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【墨絵本】線のたび

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埋もれていたスケッチブックを発掘したことから、思いつきで始まった物語。 墨絵本。
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#旅

線のたび(12)

線のたび(12)

美しい碧色に囲まれた何処かから来た
天の子との出逢い。
自分もその憧れの場所へ辿り着いた
宙の子。
ただ、居心地が良かった其処は、何故かずっと居てはいけないと感じた。
そして、また再び、自分が来た"宇宙"へと、帰ることに。

「なんだか、あっという間だった。
もっと長く居たかった氣もしたけど、ずっと居たくないなぁ…とも感じたしなぁ。何故だろう?」

宙の子は、帰りながら、高く昇りながら、
ぼんやり

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線のたび(11)

線のたび(11)

果てしなく広がる宇宙の何処か奥深い場所から、まだ行った事のない憧れの何処かへと下へ下へと降りてきた宙の子。

途中で出逢えたちょっぴり気になる子は、自分が居た宇宙を目指して昇っていくと言っていた、天の子。

天の子が住んでいた場所は、
遠くから、ぼんやりと浮かんで
柔らかく暖かそうな色に包まれていた心地良いところだった。

碧や緑や翠色が混ざって、
ずっと留まりたくなるような、
不思議な場所。

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線のたび(9)

線のたび(9)

宙の子は、懐かしく心地良さに
身を委ねたまま、眠りに落ちた。

しばらくして、深いところから
鳴り昇ってくる音に目を覚ました。

おぉ…ぅん…、おぉ…ぅん…おぉ…ぅん

体の奥底、深い深いところから湧き出てきて、
天に向かってゆっくりと上へ上へと響ながら
キ〜ンという軽やかで果てしなく広がる音。

「何処から聴こえてくるんだろう?」

宙の子は、自分の体がくるくると
渦を巻きながら、ゆっくりと上へ

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線のたび(8)

線のたび(8)

宙の子は、すれ違って行った何かを
見送ったあと、再び下へと進んだ。

あぁ、あの辺りかな?
段々と色が濃くなってきたなぁ。
あそこから降りてみよう。

宙の子は、近づくにつれて色がくっきりと観えてくるのを確かめながらグッとスピードを上げた。

宙の子は、深い、淡い、暖かく萌えている碧色の
雲のような塊の中に入って行った。

「なんだか、とっても優しい。
柔らかい翅の中に包まれているみたいだな…なん

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線のたび(5)

線のたび(5)

降りてきた宙の子は、下に、
下から昇ってきた天に、
それぞれ何かを探しに向かった。

宙の子は、うっすらと碧色に包まれた塊に向かって、真っ直ぐに降りて行った。さっきまで、一緒に居た子の気配を見出しながらも、少し違う何かを感じながら。

「ボクは、何を探しに行くんだっけ?」

天に向かった子と別れて、一人になった途端に、ふと思い出した。

「ああ、そうだったな。
落としたものを見つけに行くんだ…

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線のたび(4)

線のたび(4)

空がどんなふうか?
これから向かおうとしている
天の子は、ちょっぴり、怖かった。

宙の子は言った。
「みんな、"空"って言うけどさ、
もっともっと、ずぅ〜っと遠くて
高くて、広くてさ、"宙"って言うんだ。」

「あら! "空" じゃないのね?
…で、そこは、どんな色なのかしら。」

「そうだなぁ、何色って言うのかな。
赤かな、いや、黒だったり、紫だったり、
たまにはそう、白かったりもするしね。

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線のたび(3)

線のたび(3)

天の子は、
宙の子に訊いた。

「あなたは、何を見たいの?」

「う〜ん、その、綺麗な碧色が
何か?確かめてみたいな。
君は、それが何か知ってるんだろ?」

天の子は応えた。「…そうねぇ、
私はずっと、その中で過ごしていたから。
一体、それが何なのか、見たことないの。」

「ふぅん…そうかぁ。
でもさ、君みたいな子が居たところなら、
きっと、優しい素敵なところだね!?」

「そうかしら?
そうだと

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