米澤創一

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 特別招聘教授。専門はプロジェクトマネジメント、本質思考等のモノの考え方。当研究科設立から教鞭をとっている。元アクセンチュア・マネジングディレクター。著書「プロジェクトマネジメント的生活のススメ」「本質思考トレーニング」

米澤創一

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 特別招聘教授。専門はプロジェクトマネジメント、本質思考等のモノの考え方。当研究科設立から教鞭をとっている。元アクセンチュア・マネジングディレクター。著書「プロジェクトマネジメント的生活のススメ」「本質思考トレーニング」

最近の記事

「抽象化能力」のレベル

私は本質思考を探求する中で、「抽象化能力」と「具体的知識」の2軸と自己認識(メタ認知)の度合いから、様々なコミュニケーション、対人関係の問題を説明できることに気づきました。 今回は「抽象化能力」についてお話ししたいと思います。 抽象化能力=パターン認識力✕適用判断力✕抽象化調整力抽象化能力は、パターン認識力、適用判断力、抽象化調整力の3つによって成り立っていると私は考えています。 パターン認識力とは、複数の経験から共通項を見出す能力です。 適用判断力とは、識別されたパ

    • 何がわが子に起こったか? 「観察」と「記録」と「分析」~「解像度を上げる」ためのアプローチ(2)

      「解像度を上げる」ために必要なアプローチは、情報収集、観察、記録、分析という流れです。 情報収集してから観察するのが流れが適切な対象(専門性、客観性、効率を求められるもの)と、まずは先入観を持たずに観察をし、その後、情報収集を行い、再度観察する方が適切な対象(芸術作品、文学など主観、体験が大切なもの)があることには注意が必要です。 今回は観察から、記録、分析への流れをお話しします。 「観察」の3つの基本多角的な情報収集によって、自分では気付けなかった観察のポイントを定め

      • 多角的な情報収集~「解像度を上げる」ためのアプローチ(1)

        「具体的知識」のレベルを上げるためには、視野を広げることと解像度を上げることの両方が必要となります。 せっかく視野が広がっても、解像度が不十分だと、理解を深めることはできませんし、解像度が十分であっても視野が狭く、全体像が見えなければ、正しい理解をすることはできません。 今回は、「解像度の上げ方」について、お話ししたいと思います。 「解像度を上げる」とはどういうことか?具体的知識のレベルを上げるため、「視野を広げる」とは異なる軸としての「解像度を上げる」とはどういうこと

        • 「視野を広げる」ための4つのアプローチ

          「具体的知識」のレベルを上げるためには、視野を広げることと解像度を上げることの両方が必要となります。 今回は、視野の広げ方について、お話ししたいと思います。 全体を見ているのか、部分を見ているのか具体的知識の初歩段階(レベル0~1)では、自分が見ているものが、全体なのか、部分なのか正しく認識できないことがあります。正確に言うと、全体なのか、部分なのかを意識しておらず、見えているものから自動的に判断しているという感じです。 そのような状況で、常に正しい判断ができるわけがあ

          「茶色い毛玉」か、「うちのミースケ」か? ~「具体的知識」のレベル

          私は本質思考を探究する中で、抽象化能力と具体的知識の2軸と自己認識(メタ認知)の度合いから、様々なコミュニケーション、対人関係の問題を説明できることに気づきました。 今回は、「具体的知識」についてお話ししたいと思います。 具体的知識=解像度✕視野会話において、話の対象についての知識が多いか少ないかは、当然、重要な要素となります。話し手と聞き手の知識がアンバランスだと、噛み合わない会話の原因となります。 ある対象についてとても詳しくても、他の対象については詳しいとは限りま

          「茶色い毛玉」か、「うちのミースケ」か? ~「具体的知識」のレベル

          思考にも「利き手」がある

          会話が噛み合わないの原因の一つに「具体」と「抽象」のレベル差があります。 今回は、「具体」と「抽象」の思考スタイルについてお話ししたいと思います。 思考スタイルは利き手のようなもの何かについて思考する時、具体的な話の方が心地よい人もいれば、抽象的な話の方が心地よい人もいます。 これはいわば「利き手」のようなもの。 右利き、左利きに優劣はありません。どちらが正しいということではありません。 利き手ではない方の手も使うことはできますし、鍛えることも可能ですが、自然と使うの

          思考にも「利き手」がある

          質問にきちんと答えられない人

          抽象化能力がある人から見ると「同じ失敗」だと思えることを繰り返す人がいます。 その原因の一つとして抽象化能力が未発達だということが挙げられます。 抽象化能力が未発達な人には、他の症状も見られます。 プロジェクトの締切を聞いているのに……質問者: 「このプロジェクトの締め切りは来週金曜日で合っていますか?」 Dさん: 「プロジェクトの進捗状況ですが、先週のミーティングで議論したように、いくつかの課題が浮上しています。特に、データ分析の部分で予想以上に時間がかかっていて、

          質問にきちんと答えられない人

          「同じミス」を繰り返す人は、「同じミス」だと思っていない

          「具体的知識」と「抽象化能力」私は、噛み合わない会話の原因の一つとして、人によって「具体」と「抽象」のレベルが大きく異なることがあると考えています。正確には「具体的知識」と「抽象化能力」の組み合わせのレベルの差によって、多くのコミュニケーション、人間関係の齟齬を説明できるというのが、私の仮説です。 抽象化能力に対して、具体化能力という表現になっていない理由は、具体化というと何かを具体的な形にすることと誤解されてしまう可能性があるからです。 「抽象化能力」とはまず、抽象化能

          「同じミス」を繰り返す人は、「同じミス」だと思っていない

          会話の「噛み合わなさ」の正体

          会話にひそむ難しさ前回、同じ会社で働くAさんとBさんの会話を紹介しました。 ただ、同情してもらいたいAさんの話に対して、Bさんはその意図を汲めず、自分が興味を持っているおにぎり屋さんの話を滔々と続け、挙句の果てに一緒に行こうと提案しています。Aさんは忙しく、疲れていて食欲がないことの引き合いとして、たまたま、おにぎりを使っただけなのに、思わぬところにBさんは食いついてしまったのです。 結果として、Aさんは思いを遂げることはできませんでした。今回の例ではBさんは無邪気な性格

          会話の「噛み合わなさ」の正体

          なぜ、あの人との会話は噛み合わないのか?

          噛み合わない会話 オフィスの自販機の前でたまたま顔を合わせたAさんとBさん。二人は同じ会社に勤める同期ですが、Aさんの部署は繁忙期に突入した様子でお疲れ気味。   Aさん:「最近、仕事が忙しくて大変。先週なんて、毎日夜中まで残業してたんだよ…。」 Bさん:「えー、大変だね。」 Aさん:「そうなの。疲れているせいか、食欲もないし…。昨日の夜なんて、コンビニのおにぎり一つで済ませちゃって。」 Bさん:「おにぎり? そう言えば、私、最近ハマっているおにぎり屋があるんだ。すごく美味

          なぜ、あの人との会話は噛み合わないのか?