ちゃん社長

香港・マレーシアでコンテナリース会社を経営中。マレーシア在住。コンテナや海運業界の裏話や、海外から見た日本の素晴らしい点やおかしな点を統計と共にお伝えします。自伝的小説「Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア)」を連載中。

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  • ちゃん社長のコンテナ・海運業界・マレーシアの裏話。

    香港・マレーシアでコンテナリース会社を経営中。マレーシア在住。コンテナや海運業界の裏話や、海外から見た日本の素晴らしい点やおかしな点を統計と共にお伝えします。自伝的小説「Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア)」を連載中。

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【初回無料公開】Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第1話 ポートクラン(Port Klang)への道のり

(こちらは有料の定期購読マガジンですが、初回のみ無料で公開しています。是非お楽しみ頂ければ幸いです。またこの物語にはフィクションが含まれますが、書かれている内容は筆者の体験に基づいています) 午前7時20分、氷堂 律(ひょうどう りつ)、通称ちゃん社長は玄関から表に出た。マレーシアの日の出は日本に比べて遅く、朝7時30分頃にならないと外は明るくならない。この太陽が昇る前の時間に近くを散歩しながら朝食を取るのが氷堂の日課だ。 氷堂が住む町はジェラム(Jeram)という町で、

    • Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第94話 海外に風評被害が広がる時

      前回の話はこちらから   https://note.com/malaysiachansan/n/nd9cac3ab54f1    この話は2023年に遡る。マレーシアの港湾でコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、この日、テレビのニュースを眺めていた。実はこの前日、岸田首相がマレーシアを訪問していた。マレーシアは親日国として知られているが、それでも日本の首相が来るたびに大きなニュースで取り上げられる訳ではない。1年を通じて色々な国の首相がマレー

      • 「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第90回 リモートワークの未来は明るいのか?

         2024年9月、米国オンライン通販大手のアマゾンは、リモートワークとオフィス勤務を組み合わせたハイブリッド勤務の廃止を発表しました。コロナ禍を経て、アマゾンは社員の出勤形式を対面からリモートワークに切り替えていましたが、その後、リモートワークは週2日まで縮小されていました。今後は、社員は週に5日、オフィスに通勤する従来の形式に戻ることが求められています。    このリモートワーク廃止の流れは、アメリカだけではありません。日本も同様です。例えば2023年2月21日、日本を代表

        • Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第93話 日本に蔓延る貧困ビジネスの闇

          前回の話はこちらから   https://note.com/malaysiachansan/n/n3a4dba10a5d0    この話は2023年に遡る。マレーシアの港湾でコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、この日、一時帰国で横浜の寿町に来ていた。寿町は関内駅から徒歩10分、石川町駅から徒歩5分ほどの場所にある。JRの線路を挟んだ向こう側には、横浜スタジアムや山手の高級住宅街が広がっているが、ひとたび寿町に足を運び入れると、きらびやかな外

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          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第89回 日本で同一労働同一賃金は実現できるのか?

           2024年7月、最高裁判所は一つの重要な決定を下しました。これは済生会山口病院で提起された裁判で、正社員の待遇を下げて、非正規社員との格差をなくす労務改正を容認する、というものです。病院側は2020年に就業規制を改正して、これまでは正社員だけを対象にしていた児童手当や住宅手当を、非正規社員も対象の子ども手当や住宅補助手当に切り替えていました。病院側は非正規の手当を増やすのではなく、正規の手当を減らす形で格差の解消を試みた訳ですが、最高裁はこれを「合法」と認めたのです。同年5

          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第89回 日本で同一労働同一賃金は実現できるのか?

          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第92話 脅かされる先住民族たちのアイデンティティ

          前回の話はこちらから   https://note.com/malaysiachansan/n/n4222e521b059    この話は2022年に遡る。マレーシアの港湾でコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、この日、コタバルというマレー半島の東海岸北端にある街と向かっていた。コタバルはタイとの国境近くにあり、クアラルンプールから600km超、車で約7時間の距離がある。コタバルには取引先がおり、当初は飛行機で向かおうと考えていたが、コタバル

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          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第88回 日本の地方創生は本当に可能なのか?

           2024年10月4日、石破茂首相は所信表明演説を行いました。その中で首相は「地方こそ成長の主役です」と述べて、地方創生を日本の経済政策の要に置く方針を明らかにしました。具体的には、「新しい地方経済・生活環境創生本部」を創設し、地方創生の交付金を予算ベースで倍増することを目標としています。    振り返れば、内閣府特命担当大臣として、「地方創生大臣」の役職が置かれたのは2015年でした。この初代大臣が石破氏であり、来年でちょうど10周年に当たります。石破氏にとって地方創生は極

          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第88回 日本の地方創生は本当に可能なのか?

          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第91話 スリランカの破綻が教えてくれたもの

          前回の話はこちらから   https://note.com/malaysiachansan/n/nc20e4e1789f9    この話は2024年2月に遡る。マレーシアの港湾でコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、この日、スリランカ最大の都市コロンボにいた。スリランカはインド洋沖に浮かぶ島国で、熱帯地域に位置し、年間を通して27度前後の高温多湿の気候である。沿岸部は美しい海外線が続き、一方で島の中央部には緑豊かな高原もあり、世界自然遺産にも

          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第91話 スリランカの破綻が教えてくれたもの

          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第87回 日本の金融所得課税は適切なのか?

           2024年9月4日、アメリカ大統領選挙の民主党候補であるハリス副大統領は、東部ニューハンプシャー州で演説を行いました。その中で彼女は自身が当選した場合には、株式などの資産売却による所得、つまり金融所得への課税を強化し、現行の最大20%を28%まで引き上げると明言しました。この発言は株式市場にネガティブな影響を与えており、多くの金融アナリストからも疑問の声が上がっています。    さらにハリス氏は前代未聞の「含み益への課税」も念頭に置いています。バイデン政権では総資産1億米ド

          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第87回 日本の金融所得課税は適切なのか?

          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第90話 東京の不動産を買い漁る中国人たち

          前回の話はこちらから   https://note.com/malaysiachansan/n/nc699712e7ced    この話は2024年6月に遡る。マレーシアの港湾でコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、この日、日本へ一時帰国をしていた。氷堂は東京・虎ノ門ヒルズにあるホテル・アンダーズ東京へと向かっていた。アンダーズ東京は2014年に開業したホテルで、ハイアット&リゾーツが展開するホテルの中でも最上位ブランドである。ホテルは虎ノ門

          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第90話 東京の不動産を買い漁る中国人たち

          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第86回 日本の物流は本当に持続可能なのか?

           昨今はニュースでも、「物流2024年問題」が提起されるようになりました。これは働き方改革関連法によって、2024年4月1日からトラックドライバーに時間外労働の上限規制が適用されることによって生じる問題のことです。例えばこれまでの労働基準法では、トラックドライバーの労働時間に上限はありませんでしたが、今後は時間外労働を年間960時間以内に収める必要があります。このように一人当たりの労働時間が短くなると、需要に人手が追いつかず、物流の停滞が懸念されています。    ただこれは問

          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第86回 日本の物流は本当に持続可能なのか?

          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第89話 東南アジアを開拓した日本人

          前回の話はこちらから   https://note.com/malaysiachansan/n/n9756343371e5    この話は2024年の初頭に遡る。マレーシアの港湾でコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、この日、サラワク州のクチンという街にいた。マレーシアはクアラルンプールがあるマレー半島側と、インドネシアと国土を共にするボルネオ島側に、南シナ海を挟んで大きく分かれている。サラワク州はボルネオ島側に位置するのだが、マレーシアの中

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          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第85回 リーマンショックは再来するのか?

           2024年8月5日、日経平均株価の終値は、前週末比で4400円超も下落する大暴落となりました。これは下げ幅としては、過去最大だった1987年のブラックマンデーを上回り、日本の株式市場に不名誉な記録として残ることになりました。      興味深い事に、この暴落を「リーマンショックの再来」と指摘する人が少なからずいました。実際Xの株式クラスターの中ではそのような話題で持ちきりでしたし、著名な経済アナリストの中にすら同様の指摘をする人が見られました。ところが翌6日になると株価は

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          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第88話 世界中にコミュニティを広げる中華系住民たち

          前回の話はこちらから   https://note.com/malaysiachansan/n/n8d0be25cd338    この話は2024年1月に遡る。マレーシアの港湾でコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、この日、車でマラッカへと向かっていた。マラッカはクアラルンプールから南へ約150km、2時間ほどの距離にある都市で、多くの観光客で賑わう観光地として有名だ。    マラッカの起源は15世紀まで遡ると云われている。当時、この地域一帯

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          Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第87話 イスラム教徒の埋葬の背景にあるもの

          前回の話はこちらから   https://note.com/malaysiachansan/n/n76765dca976e    この話は2022年に遡る。マレーシアの港湾でコンテナリース会社を経営する氷堂律(ひょうどうりつ、通称ちゃん社長)は、この日、朝から仕事が手に着かなかった。取引先の社長であるアダムが危篤になっていたからだ。2016年に香港の親会社から辞令を受け、マレーシアの子会社の社長に就任した氷堂は、当初、地場の顧客の開拓に苦戦していた。その中で最初に仕事を発注し

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          「海外から見た、日本の良い点・おかしな点」 第84回 コロナ禍が明けた今、航空業界はどこまで成長を続けるのか?

           2024年6月3日、国際航空運送協会(IATA)は世界全体の航空業界の業績予想を大幅に上方修正しました。これによりますと、2024年度の世界の航空収入は1兆米ドルの大台に乗る見通しで、2019年のコロナ前の水準を超えるのは確実と見られています。    確かに振り返ってみれば、新型コロナウイルスによるパンデミックはあらゆる業界に影響を与えましたが、その中でも最も壊滅的な影響を受けたのは航空業界でした。世界中の国々が水際対策を強化し、国際線は瀕死の状態に陥り、2020年度に至っ

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