フランケンシュタイン/メアリー・シェリー 小林章夫 訳
先に拝読した #パウロコエーリョ さんの著書、 #不倫 の中で、主人公がもし自伝を書くとしたら真似たいということで登場した #フランケンシュタイン ( #メアリーシェリー 著)を拝読しました。
※今回は、多少ネタバレしてしまうかもしれないし、多分長くなるであろうことを先にお詫び申し上げます。
フランケンシュタインという物語自体は、先に拝読した #ジキル博士とハイド氏 と同様、あまりにも有名で多くの方が周知しているでしょうが、私は今回初めて拝読しました。
そして、「フランケンシュタイン」というのは、怪物の名前だと思っていたら、怪物を作り出した博士の名前だということも初めて知りました。
ここで気が付いたのですが。。。
「ジキル博士とハイド氏」も、「フランケンシュタイン」も、博士の執拗なる探究心から怪物を生み出すことになったのですね。
さて、本作の魅力を訳者の解説から要約すると、作品の枠組みが3重の円構造によってつくられており、ウォルトン隊長が姉に宛てた手紙がもっとも外側の円をなし、その中にフランケンシュタイン博士の回想が組み込まれ、さらにその内側に怪物の告白が存在するので、読んでいくうちに本質に迫っていくような感覚になり、物語にどんどん惹き込まれます。
そして、様々な解読を許す作品なのでたくさんのメッセージが溢れていて、読者の感想も大きくそれぞれで変わるのではないでしょうか。
今回、私が本作から感じたテーマの1つ目は「承認」
こちらは、アドラーの言葉です。
フランケンシュタイン博士によって創られた怪物は、正にこのような状態ではないかと。
元々悪だった訳ではありません。
でも、どんなに善を貫こうとしても怪物の善が承認されることはありませんでした。
怪物はとても孤独だったのです。
その孤独を拭うためには、復讐の鬼と化し創造主であるフランケンシュタイン博士に存在を承認させることしかなかったのでしょう。
まるで、親の気を引きたくてグレた子供のようでした。
(その割にはかなり残虐なグレ方やけど💦)
さらにいうと、フランケンシュタイン博士自体も自分がどれだけ賞賛されるべき人間かとうことを多くから承認を得たくて、まだ誰も成し得ていなかったことをしようとし、怪物を創り出してしまったように感じます。
まさに、承認欲求に執着した先の悲劇、といえるのではないかと思います。
2つ目のテーマは「命の重さ」
今の世の中は、不可能なことはほぼないのではないかと思えるくらいにとても便利になりました。
でも、その便利さは生きるために必ず必要なものばかりではありません。
人間の欲によって生み出されたものも多くあります。
動物や植物の品種改良、クローンなど。
例えば、消費者が求めるから、お金になるからとどんどん改良され、量産されるペットたち。
もっと例えて犬のことでお話ししていくと、今流行りのミックス犬や超小型犬のような改良は、私たちが生きていくために必要なことでしょうか。
人間の自己中心的な欲により創造されているのではないしょうか。
本作を読み、改めてこの2つのテーマについて、もっと自分なりに追求し、思索していきたいと思いました。
本作はホラーなイメージでしたが、いざ読んで見ると、メッセージ性のある悲しい物語で、とても胸を打たれます。
フランケンシュタインも、ジキルとハイドも、改めて買ってしまおうか迷うところです。
長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。