
三十の反撃/ソン・ウォンピョン、矢島暁子(訳)
図書館から借りた、ソン・ウォンピョンの小説
「三十の反撃」を拝読しました📖´-
(2022,4,24 読了)

本作は、2022年本屋大賞「翻訳小説部門」大賞を受賞したことで知った作品です。
同著者の前作「アーモンド」の読友さんの感想を拝見していずれ拝読したいと思っていたのですが、せっかくの機会なので本作から先に拝読することにしました。
今の私は、主人公の想いに同意することばかりで。
自分のことのように物語を読み進めました。
私は結局、明日へ進めないのだ。いつも抜け出したい今日に縛られているだけだ。永遠に同じトラックをぐるぐる回って終わるのだろう…
抜け出したいけど、抜け出し方が分からないんです。
自分なりに前向きに考えようと試みても、すぐにその想いは握りつぶされてしまう。
でも、主人公の偉いところは多少なりとも行動はしているのです。正社員の求人に応募してみたり。
結局それすらも上手くいかず、絶望する寸前である人との出会いがあり、その出会いがキッカケで主人公の現状はゆるやかに良い方向へと転換していきます。
私は、前向きに思考を変換しようとするだけで何も行動はできていない。
一瞬、私にもこれが転換になるかとも思えたこともありましたが、行動できていない私にはそんな都合の良い話は舞い込んでくるはずもなく。
相変わらず状況は思わしくないまま。
物語に話を戻しますと、主人公が出会ったギュオクという男性は力強く、主人公とともに読者の背中も押してくれるような言葉をたくさん届けてくれます。
「力を持っている少数はいつも余裕しゃくしゃくなのに、力のない大多数の人は自分たちが何かを変えられるなんて思わないからです。
僕たちは、諦めて我慢するしかないと思わされているんです」
「悔しい思いをしてただ愚痴ばかり言っているんじゃなくて、何でもいいから行動しなきゃ。僕の言う転覆はそういうことです。
世の中全体は変えられなくても、小さな理不尽一つひとつに対して、相手に一泡吹かせることくらいはできると信じること。
そんな価値観の転覆なんです」
小さな理不尽をほっとくと自分がどんどん苦しくなるだけです。
まさに今の私がそう。
ギュオクに背中を押されて様々な年齢や職業の人たちが、少しだけ価値観の転覆を試み一歩踏み出すことができました。
もうすぐ45歳になる私ですが、まだできることはあるのかもしれません。
本作を拝読して、完全に世の中を現状を諦めてしまう前に、自分にできることを探してみようと思えました。
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