シェア
マソマ
2024年9月24日 07:37
令和6年9月23日、やっとのことで秋の到来を感じた。最高気温は30度を超えず、涼しい風が夏服の隙間を通り抜けると、ぞくりとする寒さの気配がする。思えば、今年の8月、はじめて救急車に乗った。猛烈な暑さの中、気がつくと感受性が死んでいた。前頭葉が茹であがるような、意識の空白に驚きさえ感じなかった。それに気づいたときにはもう遅く、崩れるようにして床に倒れた。幸い、倒れたのは屋内で、冷たい
2024年8月17日 16:46
夢の中で亡くなった祖母に会った。お盆の季節なので、帰ってきたのかもしれない。夢の中の祖母は、ぼーっとしていた。このぼーっと、というのは祖母が重い認知症になってからよく見た姿だった。うつろな目で前を見つめる祖母は、表情こそぼーっとしていたものの、装いは元気だった頃によく着ていた濃い紫の厚手のカーディガンだった。この元気な頃の服装に、元気じゃなかった頃の表情というのがなんとも印象に残った。頭
2024年7月9日 18:12
そう思ったのは湿気の多い6月、ある出来事がきっかけだった。人差し指のささくれを剥いた。爪の真横のささくれだった。ささくれを剥くのは好きだ。ぺりぺりと皮を剥いていると、シールを剥がしているかのような快感がある。その日も何気なくささくれを剥いた。そのとき勢い余って爪の一部が少し剥がれてしまった。血が少し流れるのを気にせず、そのまま放置していた。これが悲劇の始まりだった。朝起きて指を見る
2024年6月14日 08:57
適応障害で休職した。最初の一か月間は、メンタル面でも体調面でも本当に狂っていた。狂っている中でも何かやらねば……という思いのみが強くなっていく。その中で正気を保つためによし!徳を積むか!と唐突に思いついた。この時点で既に狂っているが、この行動のおかげでメンタルの安定を少しずつ取り戻していった……と思う。と、いうことで休職ニートが行った本当に微々たる善行を以下に記す。①轢かれそう
2024年5月30日 11:26
一匹の虫が逃げた、標本にする予定の虫だった。適応障害で休職している私は、自身の状況から目を背けるため、よく友人と散策している。その散策を続ける中で、たくさんの虫と出会った。散策の目的は昆虫観察になり、友人も私もそれを楽しんでいた。そのような日常の中、友人が昆虫標本を作ってみたいと言い出した。標本として手元に置きたい虫ができたらしい。標本作成に乗り気な友人とは対照的に、私は消極的
2024年5月26日 11:27
転職活動において面接になかなか通らない。その悩みを解決しようと、最近はとりあえず数をこなしている。何のための転職活動だ、と思われるかもしれない。私の場合ははっきりしている、健康に生きるためだ。職場にはセクハラ、パワハラ、前時代的な価値観もすべてが揃っている。昭和の時代から醸成された地層からとんでもないハラスメントが出土する。さながら不快のバイキングと言っても過言ではない。どの食事
2024年5月22日 08:14
高速バス、地元から都会まで3時間。転職が決まらずもう4ヶ月目に入ってしまった。『転職 期間 どのくらい』検索エンジンの出した答えは約2~3ヶ月だという。その3ヶ月を超えてしまうと、もはや焦りすら抱かなくなった。転職エージェントが自身を気遣うメールがメールボックスに溜まっている。ビジネスの中の思いやりだけが私の先を越して走っていくように感じられ、ただただメールも放置している。大学で4年間
2024年4月30日 21:36
太宰治の小説が好きだ。特に人間失格や黄金風景、正義と微笑のような太宰本人の口調で書いたであろうものが好きだ。津島修治の書くものが好きなのかもしれない。ほぼ本人の不平不満で構成された作品もあるが、そこに特有の嫌味な感じがない。これは本当に不思議だった。嫌味な文章を書いているというのにそこに胃もたれするような泥臭さを全く感じない。そういった文体の津島修治が好きなのである。秋はずるい季節だと
2024年4月26日 11:26
「ここら辺一帯はもう全部かわっちゃったのねえ」「あーはいはい、まさしく」「もうあそこも取り壊しちゃって、ねえ、変わっちゃうのねえ」「そうですねー、あはあは」休職期間になってからというもの運動不足が続き体重が10キロは増えた。急激な体重増加のせいか、それとも元からだっただろうか、太もものあたりには石のような脂肪の塊がついており、これを少しでも落としたいと天気の良い日はジョギングす
2024年4月25日 18:16
深夜、雨が降りしきる中、助手席に友人を乗せてある喫茶店に来た。傘も持たず車から出入り口まで一直線に走る。営業終了1時間前に来たにも関わらず、意外にも客が入っている。職場の同僚に似た人影が見えてとっさに肘で顔を隠した。雨雲に月が覆われたせいでより暗さを感じる外の景色とは対照的に、店内は橙色の照明にあたたかく照らされている。いつも選ぶ席とは違う場所を今日は選んだ。テーブルにはぽつりぽつりと木材