【勝手に現代語訳】三遊亭円朝作『怪談牡丹灯籠』第1話(全22話)
一 寛宝三年(西暦1743年)の四月十一日、まだ東京を江戸と申しました頃、湯島天神の社にて聖徳太子の御祭礼がございました。そのとき、たいそう参詣の人が出て大混雑を極めました。ここ、本郷三丁目には、藤村屋新兵衞という刀屋がございました。いい代物が並べられた店先をある一人のお侍が通りかかりました。そのお侍、年の頃は、二十一、二ぐらいに思われ、肌の色はあくまでも白く、眉毛は美しく、目元がきりっとして、少し癇癪持ちに見えます。鬢の毛をぐっと吊り上げて結わせ、立派な羽織に結構な袴に雪駄