同じ大塚勇三訳の『大力のワーニャ』を図書館で見た際に近くにあったため、読んでみました。
象を率いての有名なアルプス越えを果たした、第2次ポエニ戦争を扱っているのですが、読んでいてだんだん重苦しい気分になってきます。どんどん読みすすめることができず、児童書とは思えないほど日数をかけて読む羽目になってしまいました。
これが本当かは分かりませんが、そういうこともありえそうです。
象の数が減っているのは、人間の乱獲だけが原因ではなく、この地上に象の住む値打がなくなってきているからだったりして。
世界史の教科書でのポエニ戦争はローマ側から描かれるので、カルタゴ側から見るという点で、この本は画期的です。
長い引用となりましたが、フェニキア人の本質をよく表している気がするので、備忘録代わりに書いておきます。
ケルト人の注釈に、「古くはおもに牧畜民であり、また勇敢なことで知られていた」(p.124)とあったのは、初耳でした。あと、ガリアの注釈にも、驚きました。
これはハンニバルの書記であるギリシア人のシレノスの言葉です。「ただついて」いってしまった人間は、その後も残念ながら大勢出てしまいました。作者のバウマンが1914年生まれで、ナチス時代を経験していることを考えると、意味深でもあります。でもシレノスの思いは正しいし、今後も引き継いでいかねばなりません。ちなみにシレノス(ローマ風によぶとシレヌス)は実在の人で、「あとがき」には以下のように書かれています。
だんだん読みすすめるのが辛くなった理由は、以下の「あとがき」からの引用に集約されます。
縁もない、ただの昔のお話であれば良かったのですが、残念ながらそうではありませんね。ぜひとも現代のハンニバルたちに読ませたい本です。
見出し画像は、スリランカで撮ったアジア象です。ハンニバルの象のうち、主人公の少年が乗るスールーだけがインド象(アジア象)という設定なので。