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川場村の笑顔たち

数ヶ月前のこと。
離れて暮らす娘から連絡があった。
「川場の写真あるかなあ。今度友達とまた川場に行くんだ」
なんて魅力的な企画。
アルバム、見つけておくよ。

私が子育てをした区は、群馬県の川場村と「区民健康村相互協力(縁組)」関係を結んでいた。
豊かな自然と地元の方々の温かさを求め、川場村を「第二のふるさと」と呼んだのだ。
そして、区立小学校の子ども達は5年生になると、川場村にある区民健康村に宿泊し、集団生活を体験する。
いくつかの班に分かれ、木陰の弁当タイム、飯盒炊さんや農業体験、ピクニック、部屋で大はしゃぎ…等々のスナップ写真を見て、ああ楽しかったのだなと思ったものだ。
あれからもうすぐ20年。
当時の班の仲間4人、今でも仲良くしているようだ。
そして、当時の区民健康村もまた、今も変わらずあり、大人も宿泊可能だという。
それを知った仲間の提案で、皆で泊まりに行くことになったのだそうだ。

ちょっと探してしまったが、当時のアルバムが見つかった。
数々のスナップ写真。
あの子も、この子も、娘も。みんな、幼い。みんなみんな、可愛い。

しばらくして。
行ってきたよとLINEに写真が送られてきた。
左に、5年生達が部屋に並んでVサインする写真。右に、同じ場所でレディ達がVサインする写真。
左に、5年生達が肩を組む笑顔の写真。右に、同じ場所で肩を組む笑顔のレディ達。
左に、食堂でいただきますを待つ5年生達。右に、同じ場所でご飯を前にするレディ達。
…というふうに。
宿泊したのが当時と同じ部屋だったというのも素敵な偶然だ。
掛かっている絵画も変わっていない。
4人の並び方、手や脚の曲げ伸ばし、そして表情まで、およそ20年前の自分たちを真似ていて、それが上手い。
よく見ると、着ているものもどこか懐かしい。
川場村に向かう途中、エンジェルブルーコラボのスウェットを皆で購入し、平成にタイムスリップしたのだという。
そうだ、当時はナルミヤブランド、エンジェルブルーが本当に流行っていた。
仲間の一人が用意してくれたというお揃いのナカムラくんヘアピンを付けたアップの写真も、平成を意識した表情とポージングが愉快だ。

写真を見ていると、娘達がはしゃぐ賑やかな声が聞こえるようで、とても幸せな気持ちになった。
きっと、共にいる時間じゅうずっと、楽しくてしょうがなかっただろうな。
仲間とこんな時間を過ごせる娘達は、日常の中でつらいことがあっても、きっとなんとか乗り切ってくれるのではないかと、勝手に期待してしまう。
そして私もまた、つらいときにこの写真を見ることが、少し口角が上がるおまじないになるような気がする。

娘達は、20年後また川場村に行こうと話したそうだ。
それまで何があっても皆元気でありますように。宿泊施設も残っていますように。
そして是非実行してね。
楽しい時間のお裾分け、本当にありがとう。

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