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誤訳のパターン7 ケアレスミス~まとめ

間違っている翻訳、つまり誤訳にはいくつかパターンがある。
 昨日までは、ケアレスミス原因とそれぞれについての対応を書いてきた。今日はそれをまとめてみる。

マイ対応策 (1) 自分のコンディションを整える

 先日は、場所と時間で分類してみた。もうひとつ「自力」と「他力(人の手を借りる)」という分類軸を追加してみた。

その場で3分以内:ツボ押し、アロマオイル、腹式呼吸、飲み物
その場で20~30分:筋トレ、ラジオ体操、ヨガ、ストレッチ、
         エアロバイク、仮眠、音楽鑑賞、瞑想
外出して20~30分:散歩
外出して1時間、自力:カフェ(ランチ・コーヒー)、サウナ
外出して1時間、人の手を借りる:整体

 このように整理しておくと、集中力が切れてきたとき「いまここで何ができるか」が瞬時にわかる。「その2」でも書いたが、「締め切り・納品まであと◯時間(◯日)」というところで何をすればいいか、考える必要がない。
 「考える必要がない」のはとても大事で、脳のワーキングメモリを消費しないということ。よって、他に注意が向かずに仕事に集中するできるのだ。

マイ対応策 (2) 体調不良時のプロセスを決めておく(パッケージ化する)

「パッケージ化」も同じ。限られている「脳のワーキングメモリ」を、不調なときほどムダに消費しないことが大事である。「決めたことを淡々とこなす」だけの状態にしておくことだ。
 わたしの「不調時のパッケージ」は次のようになる。

● 短い案件でも翻訳チェック、誤字・脱字チェック、ファクトチェックのプロセスを分ける。ひとつの工程でひとつの作業だけを「こなすす」。
● 数字は原稿と訳文を拡大プリントして、蛍光ペンを引きながらひとつずつ指差しチェック。

 このように、もう「決まっている手順」をそのとおりにやる。それだけならば、脳内がごちゃごちゃしていたり、不安な状態のときでも、仕事は進む。
 何よりも「いつもの自分」ではなくとも、品質が落ちない。
 校正・校閲はマイナス評価の仕事。ベストではなくてもつねにベターの成果物を出さねばならない。そのためには、脳が余計なことを考えないように整えてやる。「パッケージ化」はとても効くので、ぜひ試してほしい。

マイ対応策 (3) 機械と環境を可能な限り整える

人間はミスをする生き物だから、機械に頼れるものなら機械に頼る。Just Right!がいい例だ。表記の不統一など、目視で拾っては何日あっても足りない。機械は確実である。 
 その他、「自分にとって」必要なものに投資する。わたしの場合はそれがダブルモニター、シーリングライト、A3複合機、眼鏡であった。

マイ対応策 (4) 自分の「ベース」は「安心」

 なんといっても「ベース」なのだから、仕事そのものよりも大事。「安心(感)」を得るためのトレーニングや労力は、対仕事の何倍もの時間を費やして実施してきたし、これからもそうするだろう。

包括的な解決策(最後のまとめ)

では、最後にもう少し包括的なかたちでまとめておこう。

整える:自分に合った方法を常に探りつつ実践
不調時のプロセスをパッケージ化:コンディション不良時のプロセスを決めて壁に貼っておく
機械と環境に投資:お金で解決できることは多い
自己理解:自分の「ベース」になっている価値観や状態を知り、常に満たされているかを把握する

 以上の4つを日常的に実践していたら、必ずケアレスミスは減る。ぜひやってみてほしい。

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