マッチ棒(ライターに憧れている)

趣味でイラストを描いたり、物語を考えたりしています。 今まで書いた長編小説はマガジンにまとめ、追加しています。

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はじめまして

はじめまして、マッチ棒と申します。 いつもはTwitterで自分の思ったことを呟いているのですが、このたびnoteを始めてみました。 これからnoteでは、次の3つのことを綴っていきたいと思います。 日々考えていること→【日記】タイトル 描いたイラスト&描いてみた感想→【イラスト】タイトル 小説→【小説】タイトル まだnoteの操作に慣れておらず、文章も拙いですが頑張って書いていこうと思います。どうぞよろしくお願い致します!

    • 【小説】ある駅のジュース専門店 番外編「西科優仁に関するインタビュー」

       西科優仁……ですか? ああ、はい。高校生の時、同じクラスにいました。よく覚えてますよ。結構、その……いろんなことやってましたからね。あの人。  ほら、あの頃って学校のルールを守ることなんかより、オシャレとか流行りとか、カッコ良さみたいなものを追い求めたい時期じゃないですか。だから先生に隠れてズボンの丈をちょっと長くしたり、髪型を刈り上げてみたりする人は結構いたんですよ。  でも西科は……もうそんな次元じゃない。堂々とやってくるんですよ。清々しいくらい。髪は染めるし、学ランの

      • 【小説】ある駅のジュース専門店 番外編「ある駅の小さなレストラン」

         仕事帰りに乗った電車で居眠りをしてしまい、慌てて降りた駅に、人の気配は無い。構内のシャッター街を彷徨っていると、一軒だけ、シャッターが開いている店を見つけた。  レンガ調の壁紙と木製のフローリング。ダークブラウンのカウンターに赤い椅子。やけに薄暗い店内を、カウンターの上に置かれた赤いテーブルランプがぼんやりと照らしている。出入り口の上に掲げられた看板を見ても、見たことのない文字ばかりで全く読めず、なんのお店か分からない。 「いらっしゃいませー」  ふいに声をかけられ、慌てて

        • 【小説】ある駅のジュース専門店 番外編「サラセニアの憧憬」

           いらっしゃいませー。また来てくださったんですね、ありがとうございます。どうぞ座ってください。  お客さん、なんか飲みます? ラズベリーソーダとストロベリーソーダがありますけど……ラズベリーソーダですね。かしこまりました。  はい。何かご質問ですか? .....なぜ私がジュース屋を開いたのかを知りたい? 本当は憧れのお店のスタイルを真似しようと思ってたんですけど、料理向いてなかったんですよ……え、もっと詳しく? 今回も少し長くなると思いますが、お時間大丈夫ですか? ……そうで

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        • ある駅のジュース専門店 番外編
          9本
        • ある駅のジュース専門店
          52本
        • 時の砂が落ちるまで
          6本
        • 赤ずきんの銃弾
          1本
        • キャンバスランド怪談
          2本
        • 瑠璃の囀り
          5本

        記事

          【小説】ある駅のジュース専門店 番外編「訪問」

           クーラーボックスを携えて、久しぶりに電車に乗った。先輩に会いに行くのは初めてなので、少し張り詰めた気持ちで窓の夜景を見つめる。  電車はトンネルを抜け、ある無人駅に停まった。少し錆びついた駅名標には「きさらぎ」の文字。開いたドアから生温かい風が吹き込んでくる。私は席を立って電車を降りた。  先輩は、私が駅を建てる十七年前から既に、その存在を多くの人間たちに知られている。駅を建てると決めたのも、先輩のことを知ったのがきっかけだった。だから自分の都市伝説が生まれた今、一度挨拶に

          【小説】ある駅のジュース専門店 番外編「訪問」

          【小説】ある駅のジュース専門店 番外編「征服」

           バスに乗っている。周りの乗客は不安げに前方を見つめている。何事かと進行方向へ目を向けると、アスファルトの上に太く白い植物の根がびっしりと張り巡らされていた。今から二十年前に父を喰った、あの化け物の根だった。  バスは赤信号で停まった。横断歩道を渡る男性が根に近づき、瞬く間に絡め取られて引っ張られていく。向かう先は大きく口を開いた筒状の捕虫葉。男性は激しく暴れていたが、いとも容易く葉の中に放り込まれてしまった。車内のざわめきが大きくなり、悲鳴が聞こえ始めた。  前方を見つめて

          【小説】ある駅のジュース専門店 番外編「征服」

          【小説】ある駅のジュース専門店 番外編「サラセニアの再会」

           ある年の休眠中、突然真っ白い何もないところに放り出された。たぶん「夢」というやつを見ているんだろう。本で読んで知っていたから、ああ、これが夢かという感じでさほど驚きもしなかった。 「サラセ」  男の声に名前を呼ばれた。どこかで聞いたことがあるような声だが思い出せない。声の方に振り向くと、白髪混じりの背の低い男が立っていた。  育ての親だった。 「……なんでお前がいるんだよ。喰ったはずだろ」 「心配になって出てきたんだよ」 「面倒くせぇ奴だな……もう一度喰ってやろうか?」 「

          【小説】ある駅のジュース専門店 番外編「サラセニアの再会」

          【小説】ある駅のジュース専門店 番外編「道祖神と人喰い怪異」

          ※Xの「リプ来た台詞でss書く」という企画で「あともう少しですね」という台詞をいただき、執筆させていただいたお話です。  沈みゆく夕日の光に目を細め、辺りに何もいないのを確認すると、私は林を抜けてある場所へ歩き出した。  かってこの辺りは旅人が通っていたので人の行き交いも多く、疫病が侵入しやすかった。さらに、旅人に混じって人でない悪いモノが村に入り込もうとすることもあった。それらを追い返して村を守るのが私の役目だ。今は病気も悪いモノも昔ほど多くは入ってこないが、代わりに得体

          【小説】ある駅のジュース専門店 番外編「道祖神と人喰い怪異」

          【小説】ある駅のジュース専門店 番外編「サラセニアの自立」

           私は育ての親の家を出て、山の中まで来ていた。もし今誰かに自分の姿を見られたら、きっと甲高い悲鳴を上げられるか写真に撮られるかされて、食虫植物のバケモノが出たなどと勝手な噂が広まるだろう。人の気配が無い場所でゆっくり休むつもりだったので、とにかく目立つことだけはしたくなかった。  雨が降ったばかりの湿った地面に根を下ろし、からからに乾いた全身に水分を送る。これまでは整った環境が既に作られていたが、もう世話をする者はいない。これからは、自分で生き延びていかなくてはならないのだ。

          【小説】ある駅のジュース専門店 番外編「サラセニアの自立」

          【小説】ある駅のジュース専門店 番外編「サラセニアの後悔」

           私の生い立ち……? どうしてそんな事、急に?  気になったから? 私の生い立ちなんて、聞いたって何も面白くないですよ。  まぁでも、今まであまり自分の経歴を人に話すということは無かったですし、お客さんも何度も来てくれてますからね。少し、長くなると思いますが……お時間大丈夫ですか? ......そうですか。 なら、話しますね。  私を育ててくれた人は、少し変わり者でした。 周りから呆れられるくらい、熱心に世話を焼いてくれて。雨の日も雪の日も私の様子を見に来て、私の背が数センチ

          【小説】ある駅のジュース専門店 番外編「サラセニアの後悔」

          【小説】ある駅のジュース専門店 第52話「再会」

          ※この小説を読む前に、【小説】ある駅のジュース専門店 第33話「路地裏のジュース専門店」を読むとよりお楽しみいただけます。(下のリンクからご覧いただけます)  十月三十一日、ハロウィン。毎年この日になると親友の花純と遊ぶ約束を交わし、町に繰り出して買い物や外食を楽しんでいた。  だが、去年一緒に遊んで別れてから、花純は忽然と姿を消した。ニュース番組で彼女の名前が画面に出され、アナウンサーの声で淡々と読み上げられる日々が、しばらく続いた。取材のために声をかけられることもあった

          【小説】ある駅のジュース専門店 第52話「再会」

          【小説】時の砂が落ちるまで 番外編「ヴィンセントの手記」

           気がつけば、非常に狭い空間にいた。指で押し開けると、目の前の壁が開く。空間の外に出てようやく、自分が何に入っていたのかを知る。その周りにも、同じような形の棺が、たくさん並べられていた。 「……そうか」  私は死んだのだ。一人目の妻の家族が開いたパーティーに招かれ、出された料理を食べて、急に息ができなくなって。きっと、あの料理の中に強い毒でも入っていたのだろう。己の無用心さを悔いる。  私に恨む資格は無い。毒を盛られても、仕方のないことをしたのだから。財産欲しさに妻を刺し、続

          【小説】時の砂が落ちるまで 番外編「ヴィンセントの手記」

          【小説】時の砂が落ちるまで 番外編「セシルの手記」

           私の一族は、代々レジー侯爵家の使用人として主人の世話を担当してきた。しかし、未だかつて、あんなに自由奔放な侯爵は他にいなかったと思う。  私が仕えることになった次期侯爵のヴィンセント様は、艶やかなダークブラウンの髪と青い瞳を持つ少年だった。十歳という年齢ながら、既に次期当主にふさわしい明晰な頭脳と礼儀作法、ダンスの腕を備えていた。  ただ唯一欠点を挙げるなら、大変な悪戯好きというところだ。ご主人様は私を揶揄いたいらしく、毎日様々な悪戯を仕掛けてきた。  ある時、ご主人様が勉

          【小説】時の砂が落ちるまで 番外編「セシルの手記」

          【小説】時の砂が落ちるまで 第4話「Crimson night」

           今日は十月三十一日、ハロウィン。いつも高校からの下校途中に寄っているアンティークショップで、夕方からハロウィンパーティーが開かれるらしい。ゆかりは両親の許可を得て、張り切ってメイドの仮装をし、まだ明るいうちに家を出た。  いつもの道を通り、雑居ビルの一角、路地裏に佇む店に到着する。扉を開けると、中から店主の紫苑が出迎えてくれた。 「紫苑さんこんにちは!」 「いらっしゃい! 可愛いメイドさんだね。似合ってるよ」 「ほんと? ありがとうございます! 紫苑さんも、魔女の帽子お似合

          【小説】時の砂が落ちるまで 第4話「Crimson night」

          【小説】ある駅のジュース専門店 第51話「夏の虫」

           玉村さんと会った日から二日後。俺たちは再びあの異界駅に行くか迷っていたが、結局行こうと決意した。早くしないと、あの駅に連れて行かれた玉村さんがサラセさんに喰われてしまう。  ただ、武器を何も持たないままサラセさんと対峙するのは非常に危険だ。そこで井田と入念に話し合い、各自メモ帳とライターを持っていくことにした。 「異界駅に辿り着いた時は、何かを燃やせば無事に戻れるんだったよな」 「うん。インターネットの掲示板でも、何かを燃やせば元の世界に戻ってこれた話が上がってるし、ライタ

          【小説】ある駅のジュース専門店 第51話「夏の虫」

          【小説】ある駅のジュース専門店 第50話「約束の日②」

          「誠一くん。久しぶり」  サラセはそう言って笑みを深めた。窓から差し込んだ日光に照らされ、口元の赤い網目模様がいっそう鮮やかに映る。 「な……なんで……お前が」  震える声で問えば、「だって約束しただろ?」と言われる。 「私の噂を広めたら、お望み通り喰ってやるって。噂を広めてくれた礼も言いたいから来ちまったわ。じゃあ……さっそく、約束を果たしてやらねぇとな」  父を喰った化け物が、こちらに足を踏み出す。 「ま、待ってくれ!」  思わず叫んでいた。 「あ? 何だよ」 「も、もう

          【小説】ある駅のジュース専門店 第50話「約束の日②」