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読後寸評

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読んだ本で感じたことを綴っています。 好きな作家はラディゲですが、最近よく読むのはジェンダー論。A4用紙1枚程度で、800〜1000字程の感想文です。
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#戦争

軍事アナリスト小泉悠さんの分析本「ウクライナ戦争」

軍事アナリスト小泉悠さんの分析本「ウクライナ戦争」

本(ウクライナ戦争)

遅くなりましたが、今年の正月休みに読んだ本です。ロシアによるウクライナ侵攻について考察した本で、筆者の小泉悠さんは度々メディアにも登場するロシアの軍事研究者で、敢えて侵攻ではなくウクライナ戦争としたことで、その悲惨な実態を伝えようとしたものです。

侵攻から1年を経過してなおも続くこの戦争の特集番組で、筆者がこの1年の予測が結果的に違っていたことを反省していましたが、戦争の

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終戦を宣言した玉音放送を巡る葛藤「日本のいちばん長い日」

終戦を宣言した玉音放送を巡る葛藤「日本のいちばん長い日」

本(日本のいちばん長い日)

昨年死去した半藤一利さんの代表作です。太平洋戦争の敗戦を、天皇が全国民に宣言した1945年8月15日の玉音放送から逆算して、14日正午からの丸1日の動きを克明に記録した筆者渾身の作品です。
映画化も2度され、私も2作品とも観ましたが、第2作目の昭和天皇を演じた本木雅弘さんの演技が天皇の人間性を出しており、印象に残っていました。

本書は1965年に刊行され、その後19

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日本が参戦した5つの戦争を分析した本「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」

日本が参戦した5つの戦争を分析した本「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」

本(それでも、日本人は「戦争」を選んだ)(長文失礼します)

東大教授の加藤陽子さんが、中高校生(栄光学園)向けに行った特別授業の内容を単行本化した1冊です。筆者の専攻は日本近現代史で、本書は小林秀雄賞を受賞しています。筆者については、日本学術会議の任命拒否問題での当事者の1人といった方がわかりやすいかもしれません。 

本書は序章の「日本近現代史を考える」から始まり、1章「日清戦争」、2章「日露

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