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【墨絵本】線のたび

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埋もれていたスケッチブックを発掘したことから、思いつきで始まった物語。 墨絵本。
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2021年10月の記事一覧

線のたび(4)

線のたび(4)

空がどんなふうか?
これから向かおうとしている
天の子は、ちょっぴり、怖かった。

宙の子は言った。
「みんな、"空"って言うけどさ、
もっともっと、ずぅ〜っと遠くて
高くて、広くてさ、"宙"って言うんだ。」

「あら! "空" じゃないのね?
…で、そこは、どんな色なのかしら。」

「そうだなぁ、何色って言うのかな。
赤かな、いや、黒だったり、紫だったり、
たまにはそう、白かったりもするしね。

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線のたび(3)

線のたび(3)

天の子は、
宙の子に訊いた。

「あなたは、何を見たいの?」

「う〜ん、その、綺麗な碧色が
何か?確かめてみたいな。
君は、それが何か知ってるんだろ?」

天の子は応えた。「…そうねぇ、
私はずっと、その中で過ごしていたから。
一体、それが何なのか、見たことないの。」

「ふぅん…そうかぁ。
でもさ、君みたいな子が居たところなら、
きっと、優しい素敵なところだね!?」

「そうかしら?
そうだと

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線のたび(2)

線のたび(2)

宙の子は言いました。

「こんにちは。はじめまして。」

天の子は言いました。「はじめまして。こんにちは。
 ねぇ、あなたはどこに行くの?」

「僕かい?
  この雲の下にさ、碧色に包まれた
  素敵な場所があるんだって。
  とってもキレイな、みどりいろの。 
  君、知ってるかい?」

「うん。
  知ってる。
  私、そこから来たの…。」

「へぇ! そうなんだ。
  どんなところかなぁって

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線のたび

線のたび

墨絵本

昔から、いろいろなものを"ジャケ買い"する私。
地層からその軌跡を発掘。
スケッチブック。
手付かずだった。

打つよね、点を…

せっかくだから、使おうと思って。
思いついたことを一枚目に描いた。
気の向くまま、描いてみようと思う。

墨絵本。
不定期更新。