術師
青空文庫 谷崎潤一郎『魔術師』(2023年1月時点で作業中)
紙媒体
春陽堂書店による『美装復刻版』は旧字体です。
『魔術師: 谷崎潤一郎妖美幻想傑作集』小鳥遊書房(語注なし)
特有の文字遣い、難読漢字が多く使われています。語注が豊富な媒体、コピペがしやすいKindleなど電子書籍で読まれるのをおすすめします。
人魚の嘆き
青空文庫 谷崎潤一郎『人魚の嘆き』(2023年1月時点で作業中)
紙媒体
春陽堂書店による『美装復刻版』は旧字体です。
特有の文字遣い、難読漢字が多く使われています。語注が豊富な媒体、コピペがしやすいKindleなど電子書籍で読まれるのをおすすめします。
鍵
紙媒体
語注がなくても読めます。語注はあった方がいい程度です。
特有な文字遣いが多くあります。慣れるまで、「音で読む」のをおすすめします。シャボン朗読横丁さんに感謝です。
瘋癲老人日記
紙媒体
語注ができればほしいです。
特有な文字遣いが多くあります。慣れるまで、「音で読む」のをおすすめします。シャボン朗読横丁さんに感謝です。
吉野葛・盲目物語
青空文庫 谷崎潤一郎
YouTube: シャボン朗読横丁さんによる朗読
紙媒体
語注がなくても読めます。語注はあった方がいい程度です。
『吉野葛』では奈良県吉野町近辺の地名が多く出てきます。新潮文庫版には地図が掲載されています。この地図を用意されるのをおすすめします。出てくる地理はGoogleマップでは把握しにくいです。
痴人の愛
紙媒体
語注がなくても読めます。語注はあった方がいい程度です。
関東の人(東京~神奈川県(鎌倉))の方は地図がなくても読めます。
蓼食う虫
紙媒体
語注がなくても読めます。語注はあった方がいい程度です。
ただし、大阪・神戸・京都の方限定です。それ以外の方は心斎橋~日本橋近辺をGoogleマップなどで調べたほうが楽しめるかもしれません。
春琴抄
紙媒体
語注ができればほしいです。
大阪(北浜~本町)の地理を知っていたほうが楽しめるかもしれません。
陰翳礼讃
紙媒体
『恋愛及び色情』が収録されており、収録数が多い、こちらをおすすめします。
収録
「門」を評す/懶惰の説/恋愛及び色情/「つゆのあとさき」を読む/私の見た大阪及び大阪人/陰翳礼讃/いわゆる痴呆の芸術について/ふるさと/文壇昔ばなし/幼少時代の食べ物の思い出/『越前竹人形』を読む
陰翳礼讃/懶惰の説/恋愛及び色情/客ぎらい/旅のいろいろ/厠のいろいろ
『陰翳礼讃』で描かれた場景を写真集として眺めることができます。
夢の浮橋
青空文庫 谷崎潤一郎『夢の浮橋』(2023年1月時点で作業中)
紙媒体
語注がなくても読めます。
できれば『源氏物語』を読まれたのちに、読まれるのをおすすめします。くわしくは 辻原登『東大で文学を学ぶ』朝日選書,2014 を参照ください。
天鵞絨の夢・鶴唳
青空文庫 谷崎潤一郎 (いずれも2023年1月時点で作業中)
紙媒体
『新編・日本幻想文学集成 第3巻 谷崎潤一郎,久生十蘭,岡本かの子,円地文子』(語注なし)
特有の文字遣い、難読漢字が多く使われています。しかし、語注は「中央公論新社 谷崎潤一郎 全集」でも掲載されていません。ひとまず「音で読む」のをおすすめします。シャボン朗読横丁さんに感謝です。
『天鵞絨の夢』は谷崎潤一郎 全集 第7巻に収録。
『鶴唳』谷崎潤一郎 全集 第8巻に収録。
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