『快楽』と『苦痛』の定義
【快楽】プラス
欲求が満たされた状態
生きる活力を得る。生きようとする意志が強まる
【苦痛】マイナス
欲求が満たされない状態。不快な状態
生きる活力が損なわれる。生きようとする意志が弱まる
【普通】ゼロ・フラット
不安・苦痛がない(解消された)状態
生死、快不快、危険などを意識していない
精神的であれ肉体的であれ
快楽だけを追い求めれば幸せになれそうなのに。
どうして、そう単純明快にはいかないのでしょう?
快楽と苦痛は“錯覚”しやすい
ある肌寒い日、カゼをひいて熱が出たとします。
— 身体はゾクゾク、頭はクラクラ
苦痛(マイナス)、普通(ゼロ)が損なわれている状態です。
— やがて寒気は収まり、自由に動けるようになりました
苦痛(マイナス)の解消、普通(ゼロ)に戻った状態です。
病気が治り健康になるのは、あくまでマイナスからゼロに戻るだけ。
プラスではありませんね。
ただし回復期は一時的に気持ちよくなった(プラス)と認識されます。
人は快楽・苦痛のバロメーターを『現在値』で認識しません。
前後の『変動値』で認識するのです。
・元がマイナス状態なら、ゼロに戻るだけで快楽。
・元がゼロ状態なら、プラスがなくては快楽にならない。
マイナス相殺のループ
ストレスを抱えることが当たり前。
マイナス状態が常態化すると、苦痛の相殺こそが快楽だと錯覚します。
・アルコール依存
→酒を呑んでいる時だけが幸せ、もっと強い酒が欲しい
・ブラック企業の社畜(過労)
→定時であがれるだけで幸せ、家に帰れるだけでいい
・虐待児
→親が怒っていない時が幸せ、叩かれなければラッキー
強い刺激による苦痛の上書き。危険前提の一時的な安堵。
マイナス〜ゼロ、マイナス〜マイナスの変動しかない状態。
得るのは最高で普通(ゼロ)
決して快楽(プラス)にはならない
慣れによって感覚が麻痺していくと、やがて苦痛も普通になってしまいます。
・飢餓感を忘れる一瞬の慰め。それにすべてを差し出す破滅的な生き方
・生活に見せかけた死活。迫り来る絶望から必死に逃げ続ける人生
マイナスが基本値の、無自覚なマイナス相殺のループ。
それは『不幸』に他ならない状態です。
プラス・マイナスの見分け方
プラス:自己愛由来の快楽を得る
ゼロ〜プラス間の変動。相乗効果。
共鳴と連鎖を起こす。余裕を生む。
何かを犠牲にしたり、対価を失う取引ではない。
依存性はなく、他人も含む双方向の『幸せ』へと広がる。
本心・本音から望まれる選択によって発生。
マイナス:恐怖由来の苦痛の上書き
マイナス〜ゼロ間の変動。相殺効果。
共鳴も連鎖も起こさない一時的なもの。余裕を失う。
何かを犠牲にしたり、対価を失う取引で得る強い刺激(カンフル剤)。
依存症を抱え、自分も他人も傷つける『不幸』へ窄む。
本心・本音に背く選択によって発生。
終わりに
借金地獄⇔無一文を繰り返す生活。
それは不幸・異常事態だとすぐ解りますよね。
しかし、精神世界は主観メインなので基準が曖昧になりがちです。
▼マイナス相殺のループに陥っている人の特徴
・身体、精神、お金、時間に余裕がない
・ギャンブル、酒、煙草、恋愛、過食など依存症をもっている
・白か黒か、善か悪か、大嫌いか大好きか、常に極端
・いつも他人と自分を比較してジャッジ(評価づけ)している
・条件付きの愛しか知らない、受け入れられない
・支配、コントロール、暴力を正当化している
・機嫌の良い時と悪い時が極端でコロコロ変わる
・癇癪持ち(ヒステリー気質)、すぐキレる
・やりたくない事をやるべき事と言う。謎ルールが多い
・常に否定から入る
・多数派(マジョリティ)に媚びて少数派(マイノリティ)を避ける
・他人のミスを過剰に責める
・自己犠牲の強要など、非生産的な慣習に縛られている
・見下すか崇めるかどちらか
・他人を罵倒している時、一番目が輝いている
・いつもセカセカして焦っている
何をしているかは違えど、何故そうなるかは同じ。
自己愛を失い、恐怖が行動原理になっている人にはパターンがあります。
— 幸せの連鎖が起きているか?
— 不幸のループに閉ざされているか?
見極めるには現在値を見誤らないこと。
変動値に誤魔化されない客観性が大切です。
自分の中にループを見つけたら、まずは根本原因となっている恐怖(トラウマ)を思い出して、解放してあげる必要があります。
安定したゼロ(自己愛)を取り戻した時、
その先には自然とプラスが生まれます。