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Mayumi B
2016年7月13日 16:56
ボランティア先もひとつになり、志穂は、自然と星野の家を訪ねる回数も増えてきた。認めたくないが、休日に会う友だちもほとんどいなかった。その日も星野の家を訪れていた。急に冷え込んで肌寒くなったので、星野が奥にある寝室に、カーディガンをとりにいった。車椅子なので、時間がかかるが星野は自分でできることは自分でしたがった。志穂は紅茶を淹れるため、湯を沸かした。白い湯気がたってきて幸せな気分になり
2016年7月12日 20:56
履歴書を送付してから1カ月たったが、来るのは不採用の通知ばかりだった。負けずに次の週に、また10通程度出したが結果は同じで、不採用通知の山が溜まるばかりだった。志穂は、以前の同僚のコネでも使おうかと迷ったが、止めることにした。単純に借りを人に作りたくなかった。会社で何かあったら、それだけでも惑わしいのに、コネで就職したらそれこそ逃げ場所がなくなってしまう。明日が週末で、星野のマンションに行
2016年7月11日 16:50
次の週末になる前に、またボランティア団体から電話がかかってきた。今度は、ミヤケの訃報だった。ボランティア団体は、ミヤケの葬式について、ベルトコンベアーが流れるように、てきぱきと伝えてきた。最後にちょっとだけ人情味を帯びた声色で、事務局の人は付け加えた。「ミヤケさん、身寄りがなかったから、お葬式に出るのは、私たちのほかはいません。もし、よかったらミヤケさんのお気に入りだった志穂さんが来てくれ
2016年7月10日 12:08
週中に、めずらしくボランティア団体から志穂に、電話が入った。ミヤケが急に様態が悪くなり、しきりに志穂と会いたがっているので、週末になる前になるべく早く、ミヤケのところにお見舞いに行ってくれないかという電話だった。志穂は、次の日に半休を取ると、ミヤケのアパートを訪れた。すでに到着していた介護ヘルパーが、志穂を部屋に通してくれた。いつもの薄っぺらい蒲団のなかでミヤケは、蒼い顔をして横たわっ
2016年7月9日 11:01
このまま行くと、自分の人生は、うまくいっても、もう少しましな仕事につき、もう少し大きな、多分1LDKのマンションに住むぐらいで終わってしまうだろう。さりとて、悪くいっても、このままフリーターで食いつなぐことはできるかもしれない。しかし、病気になったときなど、何も保証もない。田舎に帰ることもできるだろうが、帰って何をするでもない。早く結婚しろと両親や周りにとやかくいわれることを思うと、億劫になる
2016年7月4日 11:25
働き始めて5ヵ月半すぎたとき、グループマネージャーの川崎に呼ばれた。話の内容は、次の3カ月の延長をしてくれるかどうかの確認だった。志穂は、他の仕事のあてもなかったので、よろしくお願いしますと頭を下げた。仕事場に戻ると、沙紀が隣の2歳年下の男と何やら盛り上がっていた。どうやら今、人気のグラビアモデルにちょっと似ているといわれ、気をよくしてはしゃいでいるようさだった。志穂に話すときとは、全然違
2016年7月1日 14:35
出社して、自分のデスクに着くと、A4サイズの封筒が志穂の机にあった。中身を取り出すと、アイシャドーのカラーサンプルが入っていて、殴り書きをした付箋が貼り付けてあった。付箋には、「きょう来るときに、この封筒を持参してきてください」というメッセージが書かれていた。派遣先の上司、沙紀の名前が最後にあった。午後から志穂は、所属しているグループのモニターとして、新製品のメークモデルを頼まれていた。急