季節の色と古代史と 〜四神思想にみる空間概念〜
九條です。
季節にはそれぞれに「色」がありますね。
春・・・青
夏・・・朱
秋・・・白
冬・・・玄
たとえば…
「青春」「朱夏」「白秋」「玄冬」
という表現をしますね。
この四色は「四神思想」に由来するようです。四神とは、
ですね。この四神思想の起源は古代中国の天文思想と言われ、周代(B.C.11世紀頃〜B.C.3世紀頃)には発生しており、漢代(B.C.3世紀頃〜A.D.3世紀頃)には完成したと言われています。
我が国には古墳時代以前には入ってきていて、たとえば遺物としては三角縁神獣鏡銘文、遺構としては高松塚古墳(7世紀末〜8世紀初頭)やキトラ古墳(同)の壁画に描かれている四神が有名ですね。
その後、古代日本の建都思想においてもこの「四神思想」は非常に重要視されました。すなわち、
です。平城京や平安京は「四神相応の都」と言われています。「四神相応」は「四地相応」とも言われ、具体的には「山川道澤」などとも言われますね。
平城宮や平安宮の正門である「朱雀門」は、朱雀の方向すなわち南に向かって開いていますね。平城京や平安京自体も南に開いた都でした(京じたいの正門は「羅城門」です)。「天子南面」の思想ですね。
すなわちまとめると、
となりますね。これに「黄」を足すと「木・火・土・金・水」の「五行説」となります。
ですね。この五行の五色は、乞巧奠(七夕祭)の短冊などにも用いられていますね。
四神思想にしても五行説にしても、太陽(火)が南で朱色というのは、興味深いですね。
さて、朱夏もそろそろ終わりを告げ、白秋へと季節は移り変わりますね。太陽から少陰へ。南の季節から西の季節へと。これは実際の太陽の動きと考え合わせると面白いですね。
夏から秋へ。朱から白への変化。美しい季節の色の移ろいですね。
私は「白秋」という表現よりも「錦秋」という表現のほうが好きなのですが…。^_^
【参考文献】
◎藤岡謙二郎『歴史の空間構造』大明堂 1976年
◎桂令夫『東洋神名事典』新紀元社 2002年
◎関東学院大学『比較文化事典』明石書店 2015年
など
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