【勝手に現代語訳】三遊亭円朝作『怪談牡丹灯籠』第11話(全22話)
十一
二十四日、飯島様はお泊り番でした。飯島の妾であるお國はただ寝ても覚めても、どうにかして宮野邊の次男源次郎と一つになりたい、と考えておりました。ついては来月の四日に、殿様と源次郎が中川へ釣りにゆく約束があります。源次郎に殿様を川の中へ突き落させ、殺してしまえば、源次郎は飯島のうちの養子になるまでの工夫はついたものの、この密談を孝助に立ち聞きされてしまいましたから、どうにかして孝助に暇を出すか、殿様のお手打にでもさせる工夫はないかと、いろいろと考えておりました。
しまいには疲れてとろとろ微睡むかと思うと、ふと目が覚めて、顔を上げると、二間隔たっている襖がすっと開きます。以前は屋敷方にては暑中でも簾障子はありませんでした。縁側はやはり障子、中は襖で仕切られ、さらさらと開いたかと思うと、スラリスラリと忍び足で歩いて参り、また次の居間の襖をスラリスラリと開けるから、お國はハテナ誰かまだ起きているのかと思いました。地袋の戸がガタガタと音がしたかと思うと、錠を明ける音がガチガチと聞こえましたから、ハテナと思ううち、襖を閉め、ピシャリピシャリと裾を引くような塩梅で台所の方へ出て行きますから、ハテ変なことだと気づきます。お國は気丈な女でありますから、起き上がり、ぼんぼりを点け、行ってみますが、誰もいません。地袋の方を見ると戸が開け放してあって、納戸縮緬(なんどちりめん)の胴巻が外の方へ置かれています。驚いて調べてみると、殿様のお手文庫の錠前を捻じ切り、胴巻の中にあった百目の金子が紛失しています。さては泥棒かと思うと、寒気がして怖くなりました。ただ、お國ですから、驚いたのは一時で、この胴巻の金子の紛失を証拠にして、孝助を泥棒に貶めてやろう、とたちまち一計したのです。殿様をたきつけて、お手打にさせるか、暇を出すか、どの道かにしようと、その胴巻を袂に入れ、寝床に帰って寝ることにいたしました。
翌日になっても、お國は素知らぬ顔をして、孝助には弁当を持たせて殿様のお迎いに出してやりました。そのあとへ源助という若い者がほうきを提げてお庭の掃除に出てまいりました。
「源助どん」
「へいへい、おはようございます。いつも御機嫌よろしゅうございますね。今年の暑さは厳しいですね。どうも暑中より、厳しいようでございます」
「源助どん、お茶が入ったから、一杯飲みな」
「へい、ありがとうございます。お屋敷様は高台でございますから、よほど風通しもよくて、御門はどうも、ことごとく熱うございます。へい、これは、どうもありがとうございます。わたくしは、お酒をいただきませんから、お茶は誠に結構で、時々お茶をいただくのが何よりの楽しみでございます」
「源助どん、お前は八年前、御当家へ来てなかなか正直者だ。孝助は三月の五日に当家へ御奉公に来たが、お殿様にお気に入りであることを鼻にかけ、ここのところ、増長してわがままになったから、お前も一つの部屋にいて、時々は腹の立つこともあるだろうねえ」
「いえいえ、どういたしまして。あの孝助ぐらいよくできた人間はございません。その上、殿様思いで、殿様のことになると、気違いのようになって働きます。年はまだ二十一だそうですが、なかなか届いたものでございます。そして、誠に親切なので、わたくしも感心いたしました。先立って、わたくしが病気のときも孝助が夜通し、寝ないで看病をしてくれました。朝も眠いはずなのに、早くから起きて殿様のお供をしていました。あのくらいに情愛のある男はない、とわたくしは実に感心をしております」
「それだから、お前は孝助に馬鹿にされているのだよ。孝助はお前のことをお殿様にどんなに胡麻をするだろう」
「へえ、あいつは胡麻をすりますか」
「お前は知らないのかい? このあいだ孝助が殿様に言いつけるのを聞いていたら、源助はどうも意地が悪くて奉公がしにくい。一つの部屋にいるものだから、源助が新参者と侮り、いろいろにいじめ、わたくしに何も教えてくれません。しくじるようにばかりいたし、お茶が入って、おいしいものをいただいても、源助が一人で食べてしまって私にはくれません。本当に意地の悪い男だというものだから、殿様もお腹をお立ち遊ばして、源助は年甲斐もない憎い奴だ。今に暇を出そうと思っていると仰しゃったよ」
「へい、これはどうも。孝助は途方もないことを言ったもので、これはどうも、わたくしは孝助にそんなことを言われる覚えはございません。おいしいものを沢山にいただいたときは、孝助殿お前は若いから腹が減るだろうと言って、みんな孝助にやって食べさせるぐらいにしているのに、なんたることでしょう」
「そればかりじゃないよ。孝助は殿様の物をくすねるから、お前孝助と一緒にいると今に巻き添えを食らうよ」
「へい、あいつは何か盗りましたか」
「お前は何も知らないから。今に巻き添えになるよ。確かに、お殿様の物を取ったことを私は知っているよ。私はさっきから女部屋のものまで、調べているぐらいだから、お前はちょっと孝助の文庫をここへ持って来ておくれ」
「巻き添えは困ります」
「それは私がよいように殿様に申上げておいたから、そっと孝助の文庫を持って来な」
そう言われ、源助はもとより人がいいから、お國に悪巧みがあるとは知らず、部屋に戻って、孝助の文庫を持ち出し、お國の前へ差し出しました。お國は文庫のふたを開け、中を確認するふりをして納戸縮緬の胴巻を袂から取り出して、中へすっと入れたのです。
「呆れたよ。お殿様の大事な品がここに入っているんだもの。今に殿様がお帰りになったら、みんなの前で、それぞれの所持品を調べないといけないねえ。私がお預かりしていた品がなくなったのだから、私が済まないよ。取り調べをいたそう」
「へい、人は見かけによらないものでございますねえ」
「この文庫を見たことを黙っておいでよ」
「へい、よろしゅうございます」
源助は孝助の文庫を持って、元の棚へ上げておきました。すると八ツ時、今の三時半頃、殿様がお帰りになりましたから、玄関まで皆々お出迎いをいたしました。殿様は奥へ通り、寝床の上にお座りになり、いつもならばお國が団扇で扇ぎ立て、ちやほやするのですが、いつもと違って塞いでいでいるう様子なので、飯島はお國を気遣います。
「お國、気分でも悪いのか? どうした」
「お殿様、申し訳ありません。昨晩、お留守に泥棒が入り、金子が百目、紛失いたしました。納戸縮緬の胴巻に入れておいたものを胴巻ぐるみ紛失いたしました。昨晩、台所口の障子が開いておりました。外の戸締りは厳重にしてあって、誰もおりませんから、よくよく調べてみますと、居間の地袋の中にある文庫の錠前が捻じ切られていました。それから驚いて、毘沙門様に願掛けをしたり、占い者に見てもらいました。そうしたら、これは内々の者が盗ったに違いないと申しましたから、みんなの文庫やつづらを調べようと思っております」
「そんなことをするには及ばない。この中に百両の金を盗むほどの器量のある者は一人もいない。外から入った泥棒だろう」
「いいえ、御門の締りは厳重にしておりました。ただ、台所口が開いていたのですから、内々の者を一通り詮議いたします。お竹どん、おきみどん、みんなこちらへ来ておくれ」
「とんだことでございました」
「わたくしはお居間などにはお掃除のとき以外に、参ったことはございません。さぞ、御心配なことでございましょう。私なぞは昨晩のことはさっぱり存じません。誠に驚いております」
「手前達を疑ぐるわけではないが、俺が留守で、國が預り中のことゆえ、心配をいたしているものだから」
女中はたちは、どうぞ調べてほしい、とめいめいのつづらを縁側へ差し出します。
「竹の文庫にはどういう物が入っているんだ。なるほど、慎ましい女だ。おととし、遣わした手拭いがちゃんとしてあるな。女という者は切れ端でもちゃんと畳んで入れておくぐらいでなければいかん。おきみや、手前の文庫を一つ見てやるからここへ出しなさい」
「わたくしのは、どうか、お殿様がじかに御覧にならないでください」
「そうはいかん。竹のを調べて、手前のだけは見ずにいては恨まれてしまうよ」
「どうぞ、御勘弁ください」
「何も隠すことはない。なるほど、ははあ、たいそう枕草紙(春画)を溜めたねえ」
「溜めたのではございません。親類のうちから、送ってもらったものです」
「言い訳をせんでもよい」
「それじゃあ、次は男部屋の孝助と源助の文庫を調べよう。お竹どん、ちょっと、二人を呼んできておくれ」
お國に指示をされ、お竹が孝助と源助を呼びに行きます。
「孝助どん、源助どん、お殿様がお呼びでございますよ」
「へいへい、お竹どん、何だい?」
源助が何事かとお竹に尋ねます。
「お金が百両紛失して、内々の者へ疑いがかかり、今お調べのところだよ」
「どこから入ったのだろう。何しろ大変なことだ。とにかく、行ってみよう」
孝助と源助は飯島の前へ出て参りました。
「泥棒の話を承わり、びっくりいたしました。百両の金子が御紛失になりましたそうでございますが、孝助とわたくしと御門を堅く守っておりましたのに、どういうことでございましょう。さぞ、ご心配なことで」
「なに、國が預り中で、たいそう心配をするから、ちょっと調べているだけだ」
「孝助どん、源助どん、お気の毒だが、お二人は、どうも疑られますよ。つづらをここへ持っておいで」
「どうぞ、わたくしのつづらをお調べください」
「これだけかい?」
「一切合切、一世帯、これっきりでございます」
「おやおや、まあ、着物を袖畳みにして入れておくものではないよ。ちゃんと畳んでおきな。これは何だい? 何、寝間着? 相変わらず、無精だね。丸めただけで、まあ汚い。この紐は何だい? 虱紐(しらみひも)だと? 汚いねえ。孝助どん、お前のをお出し。この文庫だけかい?」
お國は、孝助の文庫を広げて見せびらかすようにします。もとより入れておいた胴巻が入っています。お國はこれ見よがしに団扇の柄に引っ掛けて、胴巻きをすっと差し上げました。
「おい、孝助どん。この胴巻はどうしてお前の文庫の中に入っているんだい?」
「おやおや、さっぱり存じません。どういたしたのでしょう」
「とぼけるんじゃないよ。百両の金子がこの胴巻ぐるみ紛失したのだよ。これがなくなっては、どうも私が殿様にすまないからお金を返しておくれよ」
「わたくしは盗った覚えはありません。どんなことがあっても覚えはありません。どういうわけで、この胴巻が入っていたかは存じません」
「源助どん、お前は一番古くこのお屋敷にいるし、年長なのだから、これは孝助どんばかりの仕業ではなかろう。お前と二人で心をあわせてしたことに違いない。源助どん、お前から先へ白状しておしまい」
「これは、わたくしはどうも、これ孝助、どうしたんだ? 俺が迷惑を受けているんだ。私はこのお屋敷に八年も御奉公をして、殿様から正直と言われているのに、年を取っているというだけで、疑われている。孝助、どうした? 言わねえか」
「わたくしに身に覚えはないよ」
「覚えはないといったって、胴巻がどうしてあるんだ」
「どうして出たのか、わたくしゃ知らないよ。胴巻はひとりでに出てきたのだ」
「ひとりでに出たと言ってすむか。胴巻の方から文庫の中へ駆け込む奴があるものか。そらぞらしい。そんな優しい顔つきをして本当に怖い人だよ。恩も義理も知らない犬畜生とはお前のことだ。わたしが殿様にすまない」
お國は孝助の膝をグッと突きます。
「何をなさいますか。身に覚えはございません。どんなことがあっても、覚えはございません」
「源助どん、お前から先へ白状おしよ」
「孝助、俺が困る。俺が知恵でも付けたように、疑われて困る。早く白状しろよ」
「わたくしには覚えはありません。そんな無理なことを言わないでください。ほかのことと違って、大きなことだ。家来が御主人様のお金を百両取ったなんて、そんな覚えはない」
「覚えがないとばかり言っても、先に進まない。それじゃ、胴巻の出た道理がわからない。俺まで疑われて困っているんだ。早く白状して殿様の御疑念を晴らしてくれよ」
源助に小突かれて、孝助は泣きながら、ただ残念でございます、と言っていると、お國は先夜の恨みを晴らすはこの時なり、今日こそ、孝助が殿様にお手打になるか追い出されるかと思えば、心地よく、気持ちは晴れやかです。お國はわざと大きな声で責め立てます。
「孝助どん言わないか」
お國はそう言いながら、力に任せて孝助の膝をつねります。孝助はちっとも身に覚えがないのですが、証拠があるので言い訳する術もなく、悔し涙を流します。
「痛い。いとうございます。どんなに突かれても、つねられても、身に覚えのないことは、言いようがありません」
「源助どん、お前から先へ言ってしまいな」
「孝助、言わねえか」
源助も孝助をドンと突き飛ばします。
「なんで突き飛ばすんだ」
「いつまでも言わずにいちゃ、俺が迷惑する。言いなよ」
源助はまた孝助を突き飛ばします。孝助は両方から、つねられたり、突き飛ばされたりして、悔しくてたまりません。
「突き飛ばしたって覚えはない。お前もあんまりだ。ひとつの部屋にいて俺の気性も知っているじゃないか。お庭の掃除をするにも草花一本も折らないように気を付け、釘一本落ちていても、すぐに拾って、お前に見せるようにしているじゃないか。オイラの心も知っていながら、人を泥棒と疑ぐるとは、あまりにひどいじゃないか。そんなにキャアキャア言うと殿様までがわたくしを疑ぐります」
始終を聞いていた飯島は大声を上げて、孝助を怒鳴りました。
「黙れ、孝助。主人の前も憚らず、大声を出して、けしからぬ奴だ。覚えがなければどうして胴巻が貴様の文庫の中にあったのか。それを申せ。どうして胴巻があった?」
「どうしてあったのか。さっぱりわかりません」
「ただ、知らぬ存ぜぬと言って済むと思うのか。不埒な奴だ。俺がこれほど目をかけてやってきたというのに、その恩義を忘れ、金子を盗むとは不届き者め。手前ばかりではよもあるまい。ほかに共犯者がいるのだろう。さあ、理由を言わないのであれば、手打ちにしてしまう。そのように心得ろ」
飯島がそう言い放つと源助はたいそう驚きました。
「どうか、お手打ちだけは勘弁願います。何者かに騙されたのかもしれません。しっかり、わたくしが取り調べをして、ご報告いたします。それまで、お手打は日延べを願いとう存じます」
「黙れ、源助。そのようなことを申すと、手前まで疑念がかるぞ。孝助を構い立てすると手前も手打にするから、そのように心得ろ」
「これ孝助、お詫びを願わないか」
「わたくしは何もお詫をするような不埓をしたことはございません。お殿様の手打になるのはありがたいことです。家来がお殿様の手にかかって死ぬのは当たり前のことです。御奉公に来た時から、身体はもとより命まで殿様に差し上げたのだから、死ぬのは当然覚悟だけれど、これまで殿様の御恩になったその御恩を孝助が忘れたと仰った殿様のお言葉、そればかりが、冥途で気がかりだ。しかし、これも無実の難で致し方がない。あとでその金を盗んだ奴が出て、ああ孝助が盗んだのではなかった、孝助は無実の罪であったということがわかるだろうから、今お手打になっても構わない。さあ、殿様スッパリとお願い申します。お手打になさいまし」
孝助がすりよると、飯島は一歩引きました。
「まだ日があるうち血を見せては穢れるおそれがある。夕刻になったら手打ちにする。部屋へ参って、おとなしくしていろ。これ、源助。孝助を取り逃さんように手前に預けたぞ」
「孝助、お詫びを願え」
「お詫びをすることはない。お早くお手打を願います」
「孝助、よく聞け。卑しい者は自分の悪事を棚に上げ、主人を恨み、際限なくわからんと我を張って自ら舌を噛み切り、あるいは首をくくって死ぬ者がいる。手前は武士の血筋だ。左様な死にようはいたすまいな。手打になるまで待っていろ」
飯島にそう言われて孝助は悔し涙を流して声を震わせています。
「そんな風に死ぬつもりはない。さっさとお手打ちになさってください」
「これ、孝助、お詫びを願わないか」
「どうしても盗った覚えがない」
「これまで殿様はきつい言葉も使ったこともなかったが、大枚の百両の金が紛失したのだから、お怒りになるのはごもっともなことだ。お隣の宮野邊の御次男様にお頼み申し、お詫言を願っていただこう」
「隣の次男なんぞに、たとえ舌を喰って死んでも、詫言なぞは頼まねえ」
「そんなら相川様へ願え、新五兵衞様に」
「何もしくじりがなく、潔白で、身に覚えがないのだから、あとで泥棒が明らかになるに違いない。天は誠を照らすと言うから、そのとき、殿様が御一言でも、『ああ、孝助には可哀想なことをした』と言ってくだされば、それでよい。それが唯一の手向けだ。源助どん、お前にも長らく御厄介になったな。相川様へ養子に行ったら、小遣いでもあげようと思っていたが、今となっては水の泡。どうぞ、わたしがいなくなった後は、お前が一人で二人分の働きをして、殿様を大切にして、忠義を尽くしてあげてください。そればかりがお願いだ。それに源助どん、お前は病身だから体を大事にして、御奉公をし、丈夫でいておくれ。私は身に覚えのない泥棒に貶められたのが残念だ」
孝助は声を出して、泣き伏しました。源助も同じく鼻をすすり、涙を零して、眼をこすりながら、懇願します。
「孝助、頼むから、お殿様に、詫びてくれよ」
「心配するんじゃないよ」
孝助は手打になるときは、隣の次男源次郎とお國の姦通、来月の四日、中川で殿様を殺そうという悪巧みの一部始終、一切合切をつまびらかにして、殿様の前で暴露しようと考えておりました。そのようにして、お手打になろうという気でありますから、少しも臆する様子はなく、普段の通りでおります。そのうち、灯りがちらちら点く時刻となりますと、飯島の声がします。
「孝助、庭先へまわれ」
このあとはどうなりますか。
それは、次回までのお預かりでございます。
◆場面
飯島平左衞門の邸
◆登場人物
・飯島平左衞門…孝助の主人
・お國…飯島平左衞門の妾。孝助殺しを企てている
・孝助…飯島家の草履取り、奉公人
・源助…飯島家の奉公人、孝助と同室で暮らす先輩
・お竹…飯島家の女中
・おきみ…飯島家の女中
・源次郎…お國の浮気相手
◆感想と解説
ある日の深夜、飯島家に泥棒が入り、金百両が盗まれます。お國は、この偶然を利用して、孝助に罪をなすりつけることを画策し、成功します。孝助は泣きながら、弁明するも信じてもらえません。
このシーンは孝助がピンチから脱することができるかどうかに着目をしてしまいがちですが、「金百両を盗んだのは誰か」を考えておくと、よりいっそうこの後の話が楽しめます。『牡丹燈籠』で怖いのは、恋に身を焦がして幽霊になったお露なのでしょうか。圓朝は、何を「怪談」として描いているのかに注目していただければと思います。
第12話に続きます!
場面は、伴蔵とおみね夫婦のいる荻原新三郎邸に戻ります。