三野誠子

子ども向けの物語を書いています。著作に『エレベーターは秘密のとびら』(第27回福島正実…

三野誠子

子ども向けの物語を書いています。著作に『エレベーターは秘密のとびら』(第27回福島正実記念SF童話賞大賞)『ぼくのともだち、どじなぶた』『学校の鏡は秘密のとびら?』『ようかい ふとんかぶせ』(岩崎書店刊)、『箱の中のホワイトデイズ』(国土社刊)

マガジン

  • 創作集団プロミネンス

    • 69本

    「創作集団プロミネンス」とその会員の皆さんの活動をお知らせします。 「創作集団プロミネンス」は、その前身である「少年文芸作家クラブ」時代から半世紀近い歴史を持つ、児童書の作家・画家の職能団体です。 現在、岩崎書店と共に、「福島正実記念SF童話賞」(中学年向け)、「ジュニア冒険小説大賞」(高学年以上向け)というふたつの児童文学新人賞を運営しています。 「少年文芸作家クラブ」は1968年秋に発足しました。 規約には「本会は少年少女を対象としたエンターテイメントの創作、ノンフィクション、翻訳、美術を職能とする者によって、構成される」とあり、 初期の名簿には故石ノ森章太郎氏も名を連ねていました。 規約の文言は「本会は主として年少の読者を対象とした創作、ノンフィクション、翻訳、美術を職能とする者によって構成される」と修正されましたが、 現在も発足当時の精神を受け継いでいます。

最近の記事

川場村の笑顔たち

数ヶ月前のこと。 離れて暮らす娘から連絡があった。 「川場の写真あるかなあ。今度友達とまた川場に行くんだ」 なんて魅力的な企画。 アルバム、見つけておくよ。 私が子育てをした区は、群馬県の川場村と「区民健康村相互協力(縁組)」関係を結んでいた。 豊かな自然と地元の方々の温かさを求め、川場村を「第二のふるさと」と呼んだのだ。 そして、区立小学校の子ども達は5年生になると、川場村にある区民健康村に宿泊し、集団生活を体験する。 いくつかの班に分かれ、木陰の弁当タイム、飯盒炊さんや

    • 母子手帳いつ渡す?問題

      母子手帳。母子健康手帳。妊娠を届けると市町村から発行され、母体の記録、子どもの成長の記録等に使う。昨今は「親子手帳」となったり「父子手帳」が生まれたり、ダウンロードできたり内容が見直されたりしていると聞くが、今は置く。 突然別居の子から聞かれた。 「私って麻疹(はしか)の予防接種2回やってます?」 すぐに「やってるね」とこたえられたのは、手近に母子手帳があったからだ。 手帳のページを確認してホッとしたあと、ふと、思った。 「もうコレは渡してしまってもいいんだよなあ」 我が母

      • 運動会のダンスや応援歌を覚えてる?

        たまに娘とLINEでメッセージを遣り取りする。 ときに、それは妙に愉快な気分にさせてくれる。 いつだったか、こんな内容のメッセージが届いた。 「ねえねえ、小2の運動会のダンスってなんだった?? 覚えてる?」 なんだなんだ。 娘の小学校卒業から、もう15年くらい経っている。 LINEの画面には娘の吹き出しで、小1はコレ小3はアレ…と、小2以外の団体プログラムが並べられる。 実に懐かしい。 私はすぐに記憶の扉を開け…ても何も出てもないので、収納の扉を開け、返信する。 「プリン賛

        • 42年振りに「新・汽車のえほん」が出たー!

          手元に横長A5変形判の絵本がある。 『ほんとうにやくにたつ機関車』クリストファー・オードリー作・クライヴ・スポング絵・金原瑞人訳・ポプラ社刊 表紙の水彩画は、手前におそらく世界で一番有名な青い機関車、車体にナンバー1を付けたトーマス、奥には4を付けたゴードンが並ぶ。 自身もしくは我が子が夢中になった、幼年時代ちょっとだけかすった、好きだった、苦手だった、等々、人それぞれとは思うが、世界中に大勢のファンのいるキャラクターなのは間違いないだろう。 タイトルの上に、「新・汽車のえ

        川場村の笑顔たち

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        • 創作集団プロミネンス
          69本

        記事

          「これ、うちがつくったんです」

          ひょんなことからJAPAN MOBILITY SHOW 2023に行くことになった。 前日の昼まで予定になかった。 ニュース番組でその映像を見ても行こうという発想にはならず、「すごい混雑だねぇ」「並んでる人達、大変だ」と口にするばかりだったのだ。 その後たまたま入場券を下さるという方が現われても、「え?行かないよね?あの人混みだよ??」と思っていたのだが、夫は気持ちが乗ったようで、じゃあ折角だから、となった。 前身である東京モーターショーには、若い頃に何度か行ったことがある

          「これ、うちがつくったんです」

          久しぶりのオムライス

          ここ最近ずっとオムライスが食べたかったのです。 この前読んだ小説にオムライス大好き少女が出てきたせいかもしれません。 元々卵を使った料理は好きです。 けれど案外オムライスを選べる外食先に行くことはありません。 それにお店のご飯の量は、私の胃袋にはちょっとばかり多過ぎるでしょう。 ならばと今夜は久しぶりにオムライスを作りました。 きっと20年以上ぶりです。 今ならチキンライスの上にトロトロたまごをふんわりかぶせるタイプの方が人気なのかもしれませんが、今回は30年近く前から使

          久しぶりのオムライス

          図書館の貸出票~もしすれ違っていたら~

          地元図書館にはまあ行く方だ。 資料探し…よりも、予約した本の受け取りと返却で使うことが多い。 カウンターで、貸出本のタイトルリストと返却日を印字した紙を、借りる本の一冊に挟んでもらう。 かつてその貸出票には氏名も添えられていたものだが、個人情報保護のためか、いつのまにか無記名になった。 皆さんは、この貸出票、どうしているのだろうか。 捨てている? 私はクリップで留めて、訳もなくとっておく。 借りた本をめくると、時折、前に借りた人の貸出票が挟まっていることがある。 しおりとし

          図書館の貸出票~もしすれ違っていたら~

          ツヤツヤほっぺに道を聞かれた話

          明るい日差しの下、道を歩いていたら白いTシャツの男児に声を掛けられた。 「5丁目広場ってどこですか!?」 高くて元気のいい声。 ここは確かに5丁目だ。 小さな広場や公園があちこちにあるのは知っている。 けれど、どれが「5丁目広場」なのかはわからない。 「ちょっと待ってねぇ」と言いながら、男児の前でスマホを開いた。 地図アプリに「○○(町の名)ごちょう…」とフリック入力を始めると、男児も私の指の動きに合わせて「ごちょうめ、ひ、ろ、ば」と言ってくれた。 (音声入力の方が早かったの

          ツヤツヤほっぺに道を聞かれた話

          新刊のお知らせ

          このたび、岩崎書店さんより『ようかい ふとんかぶせ』(いとうみつる絵)を上梓致しました。「こわいがいっぱい おばけのはなし」シリーズの一冊です。 初めて自分で怖い話を読もうとする小学1年生向けに、ちょっぴり怖くてドキドキして、だけど読み終える頃にはにっこりしちゃう、という物語を書きました。日本古来のおばけが装い新たに現代に登場する話と、どこにでもあるアレがコワイモノになっちゃう話、2編が入っています。 今回の出版にあたりましても、沢山の方々のお力添えを頂戴致しました。 心から

          新刊のお知らせ

          ペペめしのこと

          昼食にペペロンチーノばかり作る時期があった。 下の子が弁当を持って幼稚園に通い始めた頃のことだ。 それまでは、常に子どもと食事を共にしていた。 からいものは食卓に載せなかった。 その反動だろう。 ようやくやってきたひとりのランチタイムに、私はパスタをゆで、塩と唐辛子とニンニクを存分に使ったソースを絡めて食した。 しかしある時、はたと気付く。 冷蔵庫には残りご飯がある。 私は節約しなくてはならない主婦だ。 今は残りご飯を食べるべきではないのか。 …となれば、話は早い。 フライ

          ペペめしのこと

          子どもの氏名、ふりがな付。

          とっくに成人した子どもがいる。 たまたま彼女が長期で家を離れている時に、彼女宛の郵便物が届いた。 「申し込み内容の確認」系の書類である。 彼女に連絡すると、封筒を開けて、中に入っている書類の必要項目を埋め、返送してくれないかと言う。 難しいことではない。 用紙に彼女の氏名とふりがなを書き、1項目にチェックを入れ、日付を添えたら終わりである。 返信封筒も用意されている。 あっという間の作業だ。 ところが、だ。 この作業が、実に深く長い感慨を生むことになる。 子どもの氏名を手書

          子どもの氏名、ふりがな付。

          新刊のお知らせ

          このたび、国土社さんのパステルショートストーリーシリーズの4冊目として、『Milky White 箱の中のホワイトデイズ』を上梓することになりました。シリーズ参加作家が各自で色とテーマを決めて書く短編集で、私も本当に楽しく執筆させて頂きました。 不思議な話や怖い話、笑っちゃう話やちょっぴり寂しい話など、いろいろ入っています。来週には書店に並ぶそうですので、見かけられた方は是非お手に取って下さいませ。 シリーズは続刊予定です。 この出版にあたりましては、多くの方々のご尽力を賜り

          新刊のお知らせ

          コーヒーメーカー

          毎日相当量のコーヒーを飲む。 30年前に結婚祝いとして贈られたコーヒーメーカーで淹れる。 贈ってくれたのは友人カップルだった。 恋人同士だったふたりはやがて結婚したが、半年後、夫氏が亡くなった。 私が童話を書きはじめる前のことだ。 私がどんなふうに童話を書き始めたか、それからどんなことがあったか。 もしも彼が生きていたら、私は日々こまごまとそれを書き綴っただろう。 きっと彼はそれを無邪気なまでにまっすぐ応援してくれただろう。 彼は私が童話作家デビューしたことを知らない。

          コーヒーメーカー