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【随想録】 ざっくばらん

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茅屋に身を置き、隠遁者を気取って筆を取る。自然と戯れ、書物と旅する。筆は世界の不思議を書き留める。思考は自由で奔放。「下らぬこと」と笑ってくれるな。我は至って真面目、大真面目。さ…
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【随想】 つれづれなるままに

【随想】 つれづれなるままに

 幼い頃、自分の書いた文字が活字になることに憧れていた。
 そんな少年の日から数十年が経ち、さまざまな書体の活字が氾濫している現在では、いささか“活字食傷”に陥っているのが正直なところ。
 そのため、手書きの文字に愛おしさを感じてしまうのであった。

 書物の山に囲まれた机という盆地にできた原稿用紙の田圃の中に文字という苗を植え付ける。
 ──ふと、 そんな暮らしを夢見る。

 将来は“学者”にな

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【随想】「学校」に関する話

【随想】「学校」に関する話

 学校が大嫌いだった。

「なぜ学校に行かなければならないのか?」
 それは学生時代(特に高校生時代)から抱いている人生の大疑問である。そんな疑問に対し、巷の大人たちは、
「学校に行くのは勉強をするため。それは将来のためでもある」
 と、口を揃えて答えるに相違ない。もし、その答えが唯一無二の正解だとしたら、勉強は学校に行かなければ出来ないコトになる──否、そんなコトはないだろう。
 勉強は何処にい

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【随想】 果てしない戦い

【随想】 果てしない戦い

 人類の歴史は“戦い”に満ちている。
 人の一生も“戦い”に満ちている。
 では、「戦い」とは何か?
 大国同士がクニの威信を賭けておこなう戦争も、学校のクラス対抗バレーボール大会も“戦い”の本質に大きな変わりはないだろう。

 戦いには、「勝たねばならない戦い」と「負けてはならない戦い」のふたつがある。当然、ふたつの「戦い方」には違いが発生する。

 戦いの後は「勝ち」を分析し、「負け」に学ぶ。

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【随想】 学校の勉強の話

【随想】 学校の勉強の話

 子供の学校の宿題を一緒に解いていて、ある疑問が頭に浮かんだ。それは、
「国語、算数、理科、社会の学ぶ意味は何だろうか?」
 という疑問だ。
 それから紆余曲折、右往左往。「犬も歩けば棒に当たる」と思考回路を起動させた末、次のような結論を導き出した。それは──、

 国語:自分の気持ちを表現する力を養うもの
 算数:物事を順序立てて考える力を養うもの
 理解:物事の変化を見極める力を養うもの
 社

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【随想】 人とロボットの未来

【随想】 人とロボットの未来

 恐竜とロボット。
 このふたつは、小学生の頃好きだったものだ。その頃から始めたスクラップブックには、恐竜とロボットに関するの記事が数多く貼られている。だから、親に頼んで上野の国立科学博物館に連れていってもらったのだ。
 はじめは恐竜の化石が目当てであったが、老生が釘付けになったのは、積木を移動させるロボットだった。現代から見たらロボットというよりは工業機械に近く、作りは至極簡単な物であったが、少

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【随想】 ウルトラセブン参上!

【随想】 ウルトラセブン参上!

 『帰ってきたウルトラマン』第18話「ウルトラセブン参上!」に登場した“ベムスター”は、ウルトラマンが闘った最初の宇宙怪獣だという。第17話まではアーストロン、タッコング、グドン、ツインテール……等々、地球産の怪獣だけを相手にしていたのだ。これを「地産地倒」と云う。それにしても意外じゃ。第1話から“悪魔のような”宇宙怪獣・ベムラー(そんな悪人面には見えないけど……)と闘ったウルトラマン(初代)とは

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【随想】 ウルトラマンの帰還

【随想】 ウルトラマンの帰還

 なぜ、ウルトラマンは地球に留まったのか?

 長年の疑問である。
 地球で怪獣(或いは宇宙人)と闘うコトは、彼(ウルトラマン)にとってどんな利益があったのだろうか?
 地球に留まる理由について、ウルトラマンはゾフィーに「地球人が好きになったから」みたいコトを示唆していたけど、それは本音だろうか? なんか取ってつけたような感じがしないでもない。

 老生思う。ウルトラマンは「地球に留まった」という

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【随想】 「親との事情」の話

【随想】 「親との事情」の話

「少年よ、大志を抱け!!」
 と、チマタの大人はお気楽に言ふてくれる。当の少年(少女も含む)が抱きたい「天下の男(女の子もね)と言われたい」という青雲の志は、甚だ実現し難い世の中だというのに……。
 世に棲む少年少女の多くは生まれながらにして、さまざまなシガラミに囚われている。その最たるものは“親の期待”ではないか。このシガラミほど強固な呪縛は、この世に存在しないだろう。それをアレクサンドロス大王

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【随想】 考えるコトを考える

【随想】 考えるコトを考える

 最近、“時間”が無い。
 ──と言っても、時間は年齢、性別、学歴、収入……その他諸々の条件に関わらず万人に平等に分け与えられる“資源”であるから、「無い」というコトはない。ただただ、“勉強”に割り当てる時間が無いのダ。
 勉強したいコトは、タンとある。歴史学、生物学、哲学、数学、心理学、民俗学、天文学、考古学、農学、東洋医学、未確認動物学、超古代文明……ets。されど、平日の昼間に仕事をもってい

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【随想】 中高年の向学心

【随想】 中高年の向学心

 「50の手習い」として、今、薬草の勉強をしている。
 勉強を進めていると、早く次の段階を学びたくて仕方がない。向学心がコンコンと湧いてくるのだ。参考になる本を探しに本屋をハシゴし、図書館に通う。これは学生時代になかった現象で、自分でも吃驚している。
 学生時代、これほど勉学に励んでいれば、また違った人生になっただろうと思うのだ(まあ、「学歴社会」の功罪は脇に置いといてだが)。逆を申せば、なぜ学生

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【随想】 「成功と失敗」の話

【随想】 「成功と失敗」の話

 後世の人間が、過去に失敗を犯した人を「何であんなコトをしたんだ!?」と冷笑するのは、いと容易いことだ。なぜなら、その失敗の“原因”を知っているから。スポーツ解説者の如く事後でなら、何とでも言える。一寸先のことは、誰にも判らない。皆、そのときは“最善”の策だと思って行動しているのだ。

 そこで、我が人生を振り返ってみる。
 さてさて、老生は──、
 過去の成功に対し、「なぜ成功したのか」を分析し

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【随想】 数字の魔性

【随想】 数字の魔性

 数字は嘘をつかない。
 しかし、絶対ではない。
 数字を侮るとしっぺ返しを喰らう。
 だが、信頼し過ぎると裏切られる。

【随想】 おらが惑星

【随想】 おらが惑星

 SDGsは、先進国(と自惚れる国々)の“驕り”である。

 矢口高雄氏の『おらが村』(山と溪谷社)に、都会で生活する者が《ふるさとはかわっちゃあいけないのさ 昔のまンまであってほしいのさ……》と言うのに対し、山村で暮らす者が憤怒する場面がある。《おらだつ山ン中の百姓だけが昔のまンまの生活していていいってゆう理屈はあんめえ 文明の恩恵からはずれたところで生きねばなンねえという理屈はあンめえ》と声を

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【随想】 二足歩行のはじまり

【随想】 二足歩行のはじまり

 会社の浴場の大きな湯船に浸かりながら、それほど長くもない己の脚を「じーっ」と見る。指が短く親指が他の指と平行に並んでいるヒトの足は、二足歩行に適した形状だといわれている。
 お湯の中で脚を動かしてみる。足先に抵抗を感じる。幼い頃、“バタ足”から泳ぎを教わったことを思い出す。老生のような“幅広”な足は水泳に向いてそうだが、泳ぎは一向に習得できなかった。だから、学校の水泳の授業は苦痛な時間のひとつで

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