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図書館の貸出票~もしすれ違っていたら~

地元図書館にはまあ行く方だ。
資料探し…よりも、予約した本の受け取りと返却で使うことが多い。
カウンターで、貸出本のタイトルリストと返却日を印字した紙を、借りる本の一冊に挟んでもらう。
かつてその貸出票には氏名も添えられていたものだが、個人情報保護のためか、いつのまにか無記名になった。
皆さんは、この貸出票、どうしているのだろうか。
捨てている?
私はクリップで留めて、訳もなくとっておく。

借りた本をめくると、時折、前に借りた人の貸出票が挟まっていることがある。
しおりとして使って、そのまま忘れてしまったのかもしれない。
大抵は、そっと捨てる。

先日、その本以外に数冊の書名が列挙された貸出票が挟まっていた。
そのタイトルが、すべて、私の興味をひくものだった。
私も最近読んだ児童書、昔読んだ小説、そして、おそらくご家族にこういう人がいてこんな課題を抱えているのだろうな…と我が経験から想像させる専門書数冊。
うーん。
私はこの人に会うことはないのだ。
けれどこの人は、おそらく、この同じ街のどこかに住んでいるのだ。

もしも会えたとしても、ぜーんぜん、ウマもソリも合わない人かもしれない。
或いはそういった分野の本を「たまたま」借りただけで、私の生活や考え方とは、ほとんど重なりのない人なのかもしれない。
でもなあ…。
たぶん近くに住んでいて、おそらくあんなことやこんなことに悩みながら日々を生きているんだろうなあ…なんて思うと、ちょっとだけ、落ち着かない気持ちになってしまうのだ。

ひとさまの貸出票はそっと捨てている。
けれど「どんな方かな?」とペン書きを添えたその一枚だけは、自分の貸出票とともにクリップで留っているのだ。

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