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【読書感想】 2024年105冊目「功名が辻(一)」司馬遼太郎/文春文庫


pp.6--30 嫁の小袖

美濃では、いやこれは昭和初年代までそうだが、──一人出家すれば九族天に生ず、という思想があり、相当豪家では、一族のひとりは出家させる慣習があったから、この出家は異様なことではない。・・・

祖母から同じようなことを、言われたことがある。

pp.32--60 戦場

祖父江、五藤のふたりは、カブトはかぶらず、胴丸をつけ、柄の塗りのはげた二間半やりをかついでいる。どちらも戦さ働きには齢をとりすぎていたが、山内家譜代の者だけに主人を世に出すというひたむきな目標があり、戦場に出れば見ちがえるほどいきいきした。・・・

昔の武将は、その功名を立てるのになんとも命がけだったんだなぁと、あらためて思う。それにくらべて、今のサラリーマンたちって一体どうなんだろう。

pp.61--88 空也堂

伊右衛門、この合戦で一躍二百石に加増され、そのまま木下藤吉郎につけられた。・・・

伊右衛門はその前が五十石だったから、現代なら給料一気に3倍といったところ!すごい!

pp.89--154 姉川

千代は、美濃不破地方では、  ──お館さま。  といわれた不破家で養われた、いわばお姫さまそだちである。  ところが、うまれつき家計の切り盛りの才能がそなわっているのであろう。  ずいぶん家計を切りつめているのに、彼女にはちっともしみったれたふんいきがでてこない。  いつもゆったりしていて、なんの屈託もなく暮らしているようだ。・・・

まるで祖母の都さんのことを書いてあるようだ。

pp.155--250 唐国千石、長篠合戦、乱世の奉公人

「わしは、地獄はいやだ」  地獄、とはこの男のいう意味では、侍奉公をさすらしい。  名ある者の首を獲って首帳に自分の名前をのせれば、自然と立身してしまう。立身すればするほど身を置く社会が複雑になって、気楽な暮らしができない、というのだ。・・・

こういう若者、今多いような気がする。いわゆる野心がないというか、生気が感じられないというか、妙に年寄りじみているような人間だ。

pp.251--283 十両の馬

 千代は、馬などよりも、その「うわさ」を黄金十枚で買ったといっていい。馬は死ぬ。うわさは死なないのである。  伊右衛門は、家中で名士になった。・・・

評判、噂、イメージは、そのものがなくなっても、永遠に生き続ける。すごいと思う反面、恐ろしいとも思う。

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松坂 晃太郎  / MATSUSAKA Kotaro
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