読書日記㊸楽園のカンヴァス/原田マハ
どうも。お久しぶりですね。休職ちゃんです。
どうにも筆が進まず、しばらくnoteから離れておりました。
特に、読書日記は2,3か月ぶりくらい?久しぶりだけど、うまく書けるかしら。
楽園のカンヴァス/新潮社/原田マハ
アンリ・ルソーの絵画「夢」をテーマにした作品。中国地方のとある美術館で監視員を務める早川織絵。母と娘の3人で、ひっそりと暮らしていた織絵は、ある時館長から呼び出される。ルソーの展覧会を日本で開催するにあたり、ニューヨーク近代美術館のキュレーター ティム・ブラウンが「ルソーの「夢」の貸し出しは、”早川織絵”が窓口になるなら、前向きに検討しよう」と言っているというのだ。そう、彼女は十数年前、ルソー研究で名を馳せた若き研究者だった。そして、ティムと戦った、夢のような7日間のことが今よみがえるー。
キュレーターでもある原田マハ先生の、絵画小説。原田先生の「常設展示場」という様々な絵画をテーマにした短編集は読んだことがありましたが、1冊で一つのがっつり絵画の小説は、初めてでした。しかもミステリ。
「絵画に全く興味のない私が、楽しめるのかな?」と不安でしたが、知識がなくても分かりやすく、謎解きが気になって読む手が止まりませんでした。また、読んでいるうちに、だんだん興味が沸いて、出てくる絵画をネットで調べながら読み進めました。「あ、これ見たことある!」「あ、こんな背景で作られていたんだ」と、新たな発見がたくさんありました。
私はこれまで、絵画やアートについて全く無知で、また興味もありませんでした。「絵画って、どうやって楽しむの?」と。しかし、この物語を読んで、人々がなぜ絵画を見るのか分かった気がします。それは、織絵がピカソの「鳥籠」という作品を見て、「鳥を描いているのではなく、籠を書いているのだ」と気づくシーン。「名画はときとして、こんなふうに、人生に思いがけない啓示をもたらしてくれる(楽園のカンヴァス/22ページ)」と。ああ、なるほど、この感覚ならば私にもわかる。本や歌詞を聞いて、「こんな考えがあったのか」と気づかされたこと、「なんて素敵な文章だろう」と心打たれたこと。なるほど、あの時味わった幸福な発見が、絵画にもあるんだ。絵画を鑑賞することの意義が分かった瞬間でした。
また、物語を読みながら強く感じるのは、絵画への情熱。登場人物の熱い思いはもちろんのこと、作者の原田先生の絵画への愛をひしひしと感じました。絵画や作家のこと、時代背景など深い造詣がないと、こんな謎は思いつかないでしょう。そして、愛が溢れる文章は、人の心を強く打つものです。こんなにこの本が面白いのは、原田先生の絵画への愛が詰まっているからですね。
この物語、ティムと織絵の二人の対決とともに、ルソーの人生が平行して描かれます。二つの物語が交差し、その中で謎が少しずつ明かされていくストーリーです。なので、1冊の本で2つの物語が楽しめるという、なんともお得な本になっています(笑)
ちなみに、トップの画像もルソーの作品(を模写したもの?)です。
原田先生の作品は、ほかにも絵画や画家をテーマにした作品が多々あるようなので、ちょっと足を踏み入れてみようかな。
また、原田先生の作品は、「本日は、お日柄もよく」「旅屋おかえり」「総理の夫」など、アートに関係しないものも多数あります。それらも、おすすめしたい本ばかり。まだ原田マハ先生の作品を読んだことがない方は、ぜひ読んでみてください!
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