「まともにならなければ」という呪い
ずっと何かに追い立てられている。清潔感のある服装をしなければ、年収はこれくらいでなければ、これくらいのものを持たなければ、20代後半ならこう振る舞わなければーー。他者からの要請でそうなっているのか、自分から湧き出る感情で願っているのかだんだんと境界は薄れ、強固な強迫観念へと変わってゆく。
25歳で東北の小さな大学を卒業した。学生時代は震災復興や教育関連の活動に入り込んでいたが、卒業を目前にした年に悩みの土壺にはまり結果的に卒業が3年遅れた。隔絶された長い空白時間を抜け出すと