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読後寸評

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読んだ本で感じたことを綴っています。 好きな作家はラディゲですが、最近よく読むのはジェンダー論。A4用紙1枚程度で、800〜1000字程の感想文です。
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#建築

建築を深読みできる入門書「教養としての建築入門」(^^)

建築を深読みできる入門書「教養としての建築入門」(^^)

本(教養としての建築入門)(長文失礼します)

そのタイトル通りの建築入門書ですが、「教養」と冒頭につくのが単なる入門書には留まらない内容となっています。私自身も大学の建築学科を卒業後、建築業界や不動産業界の建築部門に長く従事してきましたが、これまでの復習も兼ねて読んでみることにしました。

筆者の坂牛卓さんは現役の建築家で、内容は第一部・鑑賞論-建築の見方、第二部・設計論-建築の作り方、第三部・

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現存するモダニズム建築を厳選した本「日本の近代建築ベスト50」

現存するモダニズム建築を厳選した本「日本の近代建築ベスト50」

本(日本の近代建築ベスト50)(一部敬称略)

日本の近代建築における代表的な50作品を選んで紹介した本です。1922年竣工のフランク・ロイド・ライトの自由学園明日館から、2008年の西沢立衛の十和田市現代美術館まで、時系列的に紹介されています。

筆者の小川格さんは大学の建築学科を卒業後、建築雑誌「新建築」の編集者になり、その後建築専門の編集事務所を設立し本書が初の著書となります。

現存するモ

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東京湾に新東京駅計画‼️の回顧「丹下健三都市論集」

東京湾に新東京駅計画‼️の回顧「丹下健三都市論集」

本(丹下健三都市論集)(長文失礼します)

世界のTANGEといわれた建築家丹下健三(以下敬称略)の都市論集です。以前読んだ建築論集と二巻構成の姉妹編であり、建築家と同時に都市計画家でもあった丹下の論文集となっています。

内容はⅠ都市の再建、Ⅱ東京改造計画、Ⅲ巨大都市の未来の3章で構成されています。Ⅰ章では終戦からの都市の復興と再建、Ⅱ章では東京改造計画の具体例としての東京計画―1960、Ⅲ章で

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世界のTANGEの論文集「丹下健三建築論集」

世界のTANGEの論文集「丹下健三建築論集」

本(丹下健三建築論集)

世界のTANGEといわれた建築家丹下健三(以下敬称略)の建築論集です。戦後建築界を牽引したトップ建築家の建築論で、建築家の文章は難解だとよく評されますが、筆者が若干26歳の時に書いた最初の「ミケランジェロ頌」はさすがに読みながら難解だと思いながらも、その他の論文は勿論平易な文章ではありませんが、難解な印象でもなくきわめて理論的に主張が述べられていたと思います。

個人的に

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